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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第79話 技・力・そして…

あの時タケミカヅチの頭がガクンと下がったのは一瞬で眠ったってことだったのか。


「炎弧との戦いの経験が役に立ったわ。もしかしたらそこまで考えての順番だったかもって思うけどね。」


「確かに正面からの力押しだと4人の連携でも倒せなかったし、確実に負けていたよなぁ。」


「でもでも!戦いの最中に眠らせるなんてできるの?戦っている時って神経集中しているし興奮状態でもあるから一瞬で眠るって想像つかないんだけど!」


「まぁ簡単じゃないわよ。炎弧の使っていた幻術も今回の眠りの術も相手のプラーナを乱して与えたい状態の方向に誘導するってものだから。

 そもそもプラーナを外から動かされているって気付かれると失敗するし、動かせないくらい強い流れもあるしね。タケミカヅチはプラーナの細かい制御をするタイプじゃなかったから成功すると思ったけど。」


『はっはっはっ、これは本格的に父に説教を受けるなぁ。炎弧にも馬鹿にされるだろうし。そうか、炎弧との戦いで学んでいたかぁ。』


「そう言えば、八岐大蛇の神話とか酒呑童子の討伐譚とかって、力ではかなわない相手を眠らせたり毒を飲ませたりして倒しているもんなぁ。」


「でもミコトの言う通り、戦闘中に寝るなんて普通はあり得ないし、一撃喰らった時点で起きるはずだから、今回みたいに一回で不可避の全力攻撃を叩き込む必要があるわよ。同じ手は通じないでしょうしね。」


『そうだな、同じ術はそう簡単には食らわんだろう。あの感覚は覚えたしな。』


「ってこと。もう一回戦ったら勝てないわよ。」


『だが、俺のプラーナを受け続けて戦ったことで、うぬらの器は一段階大きくなったはずだ。自分より強い相手と戦うというのはそれだけで大変な経験となる。本来の戦いであれば自分より強い敵と戦うと次はないからな。』


「この場を用意してくれたオオヤマツミ様には感謝しかないよ。」


『よし、ではこれで俺の試練は終わりだ。この先に寝所を用意してあるから、ゆっくり湯につかり体を休めるが良い。うぬら人間は休息が必要だろう。

 一晩やすんでまた明日、先に進むが良い。』


タケミカヅチ様にお礼を言い、用意してくれた部屋に向かう。途中の休憩所のように果物と水、男女別の浴室に寝室があり、俺達は戦いの疲れを癒させてもらった。


次の日起きて食事を済ませた後、通路に戻って先に進む。


途中では電気の塊のような宙に浮くアクマ(アクマ・デバイスによれば雷精)が1~3体で出現するようになった。


タケミカヅチの眷属かなにかだろうか。コッチーが相手の雷を相殺しようとイカヅチを放ったところ、相手の雷を貫通して雷精を粉々にしていたからタケミカヅチのような規格外の威力は持ち合わせていないようだった。


雷精を倒すとコッチーのイカヅチの威力が少しずつ上がっていっているように感じたので、雷に変換されたプラーナを吸収することで自身の術を強化できているのかもしれない。


コッチーはタケミカヅチを消滅させた白熱火球と言い、術の火力がどんどん伸びている気がする。


自分の得意な術を同じ属性の敵を倒すと、術の威力が伸びるのだろうか。(いわ)(つつ)(のしん)を倒した時に注意してプラーナを吸収してみる。すると確かに土槍や岩壁など岩・土関連の術を使用した際に込められるプラーナが大きくなっている気がする。あくまで気がする程度ではあるが…。


「やらないよりましかなぁ。」


「ん?どうしたのホオリくん?」


「あ、あぁ、アクマを倒した時にプラーナを吸収するだろ?その相手の属性によって術の効力が変わるかなぁって。」


ミコトに簡単に仮説を説明する。ミコトも手甲や盾に岩の力を宿して戦うことがあるから試してみると言って試行錯誤を始めていた。


レベッカ曰く、

「なくは無いかもね。ただプラーナっていうのは純粋な力だから属性っていうのは変換した現象に過ぎないわ。精霊自体を取り込む場合はともかく、そこまで劇的な効果は無いでしょうね。」とのことだった。


やらないよりはマシということで…。


ただ、タケミカヅチ様が言った通り、器が広がったというのは実感があった。明らかに自分の中にあるプラーナの総量が上がっていることを感じるのだ。


今までよりバレットを連射した時に残るプラーナが多いし、体や術に込められる量も明らかに増えている。ミコトの発するプラーナも明らかに多く、力強くなっていると感じられた。


確かに人間の限界を超え始めているのかもしれない…ミコトは本当にこのまま進んで大丈夫だろうか。ちゃんと話が出来ぬままここにきてしまったしなぁ。


あの夜の後、朝にはいつものミコトに戻っていたし、オオヤマツミ様の前で迷いは感じられなかったから触れずには来たが、いつかちゃんと話してみよう。



ニャーンとコッチーが鳴いた。おっと、考え事をしていて注意が散漫になっていたかもしれない。


「あっ!次の部屋が見えてきたよ。また神様みたいな強い人がいるかなぁ?」


「そうね、今度は何が来るかしら。技・力と来ているから…」


そう話しているうちに広間に出た。


「ん?あれ?誰もいないね…」


「誰もいないけど、ものすごく目立つものがあるよ…」


広間の中心には今までのようにボスが待っているわけではなく、大きな鳥居が鎮座していた。


「これは…通れってことだよね?」


「間違いなくそうでしょうね。どこに飛ばされるやら…」


「でも行かないわけにはいかないよね…。手をつないで入った方が良かったりしないかな?物語とかだと別々の場所に飛ばされる転移罠とかあるよね?」


「それ、怖いね…。よしみんな一緒に入ろう。」


トントントーンとコッチーが俺の体を登ってくる。左手でコッチーを抱きかかえた。レベッカはミコトの肩に乗って耳につかまっている。


少しだけ微妙な空気が流れたが、俺は右手をミコトに差し出す。ミコトは少しだけ考えたような仕草をしたが、いつもの笑顔で俺の手を握ってくれた。


俺もミコトの手を握り返し鳥居に向かう。意を決して全員で鳥居をくぐった。

転送罠って怖いですよね。


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