第75話 修練の洞穴
修行開始です
『二人とも良いのか?』
「はい!覚悟はできました!」
ミコト…本当に大丈夫なのかな?昨日はレベッカに駄目だしされたし、もし彼女に何かあれば俺はどうしたらいいのか…
『ホオリもよいな?』
「はい、俺が求める未来のために、先に進まなければなりません。」
『分かった。だがこの先は今までとは全く違う世界と知れ。油断一つで命が消し飛ぶぞ。ゆめゆめ忘れるな。
コッチーとレベッカ殿もよいか?』
ニャ!とコッチーは力強く返事をする。コッチーというか姉さんにとってはよりプラーナを多く得ることは元の姿に戻るために必要なことだしね。
「当然!。私は最強の妖精として名を轟かせる女よ!ホーホッホッホッ!」
あ、レベッカの高笑い、久しぶりに聞いた気がする。あのテンションの方があいつらしいのかもね。
『福島よ、そなたは別メニューじゃ。後で説明する故、少し待たれよ。』
「ははっ!」
いや、福島さん、いつからオオヤマツミ様の臣下になったのさ。全くしぐさが時代ががっているというかなんというか。楽しそうで何よりです。
『では行ってまいれ!ぬうん!!』
オオヤマツミ様が手を広げると、渦を巻いた円のようなものが出現し、俺達は吸い込まれていった。
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渦に吸い込まれ、目を開けるとそこは洞窟のような場所だった。コッチーにレベッカにミコト、全員揃っている。
「ダンジョン!って感じだね!」
確かにミコトが言うようにゲームの洞窟型ダンジョンのようだ。俺達は4畳半の部屋くらいの広間に立っている。現実世界にはゲームみたいな洞窟ってあまりないもんな。観光地として洞窟はあるけど、そこまで広くないし。
「ここ、ロカ・プラーナだわ…オオヤマツミの奴、まさかこんな芸当まで出来るなんて。大戦の時だと超巨大化して邪神と殴り合っている姿が後方から見えたくらいだから単純なパワー型だと思ってたわ。見かけによらないわね。」
色々と気になるワードはあるが、とにかくここは今までの世界とは違うってことか。アクマはロカ・プラーナから来ているという話だったから、今まで以上に多くのアクマに遭遇するのかもしれない。
「とりあえず進んで遭遇するアクマと戦っていけばいいのかな。」
「最後にボスとかいそうだね!」
「まぁその認識で良さそうね。ホオリは気付いていると思うけど、アッシャーにいたアクマとは比べ物にならない数と強さのアクマがいると思った方が良いわよ。ここはわたし達のホームグラウンドだから。」
「わかった。でもここはまだ安全地帯なのかな?コッチーも警戒していないみたいだし。」
ニャーンとコッチーが気伸びした声で鳴いた。
現状は最低限把握したので、一つだけある部屋の出口から外に出てみる。一本道の通路が伸びており、先は見えない。
「ほんのり明るいけど、壁自体が光っているのかな?照明があるわけじゃないし…」
ミコトの言う通り、洞窟なのに明るさがある。素材?野岩のようなもの自体が薄く発行しているようなので、壁だけでなく天井も床もうっすら明るく、暗い視覚のようなものは無いのがありがたい。
「さ、お喋りはそこまでよ。さっそくお出ましだわ。」
通路の奥から現れたのは炎を纏った犬型のアクマ(アクマ・デバイスによれば炎牙)が3体。明らかな敵意をこちらに向けている。
通路自体は人が4人並んでも歩けるくらいの幅があるので俺が棍を振るっても大丈夫そうだ。まずは俺が前に出る。ミコトは俺の少し後ろで隙を伺ってもらう。
相手は犬だと考えると機動力は向こうが上。炎を纏っているだけに炎を吐いたりもするかもしれない。下手に触ると火傷しそうだし、厄介そうな相手だ。
何とか動きを止めたいところ。
と考えていたところで相手がこちらに向かって走り出した。俺は移動先に土槍を出現させる。今では足から地面にプラーナを伝わせて土槍を発生させられるので、予備動作はなかったはずだが、犬たちは土槍を回避した上に、さらに加速してこちらにとびかかってくる。
完全に回避されるとは思わなかったが、回避動作をしたところにレベッカの吹雪とコッチーのイカヅチがそれぞれ一体ずつに直撃する。
こちらに向かってこれたのは一匹になり、俺は落ち着いて棍で対処。相手の飛び付きに合わせる形で棍を振るう。うまくヒットし地面に転がったところでミコトがローキックで跳ね飛ばした。
追撃する前に、吹雪とイカヅチを喰らっていたはずの2匹の犬から炎が噴き出された。
俺は追撃の足を止めて盾を構え大きめに障壁を展開。後ろにいる仲間に届かないよう完全に炎を防ぐ。
炎が消える直前にレベッカから小さな風弾が複数放たれ、一匹に数発着弾、吹き飛ばすのかと思ったが、犬に当たった瞬間風弾が弾け、犬は粉々になり光になって霧散していった。
なんだあのえげつない攻撃は。破裂する風弾とか殺傷性が高すぎる。
レベッカ同様、ミコトとコッチーも動き出しており、ミコトがバレットでけん制、動きを止めた相手にコッチーが素早い動きで近づき雷爪で切り裂いている。
俺も負けじと前に出て、炎を放っていた2匹の間からこちらに接近してきていた一匹に棍を叩きつけ、更に地面から土槍を生み出し串刺しにした。
炎牙は三匹とも光になって消えていった。
「ふぅ、何とかなったね。犬型のアクマってあまり見ないから動きが早くて厄介だったよ。先生の土槍を簡単に回避されたし。」
「あれはプラーナの動きを感じ取っていたわね。炎を吐いている時はそれが鈍っているようだったから、逆にこっちがプラーナで相手の位置を特定して炎を吐き終える前に攻撃してやったけど。小手調べってことでしょ。」
目視できない一の相手を把握して攻撃するとか、破裂する風弾以上にえげつないな。
通路を少し進むとまた新たなアクマが現れた。今度は岩でできた大男が2体と古い感じの鎧兜を着た槍持ちの人型が3体。
「これは…連携してきそうだね…」
「うーん、攻めづらそうだよ。あの岩男さん、わたしの蹴りで抜けるかなぁ…」
ニャーー!とコッチーが気合の入った声をあげ、牽制のイカヅチを放つ。岩男が前に出てイカヅチをほぼ無傷で耐えきる。反射はないか。
「ミコト、岩男の態勢を崩す。奴らをすり抜けて槍男に仕掛けられる?」
「やってみる!」
イカヅチがやんだのを確認した岩男がこちらに突っ込んでくる。あの巨体で迫られると威圧感が半端ないな!
だが大地の力は土槍を作るだけじゃないぞ。俺は足からプラーナを伝わせ、岩男が足を突く瞬間に少しだけ地面に穴をあける。
足を踏み外した岩男が二人とも転倒。その隙をついてミコトが槍男に接近、懐に入る。
槍男は槍を振り回してミコトをけん制しようとするが、レベッカの吹雪で腕を凍らせられ、動きが極端に鈍る。
他の槍男にはコッチーのイカヅチが襲い掛かり、一体に直撃、吹き飛ばす。もう一体はうでを十字に組み防ぐので精一杯だ。
ミコトはローキックで態勢を崩し、槍を弾き飛ばし、頭が下がったところで頭部への回し蹴り。地面に叩きつけられた槍男に拳を振り下ろしとどめを刺す。
容赦ねぇ…
おっと、見ている場合じゃない。起き上がってきた岩男一体を土槍で突きあげ天井に貼り付けにする。少しそこで待っててくれ。
もう一体には最大までプラーナを込めた棍で連続突きを放つ。岩の体を砕き続け、完全に破壊した。
天井に貼り付けになっていた岩男にはレベッカの特大爆裂風弾が浴びせられ、爆殺されていた。怖いよ君たち本当に…。
槍男の残りの一体はコッチーのイカヅチで炭になっており、最後の一体は腕が炭化し武器もなく、ミコトの蹴りを頭部に受け沈んだ。
よし、今のところは大きな苦戦もなくいい連携で仕留められている。
こんな調子で、炎の犬や岩男、槍男などを倒していくと、少し開けた部屋に出た。
部屋の真ん中には炎を纏った尻尾が二本ある狐が座っており、俺達を待っていた。
エンカウント:Lv41 エンガ / Lv43 イワツツノシン / Lv44 モムノフ
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