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最強の悪女の仕立て方。~不幸な結婚をしたくないので、悪役令嬢を目指しているのに、なぜかイケメン皇子その他大勢に愛され、困惑しつつも学園生活を満喫していますわ!  作者: いか墨ドルチェ
第二章 悪女は日々、戦いにその身をおくのですわ――初めての決闘とできる冒険者への道

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第69話 腹黒皇子と変人王子、二人は因縁の相手ってことですわね。

「驚かせてしまったね」


 そう話しかけてきたアルフォンスはいつもの穏やかな――と、見せかけて実は腹黒い、アルフォンスだった。


「アルはレナード殿下のこと好きじゃないの?」


 ジュスティーヌは、言った後でなんでこんな質問をしてしまったのだろうと思った。アルフォンスは一呼吸おいてから返答をしてきた。


「いいや。むしろ、王族にしては珍しいぐらいいい奴だと思っているよ。だからこそ、あいつにはもっと慎重になってもらいたいし、自分の磨き方も間違えてもらいたくないんだよ。このままだと彼、いつか絶対に痛い目を見ることになる。ジュティもそう思わないか?」


 前を向いて話していたアルフォンスは、同意を求めるようにジュスティーヌに視線を送ってきた。


「確かに、めちゃくちゃ強いはずなのに、昨日、あなたに攻撃が全然当たってなかったのにはちょっとびっくりしたかな。あれは風魔法を使っていたの?」


「さすがジュティ。その通りだよ。あらかじめ、風魔法を身に纏っていたんだよ。君に説明するまでもないだろうが、魔法って便利だろ? 派手な攻撃魔法ばかりに目がいきがちだが、防御魔法や補助魔法は、使いこなせるようになれば剣士にとっても相当価値が高い、有難いものだ」


 ジュスティーヌはうんうんと頷きながらアルフォンスの言葉に耳を傾けていた。


「若い男にはありがちだけど、どうしても力技に走りたくなる。魔法を使う素養がないならば仕方がないが、彼は魔力量は多いのに実に残念だ。パーティで行動しているのであれば、まだ誰かがフォローできるだろうが、あの性格だからいつもソロだろ? もし、一人のときに物理攻撃が通用しない敵に遭遇したらどうする? 相手が魔法の達人だったら?」


 アルフォンスの言っていることはいちいち納得できるものだった。


「その点、俺はね、すごくラッキーだったんだ。子ども時代に君に会えたからね」

「それがなんでラッキー?」

「君が言ってくれただろ。剣も魔法も両方できないとダメだって」

「あっ」


 そう言えば言ったかもしれない。でも、その言葉にそんな深い意味はなかった。たまたま伝説の勇者がそうだったから両方使えたらカッコイイなと思ったというだけで。でも、なんだかんだ言って自分自身もそれをマネして、両方習得すべく努力しているわけだ。


「だから、今の俺があるのは全部君のおかげだ」


 それはちょっと買いかぶりすぎな気がする。本当に自分にそれほどの影響力があったのだろうか。


「それにちょっと、ふふっ、まあ、これをいうとジュティは怒るかもしれないけど」

「なに? 怒んないから言ってみてよ」


 これは絶対に怒るやつである。


「ジュティに似ているところがあるよね、彼は」

「はあー!?」

「ほら、怒った」


 露骨に嫌そうな顔のジュスティーヌを見て、アルフォンスは嬉しそうに笑った。


「全然似てないし!」

「純粋なところとか、夢見がちなところとか、人に理解されなくても我が道を行くところとか、似てるじゃないか」

「はあ? 何それ。わたしそこまでポエムな人間じゃないけど」

「まぁ、確かに、ジュティの方が現実主義的ではあるかな」

「ひっどい!」


 怒りながらも、ジュスティーヌは言われてみるとそうかもしれないという気もした。レナードは、ちょっと、というかかなりお騒がせなところはあるけれども、決して嫌な感じがしない。アルフォンスがいい奴だと思うと言っていたが、ジュスティーヌもまさに同じ感想を抱いていた。


「まあ、あいつのこと、よろしく頼むよ。俺の言うことには聞く耳持たないからさ、あいつ」


 3年前の剣術大会の準々決勝で、3年生のアルフォンスと1年生のレナードは一度だけ対戦している。レナードは、1年の中では群を抜いて強かった。アルフォンスの弟のフレデリクや現・副会長のエルドリックなど足元にも及ばないぐらい。1年生唯一のAクラスとして大会に参加して、1、2回戦は上級生に圧勝。


 そして、準々決勝でアルフォンスと対戦し、完膚なきまでに叩きのめされることになってしまった。レナードが入学してから今日まで、彼に土を付けたのはアルフォンスただ一人だけであった。


 アルフォンスがレナードに勝てたのは、剣術の腕もさることながら、ひとえに魔法の腕の差という面が大きかった。


 剣術大会で魔法を使ってくるものはほぼいない。ルール上使えないわけではないが、詠唱している余裕がないからだ。そうなると、多くの剣士たちは魔術を磨く時間を剣術を鍛える時間に使いたくなる。その極端な例がレナードというわけだ。


 学園での決闘や剣術大会での勝利が戦いの全てではない。大切なのはその先、例えば冒険者として、あるいは騎士や兵士として、どう戦闘技術を生かすかだ。そこまで考えるならば、魔法が使えるに越したことはないのだ。


「その点では、”皇子の剣”って名称もどうかとは思うんだよな。俺は常々、魔法も大事だと口を酸っぱくして言っているからね」

「あっ、そういえば」


 ジュスティーヌは月曜日に彼らと決闘をする話をした。


「はははっ、いいんじゃないかな。あいつらの中に魔法に長けた者はいないよ、俺の知る限りでは。君が上級魔法をぶちかましたら驚くだろうね」


 そう言うと、こちらから探りを入れる前に、アルフォンスは皇子の剣同盟メンバーの特徴を詳しく教えてくれた。


 こうやって色仕掛けで相手から情報を聞き出す――ついにハニートラップというスパイが使っちゃうような高等テクを駆使できるようになるなんて、わたしってば悪女としての進化っぷりが凄まじいわ!


 そう自画自賛しながら敵情視察ならぬ敵情聴取をしていたら、今日の最初の目的地、冒険者ギルドについた。いよいよ、憧れの冒険者としての第一歩を踏み出すのだ!

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微笑ましい進化です
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