表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

カラオケ

読みにくかったり、表現が分かりにくいところがあったりすると思いますが、最後まで読んでいただけると幸いです。




 ボウリングが終わり、次はカラオケだ。

 受付を済ませて、小さめのカラオケルームに通された。

 照明はほんのり暗く、テーブルの上にはタッチパネル。

 ボウリングの余韻が残っているのか、咲の頬はまだ赤みを帯びている。


「じゃあ……罰ゲーム、お願いします」


 勝者らしい満面の笑みを浮かべながら、咲が注文用タブレットを俺の方へ押しやった。


「はいはい。……何がいい?」

「ポテト! あと唐揚げとー……チョコパフェ! ハニトーも!」

「おいおい、頼みすぎだろ。ほんとに食べきれるか?」


 次々と口にする咲の注文に、思わず眉をひそめる。

 どう考えても、食べきれる量じゃない。

 ここは突っ込まないわけにはいかなかった。


「大丈夫大丈夫! もし残っても、悠馬が食べてくれるでしょ?」

「……はぁ、しょうがねぇな。罰ゲームだし。はい、注文完了」

「やった!」


 勝ち誇ったように両手を握る咲。

 その姿は、さっきストライクを決めた瞬間と同じくらい、無邪気で眩しかった。


 ひと息ついたところで、咲が曲を選ぶタブレットを手に取る。


「じゃ、最初は私ね」


 そう言って慣れた手つきで検索を始めると、すぐに画面に有名なアイドルグループの曲名が表示された。

 高校の頃からカラオケに来れば必ず歌っていた、咲の十八番だ。


「さてとっと!」


 イントロが流れた瞬間、咲は立ち上がり、軽く肩を揺らす。


「お、待ってました!」

「いぇーい!」


 マイクを片手に、笑顔を浮かべる咲。

 画面の中の本人映像と同じ動きで踊り、サビでは両手を大きく広げてステップを踏む。

 合間にちらりとこちらを見て、笑う咲。

 合間合間のファンサービスや、曲に合わせて楽しそうに踊る姿は、まるで本物のアイドルみたいだった。

 いや――俺の目には、アイドルよりも魅力的に映っていた。




「よしっ、完璧!」


 画面に表示された『94点』を眺めながら、肩で息を整える咲。

 その様子に、俺は思わず手を叩いていた。


「……すげぇ、見惚れた」

「え、ほんとに?」


 驚いたように目を丸くし、けれどすぐに照れくさそうな笑みを浮かべる咲。


「ああ。やっぱうめぇな」


 高校のときも同じように歌って踊っていたはずなのに、今はそれ以上に魅力的に見える。

 久しぶりに見たからか。

 それとも――咲自身が昔よりずっと輝いているからか。


「ほら、次は悠馬の番!」


 タブレットを渡され、俺も曲を探す。

 高い声の曲は歌えないから、履歴から知っている歌を選んだ。


「えーっと……じゃあ、これで」


 画面に懐かしい歌手の曲名が映ると、咲が小さく拍手した。


「あ、これ懐かしいね!中学生頃に流行ったっけ?」


 曲が始まり、俺はマイクを口に近づける。

 が、出だしから音程が外れていた。


「あれ……?」


 自分でも苦笑しながら続けるが、どうにも外れっぱなし。


「ぷっ……!」


 咲がこらえきれず吹き出す。


「やばい、音程ぐちゃぐちゃだよ!」

「分かってる!」


 必死に声を張っても結果は同じ。

 咲はお腹を抱えて笑いながら、それでも手拍子をしてくれる。


「がんばれー! ラスサビ!」


 どうにか最後まで歌い終えると、咲は涙が出るほど笑っていた。


「ふふっ……最高、面白すぎ」

「いや、俺は真剣なんだけど」


 むくれて言うと、咲は目尻を拭いながらにこりと笑う。


「やっぱり音痴なのは変わってないね」


 からかわれているはずなのに、胸の奥がじんわりと温かい。

 どうしてなんだろう――答えを探しているうちに、咲が入れたらしい曲の前奏が流れ始めた。


「ねえ、これ一緒に歌お? ほら、デュエット曲」


 そう言って、楽しそうにマイクを差し出してくる咲。


「……マジで? 俺、この曲サビしか知らねぇぞ」

「知ってんじゃん! なら、いけるね!」


 無茶ぶりにもほどがある。

 けど、その無邪気な笑顔を前にすると、断れない。


 咲は楽しそうに歌い出し、俺も慌てて声を重ねるが――当然のように合わない。

 声の高さもリズムもバラバラで、サビになってもずれっぱなし。


「ちょ、悠馬、ずれてるって!」

「いや、これむずいって!」


 どうにか歌い切ると、画面に点数が表示された。


『47点』


「……え」

「ははっ、ひどっ!」


 咲がマイクを抱えてテーブルに突っ伏す。

 俺も思わず吹き出した。


 これまでで一番ひどい点数。

 なのに、二人して涙が出るほど笑い合った。

 笑いすぎて息ができなくなるくらい、ただただ楽しかった。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回も読んでいただけると幸いです。

コメント・誤字脱字報告・改善点の指摘など、頂けると励みになります。

続きのお話はできるだけ、一週間以内に上げたいと思います。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ