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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第53話 君主と呼ばれる悪魔

戦闘回

 もう次の幹部が攻め込んできたのか!?まだ準備はできていない。このままでは作戦に支障が出る。それなら!


「柴田さん、秋田さん!俺たちが迎撃します!皆さんはこのまま準備を進めてください。」


「しかし、それは…」


「秋田さん、お願いします。」


「ああ、任せてください。君たちなら大丈夫だと、私は信じています。」


「秋田さん、そんな…」


「柴田さん、大丈夫です。いや、今この状況に対応できるのは彼らしかいません。むしろ、敵の方から一人で来てくれたのは幸運かもしれません。この場で一人幹部を倒せれば、次の作戦の時、敵の戦力が大きく減ずることにもなります。」


「分かった…高屋君、頼むぞ!」


「はい!…さあみんな、行こう!」


◆━━━━━━━━━━━━━━━━━◆


「フン、何の抵抗もなしにここまで進めるとは。住吉の神は結界を再度張ることはできないようだな。ん?おやおや、ガキが二人に猫と小さなアクマか?舐められたものだ。」


「これ以上は進ませないぞ!」


「さっきの悪魔みたいに倒されたくなかったら降参してもいいんだよ!」


「くっくっく、威勢のいい小僧どもだ。なにか?お前たちがアンドロマリウスを倒したのか?」


「そうよ。伯爵とかほざいていたけど大したことなかったわ。アンタも口だけなんじゃないの?お仲間連れて出直してきてもいいわよ。怖いならね。」


 んにゃ~とコッチーが煽りすぎだと呆れたような声で鳴いた。


「どうせ俺一人だ。本気を出させてもらうぞ…」


 黒い神父服をきた、いわゆるイケメンな男から真っ黒なオーラのようなものが噴き出す。そして、男の体を覆うと、肉体がビキビキと音を立てて変化していく。


 そして足元の陰から翼の生えた馬、ペガサスが現れ、それに乗った。


 金髪に碧眼、銀糸で装飾された貴族服。頭からねじれ角が生えていることを除けば外国のイケメン俳優のようないで立ちだ。アンドロマリウスとは全然違い、悪魔と言うより天使のような外見。ただ、口調が悪いので妙なギャップがある。


『クックック、俺は公爵のセーレ、俺が治める土地では君主とも呼ばれる。この姿を見せた以上、確実に殺してやるぞ。』


 アンドロマリウスよりプラーナの量が多く感じる。プレッシャーも明らかに強い。コイツは強敵だ。


 俺たちが構えるのを見て、セーレを乗せたペガサスは空に飛びあがった。


「くっ、空中戦は厳しいな!どうにかして落としたいけど…」


 俺たちが空を見上げるのを見てニヤリと笑うセーレ。手を空に向かってあげたと思ったら、俺たちの頭上に黒い穴が現れ始めた。


 そしてセーレがあげた手を振り下ろすと、黒い穴からガレキが山のように降り注いだ。


「俺の周りに集まって!オオヤマツミ様、力を!大!岩山壁!!」


 ギリギリ間に合った岩の壁にガンガンとガレキがぶつかる音がする。一瞬でも力を抜いたら崩されそうだ。


「ぐぐぐ…、くぅいつまで…続くんだ…」


『さて、潰れたか?何かをしようとしていたのは見えたが…』


 ズガン!とガレキの山から岩の槍が飛び出し、ガレキを撥ね退ける。


 ガレキの下から岩のドームが現れ、ガラガラと崩れていった。


 そして崩れた岩のドームの下からガガン!と大きな音と共にコッチーのイカヅチが放たれ、ペガサスの羽を一つ吹き飛ばした。


『な!なにぃ!!』


 バランスを崩しながらなんとか着地するペガサス。しかし、ペガサスが着地した瞬間、地面から土槍が何本も突き出され、ペガサスを串刺しにした。


『おのれぇぇぇ!』


 とっさにペガサスから降り難を逃れたセーレが憎らし気にこちらを睨む。


 しかし、戦闘はもう始まっている。このチャンスを逃すことはしない。油断できるような相手じゃない。


 レベッカの吹雪が、膝をついているセーレに襲い掛かり、足を凍らせる。動きが鈍ったセーレに対し、ミコトが飛び蹴りを放つ。


 セーレはとっさに両腕をクロスして防御したが、勢いに耐えきれず、数メートル先まで転がっていった。


 俺はこの隙に攻撃力増加の術を使う。さっきの飛び蹴りに乗せられなかったのは失敗だったな。ミコトの接近戦闘はダメージが大きいので、与えられるときは最大限に配慮すべきだった。


『このガキどもーーーーー!』


 数メートル先でセーレが怒気を上げ、巨大な火の玉を飛ばしてくる。


 俺たちは慌てて回避するが、その熱量で肌がヒリヒリする。あれは岩山壁を使っても耐えられないかもしれない。


 俺たちが火球を躱している間に、セーレはまた黒い穴を出現させ、その中から禍禍しいプラーナを放つ両手剣を抜きだした。


「うぇ、見るからに悪そうな剣だね…。レベッカー、あれは喰らったらマズイよね?」


「見たまんまね、アレは。かすり傷でも喰らったら傷口から邪気で浸食されるわよ。ミコトは操鬼闘法を切らしちゃだめよ。」


「ミコト、俺も前に出る。隙を作るから一撃を決めてくれ。」


「オッケー、ホオリくん。イワナガヒメ様に授かった力、見せてあげるんだから!」


 ニ”ャーーー!とコッチーの叫びと共に飛んでいくイカヅチ。あえて威力を抑えて投げ網のように広い範囲で飛ばしている。上手い牽制だ。


 セーレはうっとおしそうにイカヅチを剣で切り払っている。


 俺とミコトはその隙に棍と蹴りの間合いに入り、攻撃を仕掛ける。


 剣自体はおぞましいが、セーレの剣の腕はそこまでではないようで、大振りがむしろ隙になっていた。


 上手く攻撃できない苛立ちからか、大上段の切り落としを仕掛けてきたので、俺は棍で魔剣を打ち落としす。ここだという動きの道筋が緑色の光で見えた気がした。


 綺麗に打ち落としが決まり、魔剣の先が地面に突き刺さり、俺の棍が上から抑え込む。剣が動ないことに一瞬動揺したセーレの隙をついて、ミコトが懐に潜り込む。


 手甲を付けたその拳でセーレの顔面をワンツー、左でこめかみ目がけてフック、顔に振られて体制を崩したところに地面スレスレの軌道を通った右のアッパーがセーレの顎にめり込み、頭をカチあげた。


 身体が浮き上がったところにコッチーの極大イカヅチが降り注ぎ、セーレの身体を包み込む。


「もう!オーバーキルよ!」

『さ迷えし魂よ。そなたはもう家に帰る時だ。我、大地の姉妹姫より授かりし、光の道をそなたに示さん。さぁお帰り、また来世で相まみえよう。シャウチャ ジャーヌ…』


 レベッカの浄化の光がセーレを包み込み、光が消え去ると、神父服を着たイケメン男がそこに倒れていた。


 そして木村と同じように青白い光になって霧散していった。


「ふぅ…何とかなったね…」


「これは、二人以上同時に来られるとキツイかもーー」


 ニャーとコッチーが鳴きながら俺の体を登り腕の中におさまった。もう歩きたくないのだろう。


「増援が来ないうちに撤退しましょう。さすがに回復に集中しないと、この後の戦いで持たないわ。」


 俺たちは急いで撤退した。

エンカウント:Lv45 セーレ(分霊)

セーレがあっさり倒されているように見えますが、舐めプ&切り札を最初に切って防がれた&新たな手を打たれる前に速攻を仕掛けられた、といった要素により瞬殺されました。

ガチ戦闘であれば、誰かが重傷を負うくらいの激戦になっていたはずです。(というフォロー)


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