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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第51話 悪魔

アクマではなく悪魔

戦闘回です。(せんとうかい と入力して変換すると 銭湯かい になる我がPC)

 ガガガガガガン!!と鳴り響き炸裂するコッチーのイカヅチ。


 さすがに直撃したのは数体だが、多数の敵にダメージを与えたようだ。


 数体は青白い光になって後方に流れて行っている。アクマデバイスから召還されたアクマはプラーナが霧散せず、アプリに戻っていくのかな?


 少なからずプラーナは俺たちに吸収されているので、かなり弱った状態で回収されるのかもしれない。


 そんなことを考えていると、後ろからミコトダイモーンの群れ向かって突撃していく。蹴る・殴る・蹴る・蹴る・蹴る、まるで嵐のようだ。


 俺は攻撃力増加の術を使ってからミコトのフォローに入る。ミコトが動きやすいよう、棍で敵の動きを止めたり、火弾を放とうとプラーナを溜める個体を叩き落とす。


 コッチーのイカヅチやレベッカの風弾も飛んでくる。


 あらかた片付けたかと思ったところで、一人の人間が、拍手をしながら歩いてきた。


「いやいや、見事なものだね。高校生の男女、猫、見たこともないピクシー、君たちが英雄チームかな?会えて光栄だよ。」


 黒いローブのような服に首から十字架を下げた男がニヤニヤしながら声を掛けてくる。あれってトラータ教の神父の恰好かな?神父の割には妙に邪悪な気配を感じる。


「トラータ解放戦線の方ですか?」


「おお、そうだね。先に名乗るのが筋だった。私はトラータ解放戦線の木村というものだ。今回の制圧戦の指揮をとっている。我がダイモーン部隊をせん滅するとは聞きしに勝る戦闘力だね。」


「なぜ人間同士で争うんです!世界中が大変なことになっていて、人だってたくさん死んでしまったというのに!今は協力して生きていくことが一番大切なことでしょう!」


「フッフッフ、あぁそうだ。君の言う通り、今こそ協力して生きていかなければならないなぁ。だが、一番大切なことはどんな思想のもとに生きていくか、だよ。

 この国では、無宗教だ、信仰の自由だと言い訳を付けて真なる神を信じない輩が多すぎた。そして、この大阪こそが日本の中心であるべきなのに、東京・東京と偉そうに地方を顧みない政治家たちが勝手をし続けている。

 だからこそ、我々は立ち上がったのだ。たかが日本第二の都市で満足している府知事も同罪だね。

 トラータの神と大阪が世界の中心になり、哀れな人々を導いていくのだよ!」


「ホオリ、多分こいつは話が通じないわよ。トラータの神とやらは知らないけど、こいつはもう人間じゃないわ。アクマに完全に入れ替わられてる感じがする。」


「え、アクマに…?」


「やい!そこの黒服のアンタ。トラータとか邪神とも戦ったことがない、ザコ神を引き合いに出して偉ぶってないで正体を見せなさい!アンタがアクマってことはもう丸っとお見通しよ!」


「たかがピクシーの分際で随分な口の利き方だ。まぁ良い、ここで貴様らを殺せば後は有象無象のみ。王が出るまでもない。俺様がここで終わらせてやろう。」


 木村と名乗る男から、真っ黒なオーラのようなものが噴き出す。そして、男の体を覆うと、肉体がビキビキと音を立てて変化していく。


 身体が黒より暗い闇のような色になり、左腕には蛇が巻き付いている。背には大きな蝙蝠の翼が生えていて、頭には2本のねじれ角が生えていた。


『グッグッグ、肉を得るというのは良いものだ。我が名はアンドロマリウス。王に使えし魔の国の伯爵なり。忌々しき外神がいない今、我らが世界を席巻するのだ。貴様ら人間は、プラーナを供給する家畜として飼ってやるから安心しろ。我らにこの世界を任せるがいい。』


「うわっ、本当に人間じゃなかった!しかも大阪とかトラータの神とかはどこに行ったのよ。どう見ても悪魔だよ、あれ!」


「ミコトの言う通りみたいだ、あれは多分トラータ教が全世界に広まったときに駆逐されたどこかの土地の神様だと思う。ゴエティアにまとめられた魔王の一人にアンドロマリウスってのがいるから、多分それだね。」


 いつの間にか来ていた宮城さんが教えてくれる。


「宮城さん…、魔王ってことは相当ヤバいと思います。下がっていた方が良いかも。」


「できるだけ観測していたいから、邪魔にならない程度に下がっておく。高屋君、レベッカさんが知らない新しい神だとしても、神は神だから油断せずにね。」


「分かりました!みんな、あいつの相手は俺たちしかできないと思う。ここで何としてでも倒すぞ!」


 ニャーー!


「当然よ!」


「やっちゃうぞー!」


 俺とミコトが接近戦で相手の動きを見る。攻撃力増加はまだかかったままだから、攻撃が入ればいいダメージにはなるはず。


 ミコトも手甲にトゲを出しているから、様子見とは言え、場合によっては一気に決めることも考えよう。


 コッチーは俺たちの動きを見ながら、イカヅチや火弾でけん制してくれるだろう。場合によっては俺とスイッチして雷爪での接近戦も考える。


 アンドロマリウスはインファイトを嫌がるように距離を取りながら、手から火弾を放ってきたり、左手の蛇の嚙みつきで攻撃してくる。


 武器は持っていないので、中距離戦を得意としている感じだ。


 であればミコトが接近戦でラッシュをかければ勝負がつくかもしれない。チラっとミコトに目配せをする。


 何となく察してくれた気がしたので、アンドロマリウスが後ろに下がった瞬間に地面に手を付け、アンドロマリウスの下がる方向に土槍を出現させる。


 急に下がっていた方向に壁が出来たアンドロマリウスは壁にぶつかり態勢を崩す。その隙をついてミコトが急接近し上段の蹴りを放った。


 アンドロマリウスはかろうじて両腕を使いガードしたが、ガードの上からでも衝撃が強かったのか、更に体制を崩した。


 ミコトが追い打ちをかけようとした時、ミコトの軸足にアンドロマリウスの左腕に巻き付いていたはずの蛇が噛みついた。


 ガクンと体が崩れるミコト。コッチーのイカヅチの牽制ですぐに離れる蛇。俺もミコトを守るようにミコトとアンドロマリウスの間に身体を滑り込ませ、棍を向ける。


 ミコトが脂汗を流しながら苦しそうにうめいた。


 まさか毒!?


『くく、こうも簡単に罠にかかるとは。戦闘経験が足りんようだな。英雄などと言うからどれほどかと思えば、所詮は子供よ。』


 偉そうな口上を垂れるアンドロマリウスに対して、俺はそれが隙だと言わんばかりに、棍で殴りつける。


 左腕に戻ろうとしている蛇を土槍で縫い付け、その頭を棍でメッタ突きにする。蛇は紫の液体を吐きながら、動かなくなった。


「ギギギ、貴様ぁーーーー!」


 俺が蛇を仕留めている間にレベッカがミコトの治療に入っていた。レベッカならすぐに動いてくれると思っていたよ。


「ああ、確かに俺たちは戦闘経験が足りないかもな。だが仲間を信じる心が最大の武器になると知っている。お前が調子に乗ってミコトを倒したと思っても、こちらには毒すら治療できる術師がいるんだよ!」


『ゴミ共がぁぁぁぁぁ!』


 アンドロマリウスが憎らし気に叫び、真っ黒なモヤの塊が俺たち全員に襲い掛かろうとする。


 その攻撃は見たことがあるぞ!


「ニャミニャミ様!俺たちをお守りください!!」


 ニャミニャミ様にもらったお守りが光を放ち、真っ黒なモヤを押し返し、消し去る。


 驚くアンドロマリウスを尻目にコッチーが雷爪で切り裂く。


『ゲバァ!』


 俺が棍で足を払い、倒れるところを更に下から叩き上げる。


 俺の肩を踏み台にして、トンッとミコトが飛び上がり、アンドロマリウスの頭に踵落としを叩き込んだ。


『さ迷えし魂よ。そなたはもう家に帰る時だ。我、大地の姉妹姫より授かりし、光の道をそなたに示さん。さぁお帰り、また来世で相まみえよう。シャウチャ ジャーヌ…』


 レベッカの浄化の光がアンドロマリウスを包み込み、光が消え去ると、木村という男がそこに倒れていた。


 しかし、木村もまた、青白い光になって霧散していった。


「やっぱり駄目か…」


「レベッカ…」


「完全に肉体をアクマに乗っ取られていたから、すでに死んでいたんだわ。魂だけは正しいマルガに還せたから、いつかどこかで生まれ変わるでしょうけど、神の力でも助けられなかった。」


「そう…か…。レベッカ、ありがとう。魂だけでも救ってくれて。」


「こんな、ひどいこと…」


「ミコト、大丈夫?毒を受けていたよね?」


「う、うん。大丈夫…レベッカが治療してくれたから。全然どこも痛いところないよ。傷跡も綺麗になくなっているしね。」


 筋肉が詰まっていることが外からでもわかる太ももをグイっと見せてくる。


 俺は慌てて視線を逸らし、「よ、よかったね」というのが精いっぱいだった。


「青春してるわねー」


 ニャー


 そこ、ちょっとうるさいぞ!

エンカウント:Lv15~30 ダイモーン Lv40 アンドロマリウス(分霊)

ソロモン72柱の悪魔たちの本体はもっと強力です。召喚体であるため弱体化しています。


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