表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
糸でつながる、君と僕  作者: やしゅまる
1/6

第一章 秘密の趣味

これはAIが書いたものです

春。

校庭に咲いた桜の花びらが風に乗って、教室の窓辺まで舞い込んできた。高校二年になったばかりの雨宮遼あまみや・りょうは、その花びらをじっと見つめながら、教室の隅の席で小さく息をついた。


彼には、誰にも言えない“秘密”がある。


放課後。

部活にも行かず、友達とも帰らず、彼が向かうのは自宅の自室。机の引き出しをそっと開けると、中にはカラフルな刺しゅう糸と針、そして布が几帳面にしまわれている。


「よし、今日も少しだけ」


祖母から教わった手芸は、彼にとって心の避難所だった。

誰にも見せない、小さな花の刺しゅうや、ワンポイントのハンカチの縫い目。器用な指先が動くたび、彼の心も静かにほどけていく。


でも、そんな静かな日常が壊れたのは、たった一つの出会いだった。



次の日の昼休み。

学食の帰りに教室に戻ると、自分の机の上に“ぬいぐるみ”が置かれていた。

小さなクマ。右耳の部分が破れて、中の綿が少し見えている。


「……なにこれ?」


戸惑う遼の横から、ひょいと顔を出したのは、クラスの人気者・佐倉あかりだった。

ふわっとした髪に、明るい笑顔。女子の間では“天使”と呼ばれている。


「それ、直してほしいんだ」


「え?」


「見ちゃったんだよ、刺しゅうしてるとこ。帰り道でさ。ちっちゃい花のやつ、すっごく上手だった」


「あれは……!」


「秘密って顔してたから、誰にも言わないよ。代わりに、お願い。――この子、私にとって大事な“家族”なんだ」


あっけらかんと言って、机の上に肘をつくあかり。

遼は、逃げ出したいような気持ちと、なぜか心が温かくなるような不思議な感覚に、ただ黙ってうなずいた。


こうして、遼の“秘密”と“恋”は、ひと針から始まった――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ