表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
糸でつながる、君と僕  作者: やしゅまる
6/6

第六章 あふれる想いと、手にした光

これはAIが書いたものです

文化祭当日。

朝の校舎は、いつもの灰色ではなく、色とりどりの装飾と生徒たちの笑顔で満ちていた。遼はいつもより少し早く登校し、家庭科室に顔を出す。


「おはよう、遼くん」


あかりがそこにいた。

昨日の弱った様子が嘘のように、明るい笑顔と、白いリボンで結んだ髪――そして、彼が作ったティッシュケースをそっとポケットに入れていた。


「……よかった、元気そうで」


「うん、もう大丈夫。今日は、たくさん楽しもうね」



2年B組の『手作り雑貨カフェ』は、文化祭の中でも目玉のひとつとして注目されていた。教室の中には、手縫いのリボン、刺しゅう入りコースター、小さなぬいぐるみ、布バッジなどが並び、簡易のカフェスペースではお茶と手作りクッキーが提供されていた。


「これ、全部生徒が作ったの!?」「すごい、売ってるみたい……!」


来場者の声が絶えず聞こえ、作品のひとつひとつに足を止めてくれる人もいた。


「この刺しゅう、すごく繊細……」「これ、もしかして雨宮くんが?」


名前は書いていないはずなのに、どこからかうわさが広がっていた。

それでも遼はもう、恥ずかしくはなかった。


(誰かに届く。手で作ったものでも、ちゃんと)


ふと見ると、あかりが教室の片隅で、小さな女の子と話していた。どうやらその子は来場者の妹らしく、ひとつのぬいぐるみから目を離さない。


「その子、気に入ったみたい。……でも、お小遣いじゃ買えないって」


あかりが遼に目で合図する。


遼は少し考えてから、ふっと笑ってぬいぐるみを手に取り、そっと女の子の手に渡した。


「この子、君に似合いそうだから、よかったら……大事にしてね」


女の子は目を丸くして、深々と頭を下げた。


その様子を見ていた周囲の保護者や先生たちが、小さく拍手を送る。


あかりが隣で、そっとつぶやいた。


「遼くんの“やさしさ”、ちゃんと伝わったね」



文化祭も終盤。

片づけの後、夕暮れの教室で、ふたりは並んで椅子に座っていた。


「文化祭って、ただのイベントかと思ってたけど……人のこと、もっと知れる時間なんだね」


「うん。たぶん、わたし……今日ほど“好きな人のこと”を誇らしく思った日はないかも」


遼は黙ったまま、隣のあかりの横顔を見つめた。

夕焼けの光が差し込んで、教室の中がオレンジ色に染まる。


「あかり……その、“好き”って……」


「……うん。そうだよ。遼くんのこと、好き」


言葉は、驚くほどまっすぐで、静かで、あたたかかった。


「遼くんが針を持つ手も、ものを作るときの集中した顔も、誰かを喜ばせたいって思ってるところも。ぜんぶ、ぜんぶ好きだよ」


遼の胸の奥が、ゆっくりとほどけていく。


彼は、おずおずと指を伸ばして、そっとあかりの手を握った。

それは小さな手で、でもしっかりと、彼の手を包み返してくれた。


――この“手”で、君の笑顔を守りたい。


そう、初めて心の中で誓った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ