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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第81話 前に進む

~~Side 玉乃井 美琴


 鳥居を抜けるとナイン&Jモールに出ていた。左手を握ってくれた感触はなく、肩も軽い。


「はぁ…せっかく手をつないだのに別行動かぁ…オオヤマツミ様もひどいなぁ。」


 もう少し雰囲気があるところで手を繋げたらよかったかな…っていやいや!今は修行中。何考えてるんだ、わたしは。気合を入れよう!


「命…戻ったのか…」


 背後から声を掛けられた。この声は…


「パパ!うん、戻ってきた…あれ?」


「お前というやつは!ママを失ってこんなにもつらい思いをしている親を置いて、男を追いかけて出ていったままとはな!」


「え?え?パパどうしたの?わたしそんな…」


「あげくに人間をやめるだと!お前は家族を捨ててまでやりたいことがそんな事なのか!?

 お前じゃなくて(のぞみ)が生きていてくれれば良かったのに!」


 !?…わたしだってママの死を受け入れられずに苦しんでいるパパを見てそう思ったよ…


 心がちぎれてしまいそうになったとき、とても温かいとても安心する腕に後ろから抱きしめられた。


(みこと)、わたし達はあなたを愛しているわ…ねぇ覚えている?小学生のころ、あなたは体が弱かったよね。学校も休むことが何度もあったり、登校できても保健室で休ませてもらったこともあった。運動会は頑張ってダンスだけ参加してたけど、徒競走も他の競技も参加できなかった。

 でも、テレビでビキニフィットネスの女性のインタビューを見てからトレーニングをしたいって言いだしたよね。

 正直ね、ママはとっても心配だった。でもパパは(みこと)がやりたいって言いだしたことだ、絶対に応援してやろうってね。お医者さんにも相談して、小学生が初めてもいいトレーニングや食事なんかも、たっくさん調べてくれたの。』


「一緒にトレーニングもしてくれた…」


『そう、仕事が忙しかったはずなのに有休を取って命と一緒にトレーニングジムに通ってたわね。パパもママも(みこと)のことを誰よりも愛しているわ。パパもすぐに元のパパに戻ってまた一緒に頑張ってくれるわ。だってわたしが選んだ旦那さまだもの。「自分と未来は変えられる。何歳になっても、いつからでも。」でしょ?』


「うん、うん、ありがとうママ…わたし…自分が、そして自分が信じた人が選んだ未来を絶対にあきらめない!」


 ふとXitterのメッセージが届いているのに気がづいた。パパらかのメッセージだ…


(みこと)、すまなかった。心配をかけたね。そして沢山メッセージをくれていたのに返せていなくてごめん。たくさんの場所でたくさんの人を助けたんだね。さすがはパパとママの自慢の娘だ。パパはいつだって(みこと)が信じた道を応援しているよ。でも時々帰ってきて元気な姿を見せておくれ。


 追伸、宮城君のところで情報を収集・整理する仕事につくことになった。パパも頑張ってこの世界で生きる人々のために働くぞ!』


 パパ…良かった…パパも立ち上がって進もうとしているんだね…


『ね、大丈夫だったでしょう?さぁ(みこと)も立ち止まっていないで前に進みましょう!あなたはママとパパの自慢の最強の娘よ!』


 目の前の景色がまばゆい光に飲み込まれていった。


~~Side 高屋 絆&コッチー


 ホオリちゃんに抱っこされて鳥居を抜けたと思ったのに私は地面に立っていた。なんだか視線が高い気がする。おかしいなと思って自分の身体を見てみたら人間の姿だった。


 高屋絆の姿に戻ってる…ここは…なんだか真っ白な空間…どこだろう?


 何にもないので少し歩いてみたらコッチーが座っていた。


『久しぶりの自分の体はどうニャ?キズナ』


「コッチー…喋ってる…」


『ここは魂の写し鏡って言うんだってさ。』


「魂の…ということはコッチーと私の魂はいま別々になっているってこと?」


『そうみたいだよ。こうやってキズナと話をする時がついに来たってことニャ。』


「そっか…。コッチーには謝らないとね…勝手にコッチーの体に入っちゃって…」


『そんなことはないニャ。キズナがいなかったらあたしはお家が崩れて投げ出された時に死んでたし、ホオリがピンチの時に助けることもできなかったニャ。』


「そっか…それなら良かったよ…」


『これから一緒に修行するニャ。あたしとキズナの魂をもっと近づけて、一つになる準備をするニャ。』


「一つになる準備…」


『そう、コッチーでもなくキズナでもなく、でもコッチーでありキズナでもある。実際はどうなるかわからないニャ。でも上手くいけばあたし、というかキズナも喋れるようになるかもしれないニャ。』


「わかった。私も覚悟を決めるよ。やってみよう、コッチー!」


~~Side レベッカ


 ミコトの肩に乗って鳥居を抜けたはずだったが、抜けた先では地に足を付けて立っていた。転移門のような気がしていたので想像通りかとため息をつく。


 ここからは一人ずつ試練を受けよということだろう。確かに今のチームは驚くほど連携が出来ている。上手くいきすぎてタケミカヅチのような完全な格上にも勝ててしまうことがあるほど。


 だが、ベリアル戦のように連携ではどうにもできないほどの力の差がある場合は、連携など無意味だ。圧倒的な個の力というものもこの先には必要だろう。私でいえば偉大なる妖精女王のような。


 となればこの場所に連れてこられたのも納得がいく。そう、私の故郷である妖精の森に。


 ここに来たならば行くところは一つ。最優先で向かわなければならない。妖精であるならば。


 さて、ここは入口付近だ。早々に移動を開始する。アッシャーにはいかなかった、というか飛ばされなかったという方が正しいかもしれないが、いずれにせよ妖精の森には多数のピクシーたちが残っていた。アッシャーとつながったときにあちらに渡ってしまったのは半数程度だったのだろう。


 すれ違う妖精たちは見たこともない姿の私を驚いた顔で見る者もいるが、それでもさほど気にせず通り過ぎていく。


 私も急いで女王の居城となっている世界樹に向かった。城と言ってもニンゲンのように衛兵や騎士が厳重に守っているわけではない。女王に害をなそうとする者などこの森には存在しないので警護する必要が無いのだ。そもそも最強だから女王でもある。


 女王の居室の前では側近のハイピクシーが座って仕事をしている。


「私はレベッカ。女王様にお目通り願えるかしら?」


「待っていたよ、レベッカ。山の化身殿から話は聞いている。そのうち暇になったらで良いから君の変化について色々と調べさせて欲しいな。妖精たちの中でも稀有な変化をしているようだから。」


「高いわよ。」


「フフッ、では相応のものを用意しないとね。」


 お堅い側近かと思っていたら意外に軽口に付き合える奴だった。基本的に能天気な妖精族の中で女王の側近なんてお堅い仕事を引き受ける奴だからガチガチの石頭だろうという先入観をいい意味で裏切られる。


 暇になる状況が今はまだ想像もつかないが、この変わり種と遊ぶのも悪くないように思った。


 そんなことを考えながら扉を開く。


「我らが妖精女王、末たる子のレベッカが参りました。」


「レベッカ、久しぶりね。そう硬くならないで良いわ。私達は妖精、自由な存在よ。面白いことに足を突っ込んでいると聞いたわ。せっかくなので私もまぜてもらうことにしたの。」


「ありがとうございます、ティターニア様。確かに大戦以来の危機が迫っているかもしれないと言えば面白いのでしょう。まさか直接参戦を?オーベロン様もご一緒ですか?」


 この方が乱入してきたら何が起こるか分からない。いい意味でも悪い意味でも。せめて王配たるオーベロン様がいれば多少のストッパーにはなるはずだが。あくまで多少の。


「あら?私が参戦したら嫌そうな言い方ねぇ。私がアッシャーに行くとしたらオーベロン様は付いてくるでしょうね。私にぞっこんですもの。」


 確かにオーベロン様はティターニア様のことを心底愛していると思うが、それ以上に周囲に与える被害を心配して付いてくると思う。自由で奔放、他者への影響などまるで考えない最強女王を鎖無しで世に放つなど、主神クラスでも大慌てだ。


「そ、そうですね。そういえばオオヤマツミから話があったとか。」


 ヤバい話の流れになっていたので無理やり本題に戻させてもらう。何をするかは想像は付くが…


「そうだったわ。お山ちゃんがあなたを鍛えてくれって。新種に進化するあなたなら鍛えがいもありそうだし引き受けておいたの。私自ら稽古をつけてあげるわ。」


「げっ!じゃなくて、えっ!女王様御自らですか!?」


 つい本音が漏れた。

3人の修行シーンはカットです。一応、どんなことをしたかだけ簡単に描写を入れますが、主人公のような一話切り出しはしない予定。もしご要望があればコメントください!


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