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悪女姫の仁義なき恋愛バトル――嫌われたい悪役令嬢ですが、腹黒皇子に執着されています  作者: いか墨ドルチェ
第一章 悪役令嬢始動

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第13話 悪女姫 VS 学園のアイドル聖女候補、第一ラウンド開始ですわ!

 現生徒会長は、なんとジュスティーヌの初(・)め(・)て(・)の(・)男(・)になることを拒否したブリオントクロヌ帝国の第三皇子、フレデリクだった。


 あの2番目男がまさかの生徒会長だなんて!


 ということは、裏を返せば、アルフォンスはすでに学園を卒業しているということだ。


 ふうー、これでしばらくの間、あの変態皇子と関わらずに済むわね。助かったぁ……。


 生徒会にアポを取ったところ、明日の午後サロンのティールームでインタビューに応じてもらえることになったので、クラブの副会長であるオリビアとともに訪れることになった。


 ダンスを断ってきたフレデリクのほうは、なんとなく気まずそうな表情をしていた。


 が、ジュスティーヌはこの2番目男の存在自体、名簿を見るまで完全に忘れていた。


 副会長を務めるのはノーザンベル王国の第二王子エルドリック。彼は会長と人気を二分しているらしい。こちらは氷を思わせる貴公子だった。


 そして、会長と副会長の間、まるで両方から愛されていますと言わんばかりのポジションに掛けていたのが、聖女候補と言われている平民のソフィーだった。


 彼女は書記らしい。このソフィーはジュスティーヌのデビュタントの際、フレデリクの隣にいた女性だった。


 生徒会には一定数の平民を入れることになっているが、それ以外はほとんど公爵家以上の、しかも結構見栄えのする令息から成っていた。ソフィーにとっては逆ハーレムといったところだ。


「本日はお忙しい中、お時間をいただき感謝いたしますわ。早速ですが、新入生に一言メッセージをお願いいたします。まずは会長の皇子殿下から」


 よくも2番目扱いしてくれたわね……この恨み、晴らさでおくべきか……と内心で思いながらも、ジュスティーヌは、涼し気な顔で話しかけた。


「これはこれは、ジュスティーヌ姫。お、お久しぶりだね。僕のこと覚えているかい?」


 実はきれいさっぱり忘れてましたわ、今の今まで。あなたのお兄様が強烈な変態すぎて。だけど、2番目扱いしたことはしっかり覚えていますからね。


「はい、我が国の夜会で一度お会いしていますわよね?」


「ああ、そうだね……。あの時のことは、その……なんというか……」


「お気になさらないでくださいませ。2番目扱いされたこと、これっっっぽっちも気にしておりませんから」


「そ、それはよかった……えっと、毎年恒例の歓迎の言葉だよね? 『新入生の皆さん、ご入学おめでとう。学園は優秀な皆さんを歓迎します。大いに学び、学園生活を謳歌し、そして卒業した暁には世の役に立つ人物となってください』こんなでどうだろうか?」


「大変素晴らしいお言葉をありがとうございます」


 って、普通。誰でも言えそうな内容過ぎない? うわぁ、よくこんな普通でわたしのこと2番目扱いしたわよねえ、この人。兄はあんなに変態なのに、あまりにもフツーー。


「次に副会長様、お願いいたしますわ」


「……………………新入などと言って甘えていられるのは入学して一日だけだ。あとは、ひたすら学べ」


「…………」


「…………」


「以上でしょうか?」

「……以上だ」


 氷の王子とは聞いていたけれども、さすがに氷過ぎない? 全然歓迎してないじゃん。いや、これ、そのまま掲載していいの!?


「もお、エルドリックってばあ!? それじゃあ、新入生のみんながこわがっちゃうってっ。えっと、あたしからは、『新入生の皆さん、皆さんがこの学園に入学したことはいわば神様が起こした奇跡です。どうか、この学園でいっぱいいっぱいお勉強してください。お友達もいっぱいいっぱい作ってください。レッツゴーエンジョイ学生ライフです。皆さんの未来がキラキラになりますように』てへっ」


 えっと、最後の「てへ」も入りますかー?  あと、古代魔法王国語の文法が若干おかしいですよぉ。それと学生だけは古代魔法王国語じゃないと、メモメモ。


「さすが、ソフィーは優しいね」


 フレデリクはデレデレしながら、聖女候補を褒めそやす。


 はあ? わたしにはちょっと頭の弱い女にしか見えないのだけど。いや、こんなのを優先して、わたしを2番目にしようとしたわけ!? 生徒会の質……!


 合法的にイケメン王子たちの写真を撮影した後、副会長のオリビアと声を揃えて「ご協力ありがとうございました」とお礼を伝えて部屋を出る。


 すると、先ほどのソフィーがわざわざ追いかけて話しかけてきた。


「王女さまあ、この前はフレデリクが大変失礼しました。かっこいい皇子様にダンスを断られちゃって、めっちゃショックだったよね? 半分はあたしのせいみたいなものだから、あたしからもごめんって言わせて」


 えっ、なに、この女? 真剣に虐めてもいい? いじめてもいいよね? えっ、みんなこの聖女候補のこと虐めてないの? こんなに虐めてオーラを発しまくっているのに!?


 ジュスティーヌは、汚物を見るような目でソフィーを見ていた。が、ソフィーはそんな視線にまるで気が付いてなさそうだった。


「いいえ。2番目と言われたことなんて、全くもって気にしていませんわ。それに、お陰様で、もっと超絶かっこいいウルトライケメン皇子様と踊れたうえ、プロポーズまでしてもらってるんでッ!」


 どや、これぞ悪役令嬢の力よっ!


「あっ、そーいえばそうだったね。でもぉ、アルフォンス殿下は正妃の子じゃないから、皇帝になる順番はフレデリクよりも下なんだけどぉ」


 はっ? だから、何? んなこと聞いてないし!


「まあ、そうなんですの。わたくし自身が王女でめっっっちゃ身分が高いから、皇位継承権などまああああったく気にしませんでしたわ。わたくし、殿方は顔(・)と(・)身(・)体(・)だと思っていますので」


 それに、そういうフレデリク殿下だって、皇位継承権2番目でしょ! 2番目! 自分も2番のくせに!


「えっ……王女様、エッチっっ。もぉ、女の子がそんな『男の人の身体が欲しい』みたいな超エッチなこといっちゃだめですぅ! エッチな女の子だと思われて男の人に嫌われちゃいますぅ!!」


 身体が欲しいとは言っていない。見ていたいだけ。それに嫌われて結構なんだけど。


 そうか、「男は顔と身体」と言えば、エッチな女ってことで殿方に嫌われるのね。おバカを絵に描いたようなあなたからは何も学ぶことはないと思っていたけれども、これ、今後も活用させてもらうわ。


「お話は以上でしょうか? このエッチな王女ジュスティーヌにまだ言いたいことはあります?」


「あっ、もぉいいですよぉ。王女様もぉ、学園でレッツゴーエンジョイ素敵な学園ラブができるといいですね。でも、エッチなのはぜぇーったいに”めっ”ですよぉ」


 そのレッツゴ(・)ー(・)エ(・)ン(・)ジ(・)ョ(・)イ(・)って何!? 流行語か何かなの!? アホなの!? なんでこれが1番目で、わたしが2番目!?


 それにしても聖女候補おそるべし。彼女が絡んで来てくれれば、何の努力もせずに悪役令嬢になれる気がしまくっているジュスティーヌだった。


 そして、ジュスティーヌとソフィーの特ダネ級の会話を近くで一部始終聞いてしまい、顎が外れそうになっているジャーナリズムクラブ副会長のオリビアだった。

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