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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第47話 怨念の龍神

オロチ戦開始!

 ヤマトタケルと合流し、表二之門に戻る。


「タケルさん、オロチは天守閣でしょうか?」


 門をくぐり、ヤマトタケルに声をかけたとき、本丸とされる広場の方から巨大な叫び声が聞こえてきた。


『あちらのようだな…』


 貴重な文化遺産である建物を破壊してしまってもまずいので、広場で戦えるのはこちらとしてもありがたい。


「スサノオはヤマタノオロチを酒に酔わせて退治したという話だが、正面から戦って大丈夫でござるか?」


 福島さんが不安そうに言うが、いまさらお酒を用意するわけにもいかない。タケルさんもいるし、何とかならないだろうか。やってみるしかないだろう。


 本丸広場に着くと、そこには5メートルはあるであろう、巨大な蛇と言うか、東洋の龍のような姿の存在が俺たちを待っていた。


『まさか自分から来るとは、わざわざ結界まで張って閉じ込めたのに、愚かなやつだ。

 儂の尾を返してもらうぞぉ!!』


 なんて大きな声だ。いや、声が大きいのではなくプラーナが乗って力を感じるのか?


 福島さんを見ると、腰を抜かして、おびえた声が口から洩れていた。


『キサマこそ、大事な結界を破壊され、配下も置かずに待っているとは!ここまでのようだな!』


 ヤマトタケルも負けじと声を張り上げる。英雄の名に恥じない力強い声だ。


『がっはっはっは!結界など、その忌々しい剣を持って逃げられないようにしていただけだ。そちらから飛んできたので張り直す必要がなかった。配下など儂の尾の一振りで吹き飛んでしまうので、いたところで役にも立たんわ。』


『ぐっぐっぐ、ようやくだ。ようやく儂の尾を取り戻せる。儂をだまし、酒に薬を持った挙句に尾まで勝手に都合の良いように使われ、どれだけ!どれだけ憎らしかったか!この怨念に喰わられるがいい!』


 俺はオロチとタケルさんが言葉をぶつけあっている間に福島さんを立ち上がらせ、離れた場所でオロチの弱点を探ってもらうよう頼んだ。


『ガアアアアアアアアアアアア!!』


 そうしている間にオロチの咆哮が響き渡り、戦闘が開始された。


 前衛はタケルさんが担当してくれるようなので、コッチーとミコトには遊撃に回ってもらい、俺は最初はサポート中心で動こう。


 プラーナを集中し赤みを帯びた力強いプラーナの波を広げ、俺とミコト、タケルさんの腕に巻きつける。まずは攻撃力増加の術だ。


『ほう、器用なことを。ありがたい!』


 攻撃力が増加したタケルさんの斬撃はオロチの鱗を確実に切り裂いていた。


 コッチーは火弾やイカヅチを織り交ぜて牽制する。まずは属性の効果を見ているようだ。


 ミコトはタケルさんの攻撃でオロチがひるんだ瞬間に突きや蹴りを入れつつ、すぐに距離を取る。相手が巨大なので、攻撃を受けないようヒット&アウェイで行くようだ。


 オロチも体当たりや尻尾での振り払いは行うものの、あまり踏み込んで攻撃はしてこない。コッチーやミコトの攻撃はうっとうしそうにしているが、やはり一番の脅威は天叢雲剣なのだろう。決して、剣からは視線を逸らそうとしない。


 今回は首が一本なので、お互い拮抗状態で様子見できているが、本来の八本の首があったら戦いにならなかっただろう。


 俺もバレットやフレイムバレットでけん制、レベッカも衝撃波を細かく当てている。


 遠距離攻撃で一番効果がありそうなのはコッチーのイカヅチか。マハーナーガがイカヅチ無効だったのでオロチも同じかと思ったが、見た目同様に別の種族のようだ。


 コッチーもイカヅチが有効であることに気付いたらしく、火弾は使わず、イカヅチでの攻撃に集中し始めた。


 反対に炎はほとんど効果がないと思う。ナーガが炎に弱かったが、オロチは龍の名に恥じない対炎防御を誇っているようだ。


「ホオリ殿!オロチの傷が癒えているでござる!タケル氏やコッチー殿の攻撃でついた傷がどんどん回復しているでござるよ!」


「福島の言う通りよ!大蛇は大地からプラーナを吸収して回復しているわ!」


 回復持ちか!?持久戦はこちらに振りってことだ。


 よし、ならば様子見は終わりだ。俺は地面に手を当て土槍でオロチの動きを止めようと試みた。動きが止まればミコトやタケルさんの強力な一撃が入る。


「土槍で動きを止める!その隙に攻撃を!」


『無駄だぁぁ!』


 オロチが叫びと共に大きく尾を振り、土槍を完全に破壊。破壊された土槍の破片が俺たちに降りそそぐ。


「な!マズっ!」


 俺は慌てて盾にプラーナを集中させ防壁を作る。後ろにいるレベッカと福島さんを守らないと!


「ぐぅっ…!」


 完全に攻撃態勢に入っていたミコトがカウンター気味に破片を浴びてしまった。ガードはしたようだが、体中に傷がついている。


「レベッカ!立て直しを!

 ミコト、ごめん!大丈夫か!?」


 俺は急ぎミコトのもとに走り、ミコトをガード。


 くそっ、たった一手のミスでこのありさまか!対ナーガ戦術が全く通じない。意識を切り替えなければ。


 そう思いオロチを見た瞬間、視界に飛び込んできたのは、体を持ち上げ、大きく息を吸い込むよう動作をしているオロチだった。


『む!?あれは!何かを吹くつもりだ!下がれ!!』


 マジか!このタイミングで広域攻撃かよ!


「みんな、俺の後ろに!オオヤマツミ様!俺たちをお守りください、大!岩山壁!!」


 オロチは炎のブレスを吐いてきた。なんて火力だ!ヘルズバイカーの炎より強力かもしれない。


 炎が吹き止むと、岩の壁もガラガラと崩れてしまった。


「うわっ!熱いよ!!炎がまだそこら中に残ってる…」


 ブレス自体は止んだが、ミコトの言う通り吐き出された炎がそこらに残っており燃え続けている。ただの炎ではなく、ないか燃え続ける物質が含まれているのか。


「この炎じゃ、動くことも…」


『ぐぅ、恐ろしき炎だ。だが案ずるな!この手にありしは草薙剣。火を伏せし神の剣なり!』


 タケルさんが叫び、天叢雲剣を振るうと火が次々に消えていく。


「あ、天叢雲剣の伝説は本当だったでござるか。ヤマトタケルが炎に囲まれた時、その剣で燃える草を刈り火を鎮めたと言われているでござる。」


 流石は神剣と言うことか。だが、どうする。誰ならあいつに決定打を与えられるか。


「タケルさん、全力の一撃ならオロチを斬れますか?」


『無防備な頭をさらしてくれれば斬れる。』


「わたしがオロチの顎をカチあげるよ!そうすればタケルさんの一撃に繋げられるんじゃない?」


「コッチーのイカヅチも効きが良いと思う。全力のイカヅチを直撃させればミコトが懐に飛び込む隙もできるかも。」


「じゃ、私とホオリで飽和攻撃でアイツを身動きできなくしてやりましょう。」


「よし!次で決めよう!」


 ニャーー!と力強い声でコッチーが鳴いた。


「「いくぞ!(いくわよ!)」」


 俺とレベッカでバレットと風弾の雨を降らせる。オロチはうざったそうにガアァと吠えているが、この弾幕の中では身動きが取れないようだ。


 俺の横でコッチーのプラーナが急激に高まっていく。そして光が弾けた。


 ゴゴン!という腹の底に響くような轟音が鳴り響き、いまだかつてない太さのイカヅチがオロチに直撃した。


 焦げ臭い臭いがただよい、オロチの体からは煙が立ちあがっている。


 ミコトは巨大な音に少し驚いたようだったが、この隙を見逃すほどほけってはいない。


「はああぁぁっ!」

 すぐさまオロチの懐まで疾走し、オロチの顎をしたから蹴り上げた。ミコトが蹴った地面が大きくへこんでいた。


『これで、終わりだぁぁぁ!!』


 天叢雲剣につかまって空を飛んだヤマトタケルが宙を蹴り、勢いのままにオロチの脳天めがけて大上段斬りを放つ。


 何の抵抗もなかったかのように、天叢雲剣はオロチの頭を切り裂き、ヤマトタケルは地面に降り立ったまま残心…。


 身体の半ばまで真っ二つに切り裂かれたオロチの体が、ズズンと音を立てて地面に崩れ落ちた。


 ボロボロとその肉体も崩れ始め、一瞬紫の煙を吐き出しながら青白い光になって霧散していく。


 最後に骨が残ったが、しばらくして、その骨も光になって消えていった。

エンカウント:Lv45 八岐大蛇(一頭弱体)

戦闘シーンは本当に難しいです(´・ω・`) 今週の土日は1話ずつ更新です。


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