第52話 奴は最弱
複数視点混じり回です
~~Side:トラータ解放戦線
!?
「い、今のは…」
「アンドロマリウスが消えた…か…」
「や、やはり。し、しかし我らを倒せるものが人間の中にいるなど…」
「フン!アンドロマリウスは所詮、伯爵。俺たちの中では最弱よ。俺がいって片付けてきてやる。」
(かませセリフ乙…お前がいなくなれば私が陞爵するチャンスもあるか…)
「セーレよ…大口は結果を出してからにせよ。」
「王よ、では俺にチャンスをください。人間のガキなど蹴散らして見せましょう。」
「よかろう。だが、ダイモーンを使うことは許さん。貴様の力だけで成すのだ。」
「もちろんです。ダイモーンなど居たところで足手まといにしかなりません。俺の速さについてこられるものなどいない。あぁガレキは少しもらっていきますよ。」
「では、行け」
「はっ!楽しい余興をお見せいたします。」
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~~Side:高屋 穂織
「ふぅ、なんだか後ろにいた人たち?信者さんかな?も逃げていったね。」
「高屋君!無事ですか!?」
秋田さんがこちらに近寄ってくる。
「はい、強いアクマがいましたが、何とか倒せました。体を乗っ取られていた人は…」
「うん、詳しい話は府知事のところで聞きましょう。今後の対策も立てなければね。」
「はい、了解です。みんな!一度戻ろう!」
「高屋君、お疲れ様。とんでもない戦闘だったね。あれは他の人だと手出しできないよ。」
宮城さんが建物の陰から出てきて、声を掛けてくる。
「宮城さん、無事でしたか。宮城さんから見て、アンドロマリウス…敵の魔王ですが、例えば秋田さんの部隊でどうにかできそうでした?」
「うーん、正直、君たちの動きが速すぎて分からない部分もあったんだけど、毒を受けたらどうにもならないだろうね。解毒術自体は回復メンバーは使えるけど、一回嚙まれただけで、ミコトが戦闘不能になったでしょ。あのレベルの解毒は無理かなぁ。
あと懸念点があって、これは後でも話すけど、アンドロマリウスって名前からして、ゴエティアの悪魔の中では一番下の階級っぽいんだよ。もちろん強さって言っても知恵とか特殊能力とかもあるだろうから、単純なパワーは分からないけどね。」
「え?マジですか?アンドロマリウスはかなり強かったですけど、あれで最弱な可能性があるってことですか…かなりまずいんじゃ…」
そんな話をしながら歩くと、テレビで見たことがある男性を中心に人が集まっているところに着いた。
「柴田知事!無事、撃退できました。今後の作戦を練りたいのでご協力ください。」
「秋田さん、良かった。皆さん無事でしたか。第一本宮で話しましょう。三神にもお話を伺いながら考えたいと思います。」
あの人が柴田大阪府知事か。近代の三英傑と呼ばれる政治家の一人、吉中前大阪府知事の後継者で、第2首都とも言われる大阪を中心に西日本再建の立役者とも言われている凄い人だってテレビでよく話題になっている。
三英傑は教科書に載っているぐらいだから学生でもほとんどの日本人が知っているし、今の日本があるのはこの人たちのおかげと言われるくらい偉大な人たち。
30年以上続いた日本の衰退や政治不信を取り払った立役者だと教科書に書かれている。その後継者だ。
「君が噂の英雄ホーリーかい?」
移動しようとする直前に、府知事から声を掛けられた。
「あ、あ、えと、あー、はい。高屋 穂織です。その、英雄とかは…宮崎さんが勝手に言い始めただけなので…」
「はっはっは、そうか、それは失礼した。周囲から自分の考え以上に優秀にみられるのは時にプレッシャーだからね。
だが、君たちが来てくれたから誰も死なずに済んだ。ありがとう。」
「いえ、本当に誰も死なずにすんで良かったです。間に合ってよかった。」
「さぁ、我らの神に紹介したい。こちらに来てくれ。」
府知事に連れられ、一つの建物に入っていく。この神社は本宮と呼ばれる建物が4つもあるらしい。そこの一つに避難民を守ってくれていた神様がいる。
「コウタケさん、失礼します。」
「これは柴田さん。どうぞこちらに。三神がお待ちです。」
建物に入るとさんが現れ、神様のもとに案内してくれる。神様は三柱もいて、それぞれ淡い青、水のような印象を受ける光に包まれていた。
『よくぞ参った、勇ましき人の子らよ。力の匠たる妖精女王の末よ。此度の働き、感謝申し上げる。』
「んー、アンタらってイザナギの子供たち?ソコツツ、ウワツツ、ナカツツだっけ。ずいぶん消耗しているわね。邪神にでもぶん殴られたの?」
「ちょっと!レベッカ!神様に対して失礼だろ!恥ずかしいからやめてよ!」
コイツは本当になんて奴だよ。ほら、宮司さんがもう、どういう顔をしたらいいか分かんない感じになってるじゃないか。
『よい、そこの妖精の言う通りだ。先ほどの結界破りで、かなりの力を持って行かれた。あちらも消耗しているはずだが、我らも再度結界を張れるほど回復していない。』
「なるほど…やはり防衛に回ると不利になりそうですね…」
それぞれの話をまとめると、
・住吉三神と呼ばれる三柱の神の力は結界を破られた攻撃でかなり弱まっている。
・結界を破ったのはトラータ解放戦線の幹部たちの力だと推測
・幹部は全員で5人。一人倒したから残りは4人
・トラータ解放戦線でダイモーンというアクマを使役して戦う部隊は30人ほど
・再度結界を張ることはできないから、こちらから攻勢に出た方が被害が少ないと考えている
だが、幹部があの強さだと、4人同時に相手にするのは無理があると思う。
「宮崎君の話だと、幹部の相手が出来るのは高屋君たちだけです。それがあと4人もいるとなると現実的に勝ち目がないのでは?」
秋田さんの冷静な質問。
「秋田さんのおっしゃる通り、無策では無駄死にするだけでしょう。そこで、住吉三神の御柱になにか方策はないかお聞きしたいのです。」
『我らは父の清めの時に生まれし神。浄化を得意とする兄弟神なのだ。よって、我らの力を込めた宝珠を使い、清浄な場を形成し、そこで戦えれば邪なる力は弱まるかもしれぬ。』
そういえば、アンドロマリウスは黒いモヤの攻撃をしてきたし、邪悪な力を持っているのは間違いない。
それが弱まるとすれば、かなり戦いやすくなるだろう。
「その作戦は良さそうですね。柴田知事、どこか清浄な場を形成するに適した場所はありますか?」
「そうですね、あくまで攻め込んでという前提になると、堺筋線と御堂筋線が交差する動物園駅の上にある太子という交差点が広さも十分かと思います。交差点なので建物も多く術を発動するメンバーが隠れる場所もあります。」
「なるほど、良さそうですね。後はどうやっておびき出すか、でしょうか。」
「恐らく、こちらから攻めていけば、それより前の交差点で気付かれるでしょう。気付かれた後に太子で布陣しても迎撃態勢を取ったと思われるだけで、策を察知されることはないかと。問題は術師は先に配置についている必要があることですね。」
「なるほど、その辺も練っておきたいですね。」
そんな話し合いをしている中、索敵部隊と言われる人が一人飛び込んできた。
「か、会議中失礼します!幹部が一人乗り込んできました!」
「なんだと!」
エンカウント:Lv?? 住吉三神 底筒男命・中筒男命・表筒男命
大阪の人たちが関西弁じゃない件、ごめんなさい(´・ω・`)
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