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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第82話 弟子入り

修行編

 そこは広い修練上のような場所だった。地面はならされた土。右手には家屋があり、周囲は武家屋敷のような塀で囲まれている。奥の方には妙に大きな岩が複数置かれた場所がある。木人が数体並んでおいてある場所もある。


 なんというか、日本でこの広さの修練場は建てられないよなぁと漫然と考えていた。


『覚悟は決まったか?』


 後ろから声を掛けられ振り返る。そこには皆朱の棍を携えた壮年の男性が立っている。服は道着に袴という日本の武術家といったいで立ちだった。ぱっと見では人間のように見えるが、その凪の無い水面のような静かなプラーナの底に途方もなく練りこまれた巨大なプラーナの一端を感じるようだった。間違いなく神様だろう。


「未来の可能性を体験してきましたよ。もしあんなことが起きたとしても俺は俺の信じた未来へ恐れずに進みます。」


『うむ、良き目だ。儂の名は経津主。高屋穂織、お前に武術の稽古をしようと思う。』


「フツヌシ様、ありがとうございます。武術というのは棍の修練ということでしょうか?」


『そうだな、本格的に稽古をつけてやりたいのだが、今回はあまり時間がない。今のお前に足りないものを教えようと思う。』


「足りないもの…ですか。」


『まぁまずは基礎訓練からだ。プラーナを扱う肉体自体を鍛えねば、どれほど技を練習しても本来の力は発揮できん。』


 最初の修行は基礎中の基礎、肉体作りからだった。プラーナを多く吸収したことによって俺の身体能力は飛躍的に向上していたが、物理的な肉体を鍛えること自体にも意味があるという。


 午前中のメニューはいたってシンプル。修練場の外にある600m程度の小山の山頂まで走って往復。だいたい10kmくらいを最初に走る。


 朝食をいただいた後、筋トレを開始。上半身、腹筋、背筋、下半身と全身を鍛えるメニューを一通り。


 午後からは棍の基本の型を繰り返す。榊鬼のトウガに教わっているため基本的な動きは問題ないと師匠も言ってくれた。型になぞってプラーナをよどみなく流すよう言われ、改めて意識しながら型を続ける。


 操鬼闘法こそ切れないものの、体を動かしているとプラーナの流れがつながらないところがあったりと、まだまだ基礎的な使い方が甘いことを知らされる。


 師匠が言うには、プラーナ自体がエネルギー源の神と違い、プラーナを感じずに生きてきたアッシャーの生物が全く意識すらせずにプラーナを扱うためには長い時間がかかるとのこと。今回は1か月程度の修行らしいので、それが終わった後でもこの稽古は続けるように言われた。


 ちなみにこことアッシャーの時間の流れは異なっているらしく、1か月修行してもアッシャーでは1日程度らしい。昔の格闘漫画でそんな設定の場所が神様の住居にあったような…。


 1週間ほど基礎を続け少しずつプラーナの流れが淀みなくなってきたかというところで、師匠から地稽古の追加を指示される。


 師であるフツヌシは武の神と呼ばれるだけあって武芸百般、どのような武器でも一通り扱えるらしい。棍をもって向き合うと隙があまりになさ過ぎて打ち合う前から勝ち目がないことがわかる。だが、恐れていても何もつかめないので、自身の最善の動きを意識し、ひたすらに打ち込む。何度もうち叩かれ、突かれ、転ばされる。


 だが、プラーナの流れだけは決して乱さず攻撃を続ける。こちらの攻撃がまるで通じないということは全力を出しても相手を傷つけることが無いのだと気付いたので、相手が敵でなくてもすべてを尽くして攻撃することが出来た。


 ちなみにここにある家屋では、食事は誰かが用意している物が勝手に出てくるようだ。師匠が作っている様子はないが、ここには俺と師匠以外は存在しない。全く気配も感じない。不思議な屋敷だが神の領域なんてものはそんなものか。掃除や洗濯も不要とは、世の人からするとうらやましいものかもしれない。


 地稽古が始まって4日ほど経つが、いまだに師匠は一歩も動かずに俺をボコボコにしている。どうにかして一歩でも動かせないものか…。


『自分の未熟さは十分にわかっていると思うが、そろそろお前に必要なものを知っていかねばならん。3日分の食料を用意してあるから山のふもとの洞窟に入り、最奥にある宝珠を取って参れ。中には様々な敵がいるから注意せよ。休む場所も自分で確保するのだぞ。』


 良く分からないがサバイバル訓練みたいな感じ?探検ミッションかな?次の段階なのか息抜きなのかはわからないが、とりあえず指示に従い洞窟に向かう。毎日走りっている時に入口は見えていて気にはなっていたから少し楽しみだ。


 家屋に戻ると背負い袋のようなものが用意されていた。なんでも出てくるなこの家。


 棍と背負い袋を持ち洞窟に向かう。毎日走っているコースの途中だからすぐに入口についた。洞窟の通路は人が2人並んで歩ける程度の広さなので、棍を長く持つとぶつかりそうだ。


 灯りもないので、光量を押さえた光をプラーナで作り出し、棍の先にともす。


 洞窟の中では大型の蝙蝠や地面や壁に偽装したスライムが襲ってくる。蝙蝠は噛みつきや足の爪でひっかきながら飛んだりしてくるが、それらの攻撃よりこちらには聞こえない音を使って気付かぬうちに平衡感覚を崩してくる攻撃は厄介だった。最初は気付かず戦っていたため、最初に崩された時は体制を崩した瞬間に複数で襲われ、かなりの傷を負ってしまった。


 荷物の中に傷薬があったので外傷はなんとかなったが、レベッカのありがたみを改めて感じた。


 スライムは保護色を利用して近づいてくるので、目に頼っていると奇襲を受けただろうが、プラーナ感知で場所は把握できていたので、不意を突かれることは無い。核のようなものがあるようなので、バレットや土槍で核を貫く練習をさせてもらった。こちらの攻撃に反応して核の位置を動かすので、射撃精度向上の特訓になったし、決まったときの快感は洞窟探検の言いスパイスになったと思う。


 洞窟にはところどころ横道に部屋があり、入口に障壁を張れば簡易的な休憩所にすることが出来た。寝るときは光を消した方が良いかなと思ったので、少しだけ光を消して敵と戦ってみることにした。頼れるのはプラーナ感知だけ。


 さすがに最初は何度か蝙蝠に噛みつかれ、引っ搔かれた。だが超音波については発する際に微量にプラーナが動いていることに気付き防ぐことが容易になった。何でもやってみるものだなぁ。


 暗闇に慣れてきたので、プラーナ感知と気配察知を切らさないように意識しながら、睡眠をとってみる。幸い、初日は襲われることなく眠りにつくことが出来た。


 次の日も灯りありとなしを両方試しながら進む。途中で広間にでたところで牛の頭をした人型のアクマが待っていた。手には両手もちの斧、というかハルバード?のような長柄の武器を持っていて、かなりパワーがありそう。部屋自体は明るさがあるので、棍の先にともしていた光は消す。


 明らかに敵意があるので、棍を構え慎重に間合いを詰める。背丈は向こうの方が高いからリーチも長そうだ。ギリギリ敵の間合いの外と思われる辺りで足を止める。


 こないからこちらから行くぞと言わんばかりに、グオオオと叫び声をあげて斧を振るってきた。


 初撃は少し大きめに回避してみた。特に斧から何かが飛び出てきたり、叩きつけた斧から衝撃波が発せられることもなかったので、特殊攻撃はあまりなさそうかなとあたりを付ける。


 今度はこちらが踏み込み突きや払いで攻撃。力任せに弾き飛ばそうとして来るので、斧を持っている指を叩き、一瞬力が抜けたところで斧を弾き飛ばしてみた。あっけにとられたような顔をしているところに、棍を打ち付け、足を払い、倒れるところで本気の突きを放つ。


 棍の直撃を受けた牛男は壁まで吹き飛び、壁に大きな亀裂を残した。そのまま倒れた牛鬼は光になって消えていった。


 最後の突きのために踏み込んだ地面には足の後とひびが入っていた。俺の踏み込みもそこそこいい力が入るようになってきたようだ。


 俺はさらに奥に進んでいく。

エンカウント:Lv?? 経津主神 / Lv35 大蝙蝠 / Lv35 洞窟スライム / Lv40 牛頭

ミノタウロスと見せかけた牛頭先生。馬頭の出番がない不遇キャラ


ロカ・プラーナではアクマデバイス(というかスマホそのもの)が機能しない設定としています。

前話でミコトのスマホにメッセージが届いたのは親の子を思う不思議なパワー的なオーラちから的な何かということにしましょう。


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