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第18話 平和防衛隊始動ですわ!

 平和防衛隊はヒーローになって街を巡回するために、思い思いの衣装に身を包んだ。若干一名は全くもって思い通りではないが……。


 とはいっても、さすがにこのままでは珍妙な仮装行列になってしまう。仮面は必要な場面になったときににつけることにして、移動の際には各自マントを羽織ることにした。


 と、その前に、防衛隊の面々はジュスティーヌの魔法少女の衣装に大興奮だった。


「そ、そ、そ、そんなにおみあしを人目にさらしてしまってもよろしいのでしょうか!!!!」

「ありがとうございます! 生きていてよかった!!」


 学園の制服は、貴族のご令嬢も多いことから、スカートの丈が長めで、肌が露出している面積が非常に少ない。だが、この魔法少女の衣装は、神に感謝したくなるような奇跡的なスカート丈だった。


 しかも、悪役令嬢を意識しているからか、上半身は黒のビスチェ風で、スカートは黒と紫のレースのチュチュと見るからにセクシー系だ。ジュスティーヌは小柄で引き締まった手脚をしているが、出るところは出ているというスタイル抜群のプロポーションであり、この衣装が非常によく映える体形をしていた。


「姫様の衣装は、いたずらに性欲を興奮または刺激させるのでは? スカートの丈が短すぎて逆に犯罪を誘発するのでは? みんな、普段着で巡回するのが正解では?」


 セドリックは、自分が海坊主の衣装を着たくないという利己心から必死に反論してみる。


「何を言っているのセディ。こういうのは目立つ方がいいのよ。覚えやすいでしょ? 街の平和を守る防衛隊が巡回していると知らしめることで抑止効果も高まると思うの」


「さすがは姫様! おっしゃる通りだと思います! 絶対にこのままで行きましょう!」


 こちらも自分が憧れのヒーロー姿でいたいのと、美女の美脚と二の腕を拝みたいので大賛成する。


「わたくしたちはただのヒーローではなくってよ。スーパーヒーローよ。街の平和を乱すのはなにも荒くれ者だけではないわ。困っている人がいたら、積極的に助けて回りましょう」


「姫様、仰せのままに!」


 現在の平和防衛隊は全員で6名。とりあえず効率よく街を回るために、3名ずつのグループに分かれた。セドリックはジュスティーヌと違うグループになろうと画策したが、ケヴィンたちは、「先輩は姫様の側でお守りください!」という。結局、セドリックの、ジュスティーヌと違うグループになって海坊主にならずに済ませる目論見は失敗した。


 ジュスティーヌのグループには、マッチョボーイに扮するダンがくじを引き当てて加わった。セドリックとしては一番一緒に歩きたくない衣装の男が入ってきたと思った。


 街の中心部にある広場を囲うように露店が並んでいるのだが、もうそろそろ日が沈むというのにまだ外で遊んでいる子どもたちが数名いた。ジュスティーヌたちは子どもたちに声をかける。


「あなたたち、もうすぐお日様が沈むというのにいつまで外で遊んでいるの? 早くお家に帰りなさい。そうでないと、この海坊主が海の向こうに連れて行ってしまうわよ!」


 ジュスティーヌはセドリックに妖怪のマネをするように促す。


「ひっ、ひっ、ひっ、いつまでも外で遊んでいる子は食べてしまうぞー」

「うわっ、なんだこいつ! 気持ちわりー」

「やべっ、変なのが来たから早く帰ろうぜ」


 子どもたちは素直に帰って行った。


「演技力はいまいちだったけれども、子どもたちが恐れをなして帰宅してくれてよかったわ。これでこの街も少し平和に近づいたわね」

「そうっすね! 次は俺に任せてください、姫!」

「頼んだわよ、ダン。ではなくてマッチョボーイ」


 ジュスティーヌたちは広場を見渡す。すると、噴水横のベンチに座ったまま動こうとしない初老の女性がいる。彼女は時折、膝をさすっている。もしかすると膝が痛くて困っているのかもしれない。


「マッチョボーイ、あちらのご夫人、お困りのことがあるかもしれないわ。声をかけましょう」


 女性がパンツ一丁の男に声をかけられたら、その方がよほど困るだろうとセドリックは思うが黙って見守る。


「ご夫人、先ほどからずっとこちらに掛けたままですが、お困りごとはありませんか? よろしかったらこのマッチョボーイがお手伝いいたしますが」


 マッチョボーイは丁寧に声をかけた。初老の女性は顔を上げるとダンを見上げる。


「あらあら、まあまあ!」


 女性はちょっと嬉しそうに頬を染めてマッチョボーイに答えた。


「よく鍛え上げた筋肉だこと! 私の亡くなった主人によく似ているわ。実はね、今日は主人の月命日で、彼が好きだったワインとチーズを買いにここまで来たのだけれども、どうにも膝が痛くなってしまって休んでいたのよ」

「そうだったのですか。よろしかったら、俺が家までお送りしますよ!」

「あらまあ、素敵なお兄さん、申し訳ないのだけれども、お願いしてもいいかしら?」

「お安い御用です!」


 ダンが老夫人をおんぶして、荷物はセドリックが持つ。老夫人の家は歩いて20分ほどのところにあった。歩いている間、4人は老夫人と亡くなったご主人の昔話に花を咲かせた。老夫人は村のアイドルで、3人の男たちから交際を申し込まれた。村一番の戦士だったご主人と結婚し、各地を冒険して回って、この街にたどり着いたのだと。


 家の近くに来ると孫娘が外に立ってうろちょろしながら待っていた。祖母の姿に気が付くとこちらに駆け寄ってきた。


 若い女性だ。今度こそ、マッチョボーイの衣装に驚き悲鳴を上げるかもしれないとセドリックは思うが、そこは戦士爺さんとマッチョ好き婆さんの孫娘である。


「おばあちゃん! と素晴らしい筋肉のお兄さんたち。おばあちゃんを助けていただきありがとうございます」


 むしろ、ダンの鍛えられた身体に見惚れていた。褒められたダンもまんざらではなさそうだ。


 平和防衛隊、活動初日にしてまさかの隊員に恋の予感……!?

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