第66話 目が覚めて
ようやく主人公がお目覚めです
知らない、天井だ…
あれ?俺ってどうしたんだっけ…確かベリアルと戦っていて…コッチーもレベッカもミコトもやられて…男の人が二人加勢に来てくれて…オオカミとウサギもいたような…
そうか…オオヤマツミ様に力を貸して欲しいって頼んだんだった…そうしたら凄い力が流れてきて…その後…どうなったんだっけ?
左腕が動かないな…痛みはないけど…ふと左腕に重みを感じて見てみると、ミコトが俺の手をつないだまま眠っていた。
ナー
「あ、コッチー…ちょっと重いと思ったら俺の胸の上で寝てたの?」
ナーともう一度鳴いたコッチーが頬ずりをしてくる。その動きを感じてか、ミコトが目を覚ました。
「ホ、ホオリくん…ホオリくん!目を覚ましたの!?」
「ん?ああ、おはよう…俺ってそんなに寝てた?」
「ううん、一日だけだよ。ベリアルと戦ったのが昨日だから。でも目覚めてくれてよかった…良かったよぅ…」
え?え?ミコト泣いてる??俺何かしたかな…ヤバイ、全然わからん。こんなときはレベッカが、レベッカが説明してくれるはず!レベッカサーーン、機内にレベッカさんはいませんかー?
俺が慌てていると、ふわっと小さな女性が羽をきらめかせて飛んできた。
「起きたのね、ホオリ。おはよう。ど?具合は。体はちゃんと動く?」
「キャーレベッカサーン!」
「は?」ちょっと怒った感じでレベッカが返事をする。あ、これはマズイ。
「ははっ、いや、うん、おはよう。体はどうかな…よっと。あぁ特に問題なく体は動きそうだよ。左腕はちょっと動かせそうにないけどね。」
俺は体をベッドから起こし、レベッカに答える。左腕はミコトがつかんだままなので動かないのだ。
「ミコト、そろそろ放してやんなさい。何があったか説明してあげないとホオリは何が何だかわからないって顔をしているわ。
ホオリ、ミコトは一晩中、アンタのことを見ててくれたんだからお礼言っておきなさい。」
「あ、そうなんだ。ミコト、ありがとう。俺、大丈夫そうだから、何があったか教えて欲しいな。」
「うぅ、そうだよね…うん!そうだね!お腹すいてない?ご飯食べながらでもいいと思うな!」
おっと圧が強い…いつも通りのミコト…かな?ちょっと空元気風かな?
でも、そう言われるとお腹がすいている気がする。昨日って朝ごはんを食べて、その後大阪に着いてからずっと戦ってて、その後の記憶がないから、丸1日何も食べてないのか?
「あっと、その前に、ベリアルっていうか大阪って守れたんだよね?ここって住吉大社かな?」
「そうよ、アンタのおかげで大阪は守られたわ。誰も死んでないし、怪我もみんな治ったわ。相手方の一般兵は生きているけど、まだ情報は聞けてないみたいよ。」
「そうそう、ホオリくん、みんなを守ってくれてありがとう。
さ、朝ごはんを食べに行こう!」
「私は秋田たちにホオリが起きたことを伝えてくるわ。心配していただろうしね。」
「ありがとう、レベッカ。ご飯を食べたら挨拶に行くって伝えておいて。」
「レベッカよろしく~」ミコトの言葉と同じくしてコッチーもニャーと鳴いていた。
「さて、ごはんごはん~♪」
「ご機嫌だね、ミコト」
「ふふっ、ホオリくんが起きるのをみんな待ってたから!こうしてご飯を一緒に食べられて嬉しいんだ!」
「そっか、心配かけたね。それで、何がどうなったんだっけ?」
ミコトが俺が神に祈った後のことを話してくれる。神の力を得た俺から癒しの波動が大阪全域に広がったらしく、怪我をしていたミコトたちは回復したこと。とてつもない力を発揮して俺がベリアルを倒し、更に浄化まで行ったこと。それが終わったら俺は倒れてミコトたちがここまで運んでくれたこと。
コッチーとレベッカ、ミコトの三人で俺の体の中で絡まったりちぎれたりしていたプラーナの流れを正してくれたあと、なんとコノハナサクヤ様がみんなが貯めていてくれたプラーナを使って俺を癒してくれたらしい。
住吉三神の力を借りて、大阪で顕現してくれたんだそうな。そういえば、神に祈ったとき、サクヤ様の力も感じたんだよな。もしかしたら、オオヤマツミ様の他にもサクヤ様やイワナガヒメ様も力を貸してくれたのかもしれない。
「いやー、ホントみんなにはお世話になっちゃったね。秋田さんたちにもお礼言わないとなぁ。サクヤ様はどうかな、また会えるかな。」
「そうそう、それでね、これからの予定だけど、約束通りオオヤマツミ様に会いに行こうって、レベッカとは話していたよ。」
「あ、そっか。もともと兵庫まで行く予定だったよね。ベリアルと戦った時に加勢してくれた男の人たちって兵庫から来たの?」
「あ、そうだった。あの人たちは鹿児島と島根から兵庫を経由して来たみたい。もともと兵庫で合流する予定だった人たちの中でもXitterで噂になってる人たちなんだって。」
「へぇ、そんな人たちがいたんだ。変な呼び名とかついてる?」
「変かはわからないけど、日向の剣聖と出雲の守護者って言うらしいよ。」
「えっ、なんかちょっとカッコ良くない?俺って名前すら変えられてるんだけど…」
そんな会話をしながら朝食をいただき、食べ終わったので秋田さんたちにお礼を言いに行くことにした。
「秋田さん!」
「おお!高屋君!目が覚めたんですね。良かった…。」
「ご心配をおかけしました。しかも俺のためにプラーナを使ってくれたって。」
「いやいや、あれは住吉三神の回復に使った者の一部をサクヤ様が活用いただいたのですよ。君のおかげで大阪は救われ、東は武蔵野市から、西は鹿児島市まで道が繋がりました。」
「おお!日本の半分くらいがアクマにおびえずに過ごせるようになった感じですか!?」
「ははは、さすがに半分は言いすぎですが、生き残った人たちが安全に暮らせて、食べ物や生活必需品に困らないようになる日も近いですね。
そうだ、大阪の代表に挨拶に行きましょう。高屋君も目覚めたことですし、私達も東京に戻ろうかと話していたところでしたので。」
秋田さんに連れられ柴田府知事のところに伺う。俺が回復したことをとても喜んでくれ、英雄に感謝をなんて大仰なことを言っていて少し恥ずかしかった。
「おう、お前が英雄ホーリーけ?」
おっと、例の金髪のお兄さんに声を掛けられる。
「はい、高屋 穂織です。助けてくれてありがとうございました!」
「ふん、オレは日照 海斗じゃ。体の調子はもうよかなっとっとけ?」
おっと、結構なまっているな。もう大丈夫かってことだよね?
「はい、おかげで元気になりました。特におかしな場所はないと思います。」
そう答えると、ニッショウさんはとんでもないことを言ってきた。
「じゃあオレと勝負せい!」
物書きとして一度は使いたかったフレーズ10選に入るかもしれない「知らない天井」
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