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ゲーセン

読みにくかったり、表現が分かりにくいところがあったりすると思いますが、最後まで読んでいただけると幸いです。



 カラオケを出て、次はゲーセンへ向かうことにした。

 咲は少し猫背になって歩いている。


「……お腹いっぱい……」

「あんなに食うから」

「えへへ、ちょっと調子に乗りすぎた」


 笑いながらも、どこか苦しそうに眉をひそめる咲。

 その姿が可愛くて、つい手を差し伸べたくなる。


「じゃあ、無理しなくていいぞ。軽く、吐かないようにな」

「うん……頑張る」


 エスカレータを下り、一階のゲーセンに入ると、色とりどりの光と音が二人を包む。

 UFOキャッチャーやプリクラ、レースゲームやメダルゲームコーナーの爆音が轟き、テンションは自然と上がる。


「ねえ、見てよ、これ!」


 咲が小さくジャンプして指差すのは、ピアノみたいな音ゲー。

 苦しそうにしながらも目はキラキラしていて、笑顔が弾んでいる。


「おいおいおい、ジャンプするな。吐くぞ」

「ははは……楽しみすぎて、お腹のこと大丈夫になったかも」

「なんだそれ……」


 その言葉に、俺もつられて笑った。


「じゃ、まずはこれやろー!」

「はいはい」

「じゃあ、勝負ね!」


 難易度はハード。

 二人並んで譜面が流れ始める。

 リズムに合わせてボタンを叩く音が重なる。


「おおっ、意外と強いじゃん!」

「余裕余裕!悠馬もやるね!」


 笑いながら指を滑らせる咲の姿に、思わず視線を譜面に戻す。



 そして、次はクレーンゲーム。

 咲が目を輝かせて、ケースの中を指さした。


「悠馬、これ! 良くない!?」

「……なんだこれ? しまうま?」

「牛だよ」

「なんで牛がしましま模様なんだ?」

「さぁ?」

「分からないのに欲しいのかよ」

「うん!」


 ケースの中には、座った黒と白のしましま模様の牛?のぬいぐるみが鎮座していた。

 何でしましまにしているんだ?と疑問があるが、なんだかじっと見ているとじわじわ可愛く思えてくる。


 ――これ、もし取ってやれたら。

 きっと「やるじゃん」って思われるはずだ。

 普段ぱっとしない俺でも、ちょっとはかっこよく見える……かも。


「……じゃあ、取ってやるよ」

「え、いいの? ありがとう」


 親指を立てて、ニッと笑ってみせる。

 コインを投入し、アームを操るが……なかなか掴めない。

 気付けば四千円ほど消えていた。


 財布を覗くと、残りは千百円。――あと十一回。

 どう狙えばいいか思考を巡らせていると、肩をポンポンと叩かれる。


 ……店員さんだ。


「これなら、すぐ取れますよ」


 そう言って、ぬいぐるみを取りやすい位置にそっと移動してくれる。


「ありがとうございます!」


 頭を下げ、コインを投入。

 アームで押し込むと――


 ドサッ、と落ちた瞬間、二人の声が重なった。


「よっしゃー!」

「おー!」

「ほら、これ。咲に」

「わっ、本当にくれるの?」

「男が持つより似合うだろ。それに、取ってやるって言ったからな」

「……ありがとう」


 咲は受け取ったぬいぐるみを、胸の前でぎゅっと抱きしめた。

 しましま模様の牛が、彼女の腕の中で少し押し潰される。

 その表情は、まるで新しいおもちゃを買ってもらった小さな子どもみたいに嬉しそうで――見ているだけで、なんだか胸がくすぐったくなる。


 そのとき、店員さんがにこやかに言った。


「彼女さん、よかったですね! 彼氏さんも、おめでとうございます!」


「わっ!」と、二人して同時に声を上げる。

 すっかり存在を忘れてた。


「それでは、失礼しますね!」


 ぺこりと頭を下げ、そそくさと立ち去る店員さん。


「……彼氏」


 一瞬の沈黙。

 咲の目がまんまるになり、頬がじわじわ赤く染まっていく。


「ちょ、店員さーん!」


 声を張り上げると同時に、ぱたぱたと駆け足で店員さんの後を追っていった。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回も読んでいただけると幸いです。

コメント・誤字脱字報告・改善点の指摘など、頂けると励みになります。

続きのお話はできるだけ、一週間以内に上げたいと思います。


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