第57話 燃える大阪(前編)
3つの戦場は無理やり同時進行で進めます
レベッカに回復してもらった俺は再度ベリアルに接近戦を挑む。コッチーとミコトが何とか槍の一撃を貰わないよう立ち回りながら耐えてくれている。
「コッチー!ミコト!スイッチだ!」
俺はベリアルとミコトの間に棍を差し入れ、攻撃に参加する。
「ホオリくん!助かったよ!」
ミコトは少し距離を取り、ベリアルの隙を伺う。コッチーも雷爪の射程から離れ、イカヅチでの攻撃を再開。
ベリアルの槍に彫られた文字は紫の光を放ち続けており、攻撃力が増大したままだ。だがあくまで力が強くなり、気合と共に紫電を放ってくるだけ。
こんなことはできないだろう!
俺はギリギリ届く位置から突きを放つ。当然ベリアルは少し身を引いて棍を避ける。そして俺は棍にプラーナを込めて、棍のさらに先にプラーナの刃を発生させた。
そして俺の狙いは槍を持つ腕。プラーナの刃は深々とベリアルの前腕部に突き刺さった。
『グガァァァ!!?』
ベリアルはその痛みで槍を手放してしまい、槍はガランと音を立てて地面に落ちる。
俺はすぐさまプラーナの刃を消し、棍で槍を弾き飛ばした。
弾き飛ばした槍はレベッカが冷気の術で凍らせる。ナイス!これで簡単には拾えないぞ!
そしてこの機を逃さずミコトが肉弾戦を開始。ベリアルもその巨体とあふれるパワーで拳を振るうが、インファイトでミコトに対応するのは難しいはず。
ベリアルがミコトに釘付けになっている間に俺は左から回り込み、棍でベリアルの右膝裏を痛打する。
完全にバランスを崩したベリアルにミコトの回し蹴りがこめかみにきれいに入った。
『ガッハッッ!』
ベリアルは倒れた体のまま炎を噴き出し、俺たちを退かせる。
「このまま一気に決めるぞ!」
俺たちは態勢が崩れたままのベリアルに殺到する。
が、その時、デカラビア、ダンタリアンと戦っていたメンバーから悲鳴が聞こえた。
◆━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
~~Side 秋田さん
高屋君たちが合流し、前田と戦闘を開始。大きな体躯を持つ赤い悪魔が出現した時は、一瞬こちらの戦意が下がりかけたが高屋君たちの戦いを見て、反対に奮起するものが増えた。
三重さんたちもかなりダンタリアンを追い詰めているようで、こちらと同様、間もなく決着だろう。
ダイモーンたちも全員倒し終わり、召還していた信者たちのスマホも全部破壊したようだ。
ここは事前に打ち合わせしていたバレット一斉斉射を使う時と判断し、メンバーへ合図を送る。そして接近戦メンバーで協力しデカラビアの態勢を大きく崩し、大きくバックステップ。
全員でデカラビアに全方位からバレットを放つ。ダンタリアンも同じようにバレットの集中砲火を受けようとしていた。
一瞬、デカラビアが笑みを浮かべたような気がしたその時だった。
『パラバルターン』
その後は何が起こったのかよく分からないまま、幹部と戦闘中の全員が吹き飛ばされていた。
「な、なにが…か、回復を…」
身体に力が入らない。微動だにしないものもいる。そして、デカラビアの頭、五芒星の頂点部分に紫色に光る玉が出現しており、こちらからプラーナを吸い取っているかのようだった。
『悪くない戦いだったぞ、ただの人間にしてはな。まさか奥の手を切ることになろうとは。攻撃を集中したことが仇になったな。そしてこの吸魔珠で力を吸われてはもう戦えまい。ではさらばだ。』
デカラビアから巨大な火球が放たれ、飲み込もうとする。
「秋田さーーーん!!」
遠くで高屋君の声がする。すまない、こんなところで…。
諦めて目をつぶったとき、青年の声と共に熱波が吹き荒れた。
「ハァァァッ!」
剣で火球を切ったのか!?
「神の生太刀に切れんもんはなかど。」
金髪のツンツン頭の青年が片刃の反りがある剣を肩にトントンと当てながら、デカラビアに向かい合っていた。
「さぁいくど雪丸!いいとこ取りさせてもらおど!」
デカラビアに向かって金髪の青年と真っ白いウサギが向かっていくのが見えた。
「大丈夫け?今、回復させます。」
3人、いや、三重さんの部隊の方にも4人いるのが見えるので、先ほどの青年合わせて8人か…どこからの援軍だ。大阪から東側の戦力は全て連れてきたはず。
「私たちは鹿児島の部隊じゃ。兵庫から先行して私たちが援軍として来ました。あっちの頭がたくさんついちょるアクマと戦っちょっのは島根から来た部隊じゃっど。」
「ああ、ありがとうございます。他のメンバーは…」
「ああ、大丈夫じゃっど。みんな回復できる怪我みたいです。」
しかし、あの金髪の青年、何と言う強さだ。速度が我々とはケタ違いに速い。いや、何だ?あのウサギから何か力のようなものが流れているのか?
高屋君が使う強化術に似ている気がする。あのウサギは見たこともないアクマだが、味方を強化する能力に特化しているのだろうか。攻撃は全くせず、青年の周りをウロチョロと走っている。
あっという間にデカラビアに近づいたと思ったら、デカラビアの頭の上に浮いていた紫の玉を手に持った剣で横一文字に切り裂いてしまった。
そしてデカラビアが苦し紛れに放った魔眼をあっさり躱すと、あっという間に剣で切り裂き、バラバラにしてしまった。
「ふん!こんなもんけ、幹部ち言うても大したこたなかどな。」
そんなことを言い放っている青年の横から、慌てた様子のウサギがデカラビアに向かって光る砂のようなものをかけ始めた。
それを見て、金髪の青年も慌てた様子でウサギに謝っていた。
エンカウント:Lv?? イナバノシロウサギ 雪丸
鹿児島弁はCopilotくんが変換しています
ぜひとも★評価・いいね・感想をお願いします!励みになりますm(_ _)m




