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第64話 殿下、あなたがほしいのですわ!

 レナードのアッパーで数秒間の宇宙旅行を楽しんだであろうオクタビオは、完全に気を失った状態で落下してきた。


「勝者、レナード・フィデリス!」


 立会人のエドマンド・ジョイフィールドが高らかに宣言した。レナードは自分の胸を二度トントンと叩くと、ジュスティーヌのいる方向に向かってその拳を突き上げた。


 こうして見るだけだったら、レナードは普通にイイ男なのだ。性格さえもう少し常識的な人間の範疇に収まっていたら……と多くの女子生徒たちは思った。


 一方、ランキング上位者たちは、レナードの圧勝に、張り詰めた雰囲気となった。次行くのは誰だと、お互いの顔をチラチラみながら腹の探り合いをする。


「うおおお! 次、輝ける大スター・レナード様の愛妻激甘アタックを食らいたい奴は誰だあああ!!」


 レナードは雄叫びを上げた。


「殿下、レナードでんかあ!」


 誰かが名乗り出る前にジュスティーヌが声をかけてきた。


「俺のラブリーエンジェル! 愛する妻よおおお!」


 レナードはジュスティーヌのもとに飛んでいった。


「レナード殿下、すばらしかったです! わたくし、完全に殿下がほしくなってしまいましたわ!」


 その一言を聞いたカイトほか周りにいた人々は完全に固まった。レナードは目が点になっている。


「殿下、いたしましょう、わたくしと!」

「な、な、な、何をするんだ、姫!?」


 動揺しまくっているカイトが、誰よりも先に尋ねる。


「この鋼のような強靭な肉体をお持ちのレナード殿下としたいことなんて決まってますわ」

「は、鋼のような強靭な、に、肉体の兄上と……?」

「そう、殿下こそ、わたくしが求めていた、完璧で、理想的な……」

「完璧で、理想的な?」


 カイトは話しながらも、全身が汗でびっしょりだった。自分の声が上ずり、震えているのも感じていた。


「前衛ですわ!」

「ぜんえー。ぜ、前衛??」

「だから、次の決闘は、わたくしとパーティを組みませんか? わたくしを全力で守ってくれそうな前衛が二人以上見つかったら、是非ともパーティを組みたいと思っていたんですの」


 悪役令嬢たるもの、前衛に屈強な男を並べて、自身は安全地帯で高笑いしながら悠々と魔法の詠唱をして、ド派手な魔法をぶちかましたいではないか。


「レナード殿下、いかがでしょう? わたくし、こう見えてもバフをかけるのは得意なんですの。パーティを組めば、きっとお互いにメリットがありましてよ」

「そ、そ、そ、それはプロポーズということかああ! 俺の世界一のアイドル、愛しの妻よ!」

「ちょっと違いますが、まあ20%ぐらいはそんな感じかもしれないですわね」

「やろう、妻よ! 俺が全力であなたを守る!! ついに俺に婚約者ができたぞー!!」

「20%ですがね」


 というか、妻だけど、婚約はまだしていないという認識だったのね、レナード殿下。


「い、いいのかい、ジュスティーヌ姫! 兄は強いが、パーティを組んだことなんてないのに。その、それにあんな性格だし、ちゃんと連携プレイとかできるのかわからないし……」

「大丈夫よ、カイト。確かにわたくしもパーティは初めてだけど、もう一人セドリックも入れて、あともう一人ぐらい募集しようと思いますの」


 肉壁役はレナードとセドリックがいるので、できればもう一人は攻撃型の剣士がほしいところだ。


「その最後の一人、僕ではダメですか?」

「俺を入れてください、姫!」

「私、きっとお役に立てます!」


 クラスメイト達が次々と名乗りを上げてくれた。単純な攻撃力だけでいうならば、フルードかケヴィンを選びたいところだが、総合的に考えるとカイトを選ぶのが正解だろう。なんせレナードの弟なのだから。


「みなさんの戦いに掛ける情熱、このジュスティーヌ、しかと受け取りましたわ。だけど、今回はカイトに入ってもらおうと思うの。カイトはレナード殿下のご兄弟だし、決闘経験者でもあるから」


 そう言われて、カイトは「ふぅー」っと安堵のため息を漏らした。これ以上、兄と差をあけられるわけにはいかない。


 こうして即席4人パーティが完成した。セドリックの同意がないままに。


「わたくしたちの最初の対戦相手は、あなたたち、皇子の剣同盟よ! 決闘を申し込みますわ」


 そういうとジュスティーヌは、気を失ったオクタビオを回収に来ていた皇子の剣同盟を指さし、挑戦状を突き付けた。


「姫君! 姫君は、アルフォンス殿下の恋人であらせられるのに、その野人王子とパーティを組むというのか!?」

「違うけど、そうよ! さあ、わたくしからの挑戦を受けるのかどうか、お答えを!」

「無論、全力で剣を交える所存だ! 我々が信奉する殿下の名に恥じぬ戦いをしてみせようではないか!」


 こうして初戦の相手も決まった。ジュスティーヌにとっては因縁の相手でもある。


「それにしても、そちらこそ、我々が相手でよいのか? こちらは全員がAランク以上。お互いの長所短所もすべて把握済みだぞ」

「一対一では物足りないと思っていたところだ! お前らこそ、通りすがりのヒーローである俺様が、最愛の妻に捧げるロマンチックラブリーパワーで、完膚なきまでに粉砕してくれるわ! はははははっ」


 ロマンチックラブリーパワー、なんだかあんまり強そうじゃないんだけど……。まぁ、実際の本人は強いからよしとするか。


 初戦は週明けに決まった。それまでに作戦会議をしなければならない。そして、その前にセドリックに事情を説明しないといけない。もっとも彼に拒否権はないのだが。

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