帰り道
読みにくかったり、表現が分かりにくいところがあったりすると思いますが、最後まで読んでいただけると幸いです。
ゲーセンを出て、夜の街を二人で歩く。
咲はぬいぐるみを抱えながら、楽しげに話し続ける。
「今日、めっちゃ楽しかったねー」
「ああ、ホントにな」
「ボウリングで初めてストライクも出せたし、勝ったし、さいっこーに楽しかった」
「そりゃよかった」
ボウリングやカラオケ、ゲーセン――今日一日の出来事を思い返しながら、笑い合う。
歩くうちに、自然とクレーンゲームの話題になった。
「それにしても、ぬいぐるみ、ありがとうね」
「ああ……でも、あの店員さんの助けがなかったら無理だったよな」
その言葉に、ふたりして一瞬足を止める。
さっきまでの明るさが、すっと夜風にさらわれた気がした。
「……だね~」
咲は小さく微笑むけど、声はどこか控えめ。
俺はその横顔を見つめきれず、視線を逸らした。
そんなこんなで、咲の家の前に着く。
夜風は冷たいはずなのに、今日の楽しさが胸の奥で温かく残っていて、寒さをほとんど感じなかった。
「今日はありがとう。本当に楽しかった」
「うん、私も。また明日、成人式で会おうね」
咲はぬいぐるみを抱え直し、笑顔で手を振る。
「おう、また明日」
俺も手を振り返す。
その笑顔に胸がじんわりと熱を帯びて、咲が家の中に消えるまで見送った。
ドアが閉まった瞬間、胸の奥にひやりと隙間風が吹き込んだ。
街灯に照らされた道はやけに冷たく見えて、心まで一気に冷え込んでいく。
思わず立ち止まり、膝を折ってしゃがみこんだ。
――どうして言えなかったんだ。
どうして告白しなかった。
明日は成人式だってのに。
今日が最初で最後の二人きりの時間だったってのに。
…………そんなの分かってる。
それは、今日があまりにも楽しかったから。
咲と過ごす時間が心地よすぎて、楽しすぎて、『告白する』ってことが頭から抜け落ちていた。
「……くそ」
とにかく、後悔を抱えたままじゃ終われない。
後悔を残さないように、明日こそ――必ず告白する。
拳を握りしめ、夜空に向かって心の中で誓った。
「明日こそ、絶対に……」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回も読んでいただけると幸いです。
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