少年吸血鬼の実力
手から光の魔法が放たれた。
部屋を白い光が包み込んだ。
広範囲の光魔法。【フラッシュ】
目眩まし程度の光を魔力に物を云わせて発動する事で肌を焼く程の光にする。それに聖女の魔力の効果を付与した。
魔成る者へだけダメージを与える特攻攻撃。
光が落ち着き部屋が元の姿を取り戻す。そこには吸血鬼は居ない。
殺せた?
安堵しかけた瞬間。後ろから声が響いた。
「物騒な技だね。狭くて屋内じゃ無いと使えない技ってとこ?」
背筋がゾッとして振り向き座間に魔法を発動。光を凝縮する。光の杭が手に生成される。それを吸血鬼へと打ちつける。が、
「な、なんで!」
手応えが無く吸血鬼を見る。杭が打ち込まれた顔は半分が消し飛んでいた。が、吸血鬼は平気そうにしていた。
「分からないだろ?これも代金に加えとくね。」
彼が手を掴み。顔から杭が離れる。
すると、顔は簡単に治った。
「な、何故?なんで!?」
発狂に近い叫びを上げながら吸血鬼へと魔法を放とうとした瞬間に手首が掴まれた。
握られた手首は痛みを訴えて来る。
「っ!い、痛い!」
ミシミシと音が聞こえてくる。吸血鬼が私の手首を砕こうと力をゆっくりと加えていた。
「このッ!はな、はなせ!ッ!うがぁ!」
藻掻いて掴まれた手首を外そうとすると更なる力が加えられる。睨みつけて吸血鬼を見るが吸血鬼は楽しそうに笑っていた。
その顔に恐怖を覚え、離れ様としたが手首を摘まれていて逃げ出せない。
身体が強張り言う事を聞かない。逃げたいのに逃げれない。そんな私に気がついて少年吸血鬼は表情を変えた。
「おっといけない。怖がらせたかな?そう言えば『何故』って聞いてきたよね?教えたあげる。追加代金は貰うからね。」
表情を変えた少年吸血鬼は淡々と説明する。
「吸血鬼のスキルに【霧化】があるのは知っている?」
説明を大人しく聞いていた私はこくこくと首を振る。
少年吸血鬼は「いい子だ」と呟き話を再開した。
「攻撃を喰らう瞬間【霧化】をしようするんだ。そしたらその部分だけは実体が無くなる。魔法の部分だけは【霧化】で回避して、魔法が無くなれば治す。簡単だろ?」
私はこくこくと頷き、同意した。が、それなら一つ疑問が残った。
【フラッシュ】の魔法はどう回避したのかだ。フラッシュは部屋全体を包み込んだ。避けれない筈。
私は恐る恐る質問した。
「な、なら【フラッシュ】はどう避けたの?」
少年吸血鬼は少し驚きながら答えてくれた。
「気つかれたとは…、まぁいい、これも追加代金を払って貰うよ?」
「……」
私は黙って睨み返した。
彼は苦笑しながら話し出す。
「【霧化】する前に僕に【結界】を掛けたんだよ。」
「【結界】?でもそんな直に掛けれないでしょ?」
少年吸血鬼は「鋭い」と一言置き話す。
「【結界】は大きさ効力により発動難易度が変わる。【結界】を人1人を包み込む様に発動するには最短1秒いる。だけど、それは人ぐらいの大きさの場合だ。」
そこまでま言われて私はハッとした。
「まさか…【霧化】した状態で【結界】を!?」
「おしい!【霧化】前に【結界】を発動した。時間差で【結界】を発動して光を防いだって訳。」
この吸血鬼の強さに。私は戦慄した。