Extra Story4 アクマ合成で得られる力
別視点回です。
~~大阪:トラータ解放戦線
「よし!今だ、捕まえろ!」
アクマデバイスのアプリを起動させ、弱ったアクマにかざすと、アクマは光の粒になってスマホに吸い込まれていった。
「これでこの辺の雑魚アクマは全種類捕りきったか?」
「はい!おかげで3体も集まりました!」
「よし、ザントマンとスライムを合成してマンドレイクを作れ。マンドレイクとガキを合成したらダイモーンができる。あとはダイモーンでアクマを狩ればダイモーンが強力な下僕となって成長するだろう。成長したダイモーンなら、雑魚アクマをいくら合成しても他に変異することなく、そのまま力だけ吸収して更に強くなっていく。」
「は、はい!ありがとうございます!いつかは幹部の皆さんのように大悪魔を使役できるようになれますか!?」
「あぁもちろんだ。君はもう聖戦士だよ。」
「ああああぁぁ。神は我々を見捨ててはいなかったのですね…」
「もちろんだ。神は我々に試練を与えたが、同時に試練を乗り越えるための力も与えたもうた。」
これでまた一人、兵士が出来た。この調子で確実に兵力を増大していき、大阪は俺たちが支配する。
あのクソ忌々しい府知事には逃げられたが、あいつらの戦力なんざたかが知れている。この街を徘徊するアクマ達にだって住吉大社の神の力がないと太刀打ちできない程度だ。
しかし、アクマデバイスを作った奴に感謝だな。このアプリの仕様の罠のおかげで俺たちは肉体すら手に入れた。
外神とかいう奴に散々勢力を伸ばされ、俺たちは悪魔のレッテルを張られ迫害されて勢力も大きく削られたが、ここからやり直しだ。
しかし、外神の残したトラータ教とかいう団体は本当に役に立つぜ。この島では全然流行っていないから信者を集めるのも苦労するが、この状況は俺様達に味方している。
Xitterとやらの情報では、いくつかの土地でニンゲンの勢力圏を確立しつつあるらしいが、大阪近辺にはそういった勢力もない。
東京の政府機能も沈黙している。どうやらあのタコ共に封じ込めらえて、まともに機能していないようだ。
今こそ、大阪が日本の中心になるのだ。
「あの…木村さん…」
「ん?ああ、どうした?」
「あ、すみません。ダイモーンが成長したって、どうやったらわかりますか?」
「うむ、ダイモーンが十分にアクマを狩って力を付けたら、日本語が喋られるようになるんだ。そうすれば、あとは狩るのではなく、弱らせてアクマデバイスに吸収させ、アクマ合成をすると更にダイモーンは強くなっていくよ。
通天閣本部に戻って部隊編成をしてもらうと良い。ダイモーンを手に入れたと言っても、まだまだこれからだからね。無理せず強くなっていくんだ。」
「わかりました!」
くくっ、本当に従順な兵隊だな…俺様達の本願も近い…
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~~大阪:住吉大社避難民
「ようやく他の地域と連絡が取れた。現在、西東京から山梨までを繋いで人の生活圏を作ってくれている人たちが名古屋まで来ているらしい。
名古屋も何かトラブルが起きているらしいが、それが解消次第、大阪に向けて戦力を向かわせてくれるそうだ。」
「あぁ、良かった。このままトラータ解放戦線に飲み込まれてしまうかと…」
「すまない、私に力がないばかりに。」
「いえ、府知事がいなければ、ここの避難民もここまでまとまってはいられなかったでしょう。住吉三神のお力もあれど、人の心は人の力にてまとまりますから。」
「いや、それこそ皆の力だろう。私たちがアクマの襲来から身を守れたのは住吉の神々のおかげだし、避難民たちが混乱せず協力し合えたのも、それぞれが私欲に走ることなく、全員で生き延びようとしたからだ。
それだけに、あの信徒たちの暴走は大阪最大の汚点になってしまったが…」
「それについて妙な噂がXitterで流れているのをご存じですか?」
「いや、どんな話なんだ?」
「これは韓国の生存者が投稿したものが拡散され始めているのですが、アクマ合成を繰り返しすぎると、アクマが力を付けすぎて使役者が喰われてしまうと言うものなんです。」
「なっ!?そんな…我々の中にはそういった者はいないと思うが…。」
「はい、日本ではそういった話は出ていません。もちろんアクマ合成自体があまり行われていないという状況もあります。
例外としては、例の英雄ホーリーが誰も見たことがないアクマを合成したという話はありますが…」
「君が言いたいのは、解放戦線の前田たちがそれに近い状況にあるのでは、ということか?」
「あくまで憶測に憶測を重ねていますので、こんな考えもある、というレベルです。
前田たちが喰われているという訳ではないと思いますが、彼らの使役するアクマは強すぎると思うんです。神話に詳しいものが言うには、アクマの王や貴族のようなものたちではないかと。王や貴族と称されるくらいですから知能が高いでしょうし、自分たちを使う人間を喰うのではなく利用することも考えらえないかと…」
「『自らを超える力は制御できない。アクマはいつもお前の背中を狙っている。』か…」
「はい、アクマ合成をするときに言われる言葉です。人間に制御できる力とは思えません。こちらにおわす神ですら、奴らの侵攻を防ぐので精一杯と仰るくらいです。」
「ますます人間が扱える力とは思えなくなってきたな。東のリーダーたちに共有しておこう。援軍が来たとて何とかなるのか不安になってくるな。」
「ええ、我々もどうにか戦力を増やさなければなりませんね。」
「それについては、君の方から住吉三神に相談してみてくれないか?あとは例の英雄くん絡みで何か強くなる方法に当てがないか…」
「そう言えば、英雄ホーリーもこちらに来る予定なのですか?」
「ああ、彼を筆頭に戦力を集めてくれると聞いている。英雄くん自体は名古屋の解放に向かっているらしいがな。」
「英雄ホーリーはファンも多いですから、来てくれれば士気が上がるのは間違いないですね。最近は格闘家の女の子も目立つようになってきたとか?」
「ははっ、そうなのか?私はあまり知らないが、猫だの妖精だの、不思議なチームらしいな。」
「そうですね、その妖精のおかげでプラーナの扱い方が広まってアクマに対抗できる人間が増えてきた訳ですし、英雄と言うものは現れるべくして現れるのかもしれませんね。」
「そうかもな。だが、彼らが来るまでに我々がやられてしまっては意味がない。ここが正念場だぞ!」
府知事さんたちは説明キャラとして役に立ってくれそうです。
大阪都構想が成就していない世界線となっております。
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