再会
短編「好きだ、って言えたら」の続編を作ってみました。
蛇足なのは承知の上ですが、最後まで読んでいただけると幸いです。
卒業式のあの日から、二年が経った。
春が来るたびに思い出すのは、あの日の、背を向けて歩いていく咲の後ろ姿だ。
何度も、何度も何度も「告白していれば、今でも一緒にいれたのかも……」と考えて──そのたびに胸の奥が痛む。
咲のチャットの入力欄に何かを打ちかけては、結局すべて消してしまう。
そんなことを繰り返すうちに、気づけば二年が過ぎていた。
あと少しで成人式。
時が流れた実感はあるのに、心のどこかはまだ、卒業式の日に取り残されたままだ。
そんなある日。
駅から家へ帰るいつもの道を歩いていて、ふと思い立って遠回りをした。
中学や小学校の頃、登下校でよく通った懐かしい道。
夕方の空は少し霞んでいて、アスファルトには長い影が伸びている。
その景色に、少しだけ過去の自分が重なった。
角を曲がった先に、昔よく立ち寄ったコンビニがある。
中学時代に咲と部活帰りに立ち寄ったり、高校時代はここで集合して一緒に学校まで行ったりした。
特に欲しいものはないけど──なぜか、足が勝手にそっちへ向かう。
店まであと五メートル程に迫った時、店のドアが開いた。
中から人が出てくる。
手にレジ袋をかけてるし、きっと買い物が終わった人だろう。
あまり目を合わせないように、少し視線を下に向けて歩き出す。
「……悠真?」
前から女性の声がした。
俺の名前を知っている、知り合いの女性。
そして、俺を呼び捨てで呼ぶ女性。
──まさか。
ほんの少し、淡い期待を抱いて顔を上げる。
そこにいたのは、綺麗な金髪のロングヘアーの女性だった。
一瞬、誰だか確信できずに戸惑う。
というのも、これまで関わってきた女の人に金髪の人はいなかったから。
だけど、その戸惑いは一瞬で晴れた。
外見は変わっても、声や立ち方、驚いたときに手を口に当てる癖──小学校から高校まで長い年月を隣で過ごしてきたからこそ分かる。
「……咲?」
「ほんとに悠真だ……びっくりした。今、帰り?」
「まぁ、そんなとこ。ってか……なんで咲がここに?」
「いや、もうすぐ成人式じゃん。帰ってこない理由ある?」
懐かしい笑顔で、あっけらかんと答える。
それだけで、二年分の空白が急に縮まるような気がした。
「……ないな」
俺も咲の笑顔に合わせるように笑って答える。
高校時代に戻ったみたいで、胸の奥がじんわりと熱くなる。
(……ってか、咲、成人式出るのか)
咲が成人式に出るということは、少なくともあと一週間はこの街にいる。
……これは、最後のチャンスかもしれない。
二年前からずっと引きずってきた後悔を、今度こそ終わらせるための、最後のチャンス。
成功するかどうかはわからない。
けど、何もしないまま終わらせたくはない。
もう、後悔はしたくない。
今日は咄嗟過ぎて準備も覚悟もできていないけど、成人式までに、絶対になんとかする。
あの時と同じ失敗はもう絶対にしない。
そう、心の中で静かに、固く決意した。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回も読んでいただけると幸いです。
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