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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第70話 高屋 絆

第2話の伏線回収

「レベッカ…これって…」


「ふぅ…そいうことね、はぁ。そう、そうよ。ホオリの想像通りアクマ合成よ。」


「コッチー…やれる?」


 なんとなくコッチーに聞いてみる。ネコ将軍の時と違って、少なからず知り合いになったシルキーさん本人と合体するわけだから、気になったのかもしれない。


 ニャ!とコッチーは力強い返事をした。コッチーは俺がきくまでもなく覚悟が決まっていたようだった。


「シルキー殿は最初からそのつもりだったでござるな。だから広場があるこのレストランでスコーンを作ったと。」


 なるほど、福島さんの言う通りかもしれない。アクマ合成を行うには広さが必要だから、わざわざ広い場所を探さずに済むよう、最初から考えていたのかな。


「じゃ、コッチーもOKみたいだし、そこの広場でアクマ合成を行おう。」


「シルキーさんありがとう。スコーンのレシピ、大切にするね…」


 ミコトは少しだけさみしそうにしていた。


 俺はアクマデバイスを起動。アクマ合成をタップし、コッチーとシルキーを選択すると地面に魔法陣が出現。コッチーは魔法陣の一つに移動した。


 魔法陣から光が立ち上り、コッチーとシルキーを包み込む。完全に光の中に包まれ、こちらからは見えなくなった後、魔法陣は徐々に近付くように移動をし始めた。


 2つの魔法陣が完全に重なり、さらに強い光を放つ。


 カッ!と目が明けられないほど強い光を放ち、はじけた。


 目を開けると、そこにはストレートの黒い髪を肩を過ぎたあたりまで伸ばした見覚えのある、いや、あの日までは毎日顔を合わせていた女性がたたずんていた。


「姉さん!!」


 俺は女性のもとに駆け出し、抱きしめる。涙が止まらなかった。


「ホオリちゃん…ごめんね、さみしい思いをさせて…」


「うん、うん、みんな死んじゃって…でもコッチーがいてくれて…」


「レベッカとミコトちゃんにも感謝しないとね…福島さんや奈良さん達にも…」


「うん、うん…」


 姉さんは俺の涙が止まるまで、優しく抱きしめ、背中を撫でてくれた。


 ・・・・・・


「さて、説明してもらった方が良いと思うわ。自己紹介含めてね。」


 レベッカの声掛けで、俺もみんなの前だってことを思い出す。アクマデバイスからは【ネコマタはセンリに進化しました】という通知が来ていた。


「そうだね。皆さんには色々と話しておきたいと思います。まず、私は高屋 絆。ホオリちゃんの姉で、大学2年生でした。

 世界が崩壊したあの日、私達が住んでいたマンションが崩れてしまって、逃げられたのはホオリちゃんだけだったの。私はホオリちゃんを助けるために背中を押したんだけど、その瞬間にコッチーの中に入っちゃったみたいで、ずっとコッチーの中にいました。

 ホオリちゃんが人魚のお姉さんや長崎病院の女神さまに鼻の下を伸ばしていたのも見てたよ。」


「ちょ、それは今関係ないでしょ!?」


「キズナだっけ。正確に言うとコッチーの中にいたっていうより、コッチーの魂とキズナの魂はもう混ざっちゃってるわね。あなたは高屋絆でありコッチーでもある。そんな感じ。

 あと、ホオリが年上の美女好きなのはお姉さんの影響かしらねぇ。」


「だーかーらー!」


「そっか、ホオリくんは年上が…どうしよう年はどうしたって同じにしかならないし…

 あ!ホオリくんは誕生日いつ?わたしの方が早かったらお姉さんになるかな!?」


「ミコト、どうしたの!いいから、姉さんの話を進めてよ!」


「もてる男はつらいでござるな。英雄ホーリー、爆発すればいいのに。」


「はーなーしーをすすめろーー!

 つまり姉さんはコッチーでもあり姉さんでもあるってこと?やっぱり肉体は…」


「そうね、キズナの体はもう失われてしまっているわ。でもコッチーもただの猫じゃなくて、キズナと同化したことで、もうアクマと同じプラーナを当たり前に扱える存在になっている。アクマの力を吸収して進化できるくらいにね。だからシルキーみたいなニンゲンに近いアクマと合体することで、キズナに近い形になったって考えられるかも。」


「じゃあ、もうずっと姉さんのままってことで良いの?」


「それも話さないといけないね。今回は進化直後だからこの姿だけど、そんなに長くこの姿でいることはできなそうなの。コッチーが私とホオリちゃんを会わせたいって願ってくれたから、この姿ででてきたけど、もう少ししたらコッチーの姿に戻っちゃう。人の姿を維持するにはまだ進化が足りないなって感じてる。」


「そっか…でも急にコッチーに会えなくなるのも嫌だし、この先まだまだ強くなることで姉さんが戻ってくるなら、頑張る理由ができるよね…」


「ありがとうホオリちゃん。私達ももっと強くなるね。皆さんもホオリちゃんのことお願いします。」


「はい!わたし、ホオリくんのこと頑張って支えます!」


「ふふっ、ミコトちゃん、いつか一緒にスコーンを作りましょう。」


 姉さんはそう言うと、フワッと光が霧散しコッチーの姿に戻っていた。コッチーは俺の腕の中に入って、ナーンと鳴いた…。


「レベッカ…」


「あー、うん。コッチーの魂には何かが混ざっているのは最初から知ってたわ。でもアンタのお姉さんの魂だってことは知らなかった。それに姿が人間になることも想像してなかったわよ。

 あと、シルキーに話を付けていたのはサクヤよ。アンタの体に負担をかけたことを気にしてたから、そのお詫びみたいなものなんじゃない。多分サクヤはキズナのことを知ってたんだと思う。」


「そっか、サクヤ様が…」


「キズナさんの姿にまた戻れるって話をしてたけど、具体的にはどうしたらいいの?」


「肉体ってのは魂の器よ。魂はプラーナを吸収することで強くなる。魂の強さに見合った肉体が必要になれば、おのずとキズナの姿に近づくと思うわ。ただ、進化って簡単じゃないのよ。アクマデバイスを使うと簡単に見えるけど、本当に適正な形で進化をするためには、ただアクマを組み合わせればいいってもんじゃない。

 今回だってシルキーがかなり人に近いところにいた存在で、かつこちらに好意的だったからコッチーも魂の形を変えずに進化が出来ているのよ。シルキー自体の存在も正しくマルガに還っているしね。

 大阪で戦った悪魔達は無理やりまぜられた感じだったから力は強かったけどニンゲンに対する憎しみは強かった。あれだとまぜられた側はマルガに還れず憎しみだけが増大していくわね。

 アクマデバイスを作ったやつは相当性格が悪いわよ。」


「話がそれるでござるが、レベッカ殿はアクマデバイスを作った存在に心当たりはないでござるか?」


「さすがに分かんないわね。でも確実にニンゲンじゃないってことは言える。プラーナのことを知らなかったニンゲンが作ったにしては便利すぎるし、プラーナのことを知りすぎていると思う。」


「性格の悪い神でござるか…」


「いずれにせよ、姉さんとまた会えることが分かっただけで俺は嬉しい。」


「良かったねホオリくん!コッチーもまたよろしくね!」


「ミコトはこれから大変ね。お姉さんに認められないとホオリとの仲も危ういわよ。」


「レベッカ!」


 うーん、聞かなかったことにしていいかな。正直俺も気持ちが整理しきれていないし…さ。

エンカウント:Lv?? 仙狸センリコッチー

猫の方がいろいろと便利なのと、会話シーンでの言葉遣い分けが大変という執筆側の問題で、コッチー(キズナ)が本格的に人型になるのはもう少し先の予定です。

あと、女性ばかりのパーティでハーレムっぽいのが筆者の好みに合わないという理由もあります。


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