第76話 炎弧の試練
2025/1/7修正
ロカ・プラーナの滞在期間を10年→1か月に変更しました。10年もいると主人公たちが強くなりすぎて、この後の展開が雑になってしまったのです(´・ω・`)
~~Side 福島さん
『よし、行ったな。次はそなただ福島。』
「は、はいぃ。拙者に何をせよと…」
『そう怯えるな。そなた見鬼だろう。』
「へ?ケンキ?ケン…えーそのー」
『鬼を見ることが出来る力があるということだ。人間には見えぬものが見えたりせぬか?』
「うー、そうですなぁ。子供の頃はそんなこともあったかと思いますが、今ではそういったことは無かったかと…」
『プラーナの動きは良く見えるであろう?そして、物にプラーナを通すことも他のものより秀でておるはず。』
「あぁそれは確かにそうでござる。武器にプラーナを通す技をホーリーに教えたのは拙者でござる!」ドヤァ
『愉快な男だ。そして儂の見込んだ通り。福島よ、これから戦いは激化する一方じゃ。ホオリやミコトだけでなく、戦うものすべてが、じゃな。そうなれば必要になるものは何だと思う。』
「戦いに必要なもの…物資…武器や兵糧、情報、病院、医薬品など…でござろうか?」
『そうじゃ、そなたには特に武具を作れるようになって欲しい。どんなにプラーナで強化しても、強い武具がある方が有利に決まっておるからな。』
「武具を作れるようになる修行でござるか…時間がかかる気がするでござるが…」
『そこは心配するな。今回は師となる神と会い、最低限の道具の使い方を覚える程度しか時間が取れん。それに修行の場はアッシャーとは時間の流れが異なる。1か月修行してもアッシャーでは1日ほどしか経過せんよ。』
「ふむ、なるほどでござる。」
『こちらに戻ってからは師とそれに同志と共に修行を続けよ。』
「承知仕った!拙者ももっとホーリーたちの役に立つでござるよ!」
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~~Side 高屋 穂織
「今度は犬じゃなくて炎のキツネか…」
「アイツはこれまでの雑魚とは別格よ。神の眷属って言ってもおかしくないだけのプラーナを感じるわ。」
「きつねさんって力技より搦手が上手そうだね。苦手なタイプかも…」
フーッ!コッチーの警戒レベルもかなり高いな。
『ようやくここまで来たか。少しは戦えるようだがプラーナの量も扱いもまだまだだねぇ。今ある力のさらに先に進まねば、ここは通れぬぞ?』
キツネはそう言うと二本に分かれた尻尾から火球の雨を降らせてくる。
「ホオリ!ガード不要!そのまま突っ込みなさい!」
レベッカの声で障壁生成をやめて、下級の雨の中を突っ走る。ミコトをコッチーも並んで走り出していた。
「プラーナの扱いが下手って言われて黙っているわけにはいかないのよ!」
レベッカは叫ぶと俺達に当たりそうな火球だけを狙って風弾で撃ち落とす。確かにこの精度で下手扱いはキレるかもしれない。
先制は俺だ!土槍でキツネを狙う。意外にあっけなく土槍で捉えることが出来たので、更に木の根を伸ばして拘束。
三人同時でキツネに向かって攻撃。俺は突き、コッチーは雷爪、ミコトは回し蹴りだ。
拘束していた木の根と土槍ごと砕く威力でキツネに直撃。あれ?あっけない?
と思ったらキツネはすでにそこにはおらず、コッチーがいたはずの場所、俺からすると左側に出現、飛び掛かってくる。
かろうじて躱したが、続けてミコトがいたはずの右からキツネが飛び掛かってくる。棍でガードするも、再度左から雷攻撃を受けた。
「がっはっ!」俺は意識が飛びかけるが何とか転がって追撃を避ける。コッチーとミコトはどこに行ったんだ。
混乱する俺と、立ちふさがるキツネに向かって青い光の波が通り抜ける。すると目の前のキツネはミコトとコッチーの姿になった。
「アンタたち!幻術よ!味方どうして戦わされているわ!」
まさかさっきの雷はコッチーのイカヅチ?いったいいつの間に幻を見せられていたんだ。全然気づかなかったぞ。
ニャーニャーとコッチーが焦ったようにすり寄ってくる。
「大丈夫だ、コッチー。でもコッチーでも検知できない幻はヤバすぎるな。
レベッカ!対策は!?」
「相手の術のレベルが高すぎて阻害が難しいわ。離れていれば解除の術は使えるけど、最悪私まで巻き込まれる可能性がある。」
マジかよ。レベッカですら騙されうる幻って対処の仕様がない。
『くくく、力押ししかできないのかい?今まで単純な敵とばかり戦ってきたのねぇ』
「くぅ~反論できないよ!」
「アンタたち、全員のプラーナの位置だけ把握して!もし幻術にかかったら私がプラーナ乱れを検知して即座に回復させる。相対している相手が味方だった場合は他の位置にいるプラーナのどれかが敵よ!」
「無茶な作戦だけど、やるしかないか!」
ニャ!とコッチーも気合十分だ。やってやるさ!
とにかく目の前のキツネを攻撃。極力バラバラに散らばって近くのキツネを攻撃するようにするが、一向に本体にたどり着かない。幻術自体はレベッカが即時解除してくれるが、なかなかキツネ本体をとらえることが出来ずにいた。
このままじゃ埒が明かないな…どうにかしてキツネの位置を把握できないか?プラーナの大きさは?色は?出ている波動は?幻術で惑わされているのは視覚?
レベッカはプラーナの位置を把握しろって言っていた。1・2・3・・・4・・・そして自分…。
コッチー…安心するプラーナだ。確かに1つ分だけでなく、重なって懐かしいものを感じる。これが姉さん…
レベッカ…一つのところに留まらない自由さを感じる、風のような雰囲気…
ミコト…凛とした強さを感じる。でも時々不安定な揺らぎがあるような…
そしてそれ以外の大きな一つ。これは神様に近いものがある。何一つ揺らがず、一本の剣のような。時々俺達に向かって妙は波動を発している。これが幻術か。
このプラーナだけを狙えば…目に見える形に惑わされるな。その本質はプラーナ…我、打ち勝たんとするは炎の剣。その揺るがぬ強き刃を折るものなり。
「ホオリ!プラーナが見えているの!?やるわね…だったら私も負けていられない!そこよ!!」
レベッカからキツネに向かって行動を阻害するように風弾、いやあれば破裂するやつだな。が飛んでくる。尻尾を振るい弾こうとした瞬間に風弾が破裂し、キツネはダメージを受けると同時にひるんだ。
ここだ!俺は棍で突き、叩きつけ、さらに突く突く突く!
コッチーのイカヅチが来る!
俺はとっさに後ろに飛び下がる。それと同時にコッチーの渾身のイカヅチがキツネを襲う。キツネはかろうじて張った障壁で威力を軽減したようだが、その威力に纏っていた炎が吹き飛ばされ金色に輝く体毛の体が見える。
そこにミコトの飛び蹴りが天井の方から降ってくる。ズン!と地面が少し陥没。キツネがグェとうめき声を上げる。
あと一歩か!
とどめをと攻撃を繰り出そうとしたところで、キツネから爆風が吹き荒れ、俺達は吹き飛ばされる。
「くっ、仕留めきれなかった!?」
ミコトが悔しそうに声を上げる。いや、もう幻術は通じないからもう一度チャンスを作るのみ!
再度戦闘態勢を取ったところで、キツネが戦闘態勢を解いて話しかけてきた。
『はっはっはっ、やるじゃないかニンゲン。危うく消滅させられるところだった。少しはプラーナが見えてきたかね?そこのお嬢ちゃんはもう少しかかるか?』
「負けそうになったから口上で時間稼ぎかしら?」
『フフン?どう思ってもらっても構わんが、この先は地獄が見えてくるぞ?』
チッとレベッカが舌打ちしている。まぁあの爆風を考えると、まだまだキツネに余力はありそうなんだよな。
「その話しぶりからすると、俺達は及第点を取れたってことでいいのか?」
『まぁギリギリだけどねぇ。』
エンカウント:Lv48 炎弧
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