第40話 魔人ヘルズバイカー
戦闘開始!
「さあ、骸骨ライダーを迎え撃つ準備は一応できたし、サクヤ様の元に戻ろうか。」
俺たちは道なき林を戻って車で製紙工場近くの浅間神社まで戻る。
ちなみにコッチーの尻尾の先の炎はつけたり消したりできるようだ。普段は消しておくことにしたみたい。
触ってみたけど、本物の火ではないようで熱くはなかった。むしろ尻尾を触ったことでコッチーに怒られてしまった。久しぶりのシャーシャーモードだったのでびっくりしたよ。
尻尾に灯る炎自体は熱くないけど、そこから火弾を飛ばすことが出来るようで、コッチーにも戦いの幅が確実に広がっていると感じた。
神社に戻りサクヤ様や藤野社長たちにイワナガヒメ様のことや色々とパワーアップしたことを伝え、もらった力を試してみて、戦いに備えることにした。
神社の近くには中学校があり、そこのグラウンドで俺は岩の術、ミコトは手甲の使い心地、コッチーは新しい肉体での体の使い方など、レベッカは送還の術と、それぞれ確認を行う。
岩の術は駐屯地でクトゥルヒのヴォーンが使っていたものに似た、地面から円錐上の岩を突き出すもの。
俺は大地の力を感じることに慣れていないからか、手を地面についていないと上手く発動しない。
レベッカによると、慣れれば地面に着いた足からプラーナを操って岩を出すこともできるらしいが、手に比べて足は感覚が弱めなので、焦らず練習しなさいとアドバイスをもらった。
福島さんからはアスファルトの上でも岩を出せるのかと聞かれたので、道路に出て試してみる。
岩を出すこと自体はできたが、元に戻そうとすると、岩とアスファルトが混ざったような状態で道になってしまった。
今後、平和になって道路工事をするときに崩すのが大変だったら申し訳ないなと思ってしまった。
「ホオリくーん!見てみてーー!」
ミコトがグラウンドで叫んでいる。何か面白いことが出来るようになったのかな?
「イワナガヒメ様に強くしてもらった手甲が凄いんだよ!こうやってプラーナを込めると、ほら!」
ミコトの手甲からはスパイクのようなものが突き出ていた。
「これってすごく攻撃力が上がってそうじゃない?」
「た、確かに…凶器って感じだね…」
「もうっ、ホオリくんったらそんな言い方しないの!めっ!だよ!」
「あはは、ごめんごめん。ミコトのパンチも最近は鋭さが増しているからさ。その上スパイクもついていたら、殴られたら大変なことになるなーって。」
鍛えてますから!と力こぶを見せてくるミコトをやり過ごし、コッチーの様子もうかがってみる。
確かに、今まで以上に体を覆うプラーナが力強い。動きも確実に速くなってる。
コッチーを眺めていると、ジャンプからのネコフックをし始めた。
「ちょ、ちょちょっと!コッチー、今の何?雷の爪痕みたいなものが出てるんだけど!」
にゃあ?と首絵をかしげながらこちらを見てくるコッチー。にゃっにゃっ!と腕を振るうと雷を帯びた爪痕がザッザッと発生していた。
「接近戦もできるようになったってことか…。進化ってすごいね。」
俺は軽ーく引きながら味方のパワーアップを喜んだ。
「さて、確認はこれくらいにして神社に戻ろう。骸骨ライダーがいつ戻ってくるか分からないしね。」
新しい力の確認ができた俺たちはサクヤ様や藤野社長が待つ神社に戻る。
サクヤ様にいつ頃襲ってくるか尋ねてみたところ、明日の朝には回復して戻ってくるだろうとのこと。
今日のところはご飯を食べて休ませてもらおうかということになり、すぐ近くにあるビジネスホテルを使わせてもらうことに。
この辺りは富士山と言うエネルギーの塊とイワナガヒメ様・サクヤ様と言う二柱の神のおかげで市街地はほぼ安全域になっているそうで、避難民たちは神社付近の住宅街の空き家などを利用して生活を始めていると言っていた。
骸骨ライダーに絡まれるとまずいので、倒せるまでは外出を控えるよう、藤野製紙の社員さんたちが分担して伝えてくれたらしい。
明日、奴を倒せれば金南寺や食料工場との道をつないでもらうこともできそうだし、少し広めの避難地域も構築できそう。
何としてでも、明日は奴を倒そう。
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翌朝、藤野社長達には避難してもらい、神社には俺たちとサクヤ様だけ。福島さんにも避難してもらおうかと思ったけど、万一の時に車で逃げてもらうことにして、可能な限り俺たちをサポートしてもらうことにした。
「来たわね!」
探査宝珠を使い、骸骨ライダーの接近を確認したレベッカが教えてくれる。
「よし、予定通り神社の外で迎え撃とう。俺が岩の術でバイクと骸骨を引き離すから、骸骨だけになったらミコトが前衛でお願い。」
「多分だけど、製紙工場で見た炎を見る限り、火は効かないわ。属性に気を付けて攻撃するのよ。私の衝撃波もコッチーのイカヅチも効かない可能性があるってことを忘れないで。」
さて、どうなるか。やれるだけやるしかないな!
骸骨はまだかなり離れているはずだが、バイクの爆音はここまで響いている。この直線道路で加速して突っ込んでくるはずだ。
そこに岩でつくった馬防柵を当ててやれば、バイクを壊せると思う。さあ来い!
想像以上のスピードで骸骨が突っ込んでくる。俺は道路に手を当てて馬防柵を作る。
『小賢しいぜぇぇ!ヘェェルズ!チャーーーージ!!!』
バイクの音に負けない大声が聞こえる。そして俺が作った馬防柵がガンガン壊されていく。
「マジかよ!タイヤに刺さると思ったのに!」
「ホオリ!密度と硬度を上げて、作り続けなさい!このまま突破されたら終わりよ!」
「コッチーちゃん、わたしたちも攻撃しよう!」
俺は大地を巡るプラーナの流れに集中して、より鋭く、より硬く、よりたくさんの馬防柵を作ることに専念。
「チッ!私の衝撃波は無効化されているわ!ひとまずホオリのプラーナ制御をサポートする!」
レベッカの衝撃波は効かないか。コッチーのイカヅチやミコトのバレットは無効化されていない。
レベッカのサポートでプラーナ制御が楽になった俺は、より強い岩を生み出すため集中。
「ここで止まれぇぇぇ!!」
ガガガガガ!と岩が砕ける音が響く。だが骸骨が先に根負けしたのか、岩を砕けなくなりバイクが激しく転倒。骸骨も転がっていく。
「わたしに任せて!」
ミコトが骸骨に走っていく。俺とレベッカはバイクをもう一度使えないように破壊だ。
俺が下から岩の杭でバイクを攻撃すると同時に、レベッカが空中から衝撃波でバイクが飛んでいかないように押し付ける。
岩の杭と空気の天井に押しつぶされ、バイクがバキバキと壊れていく。これでバイク突撃はできないぞ!
コッチーとミコトの連携攻撃を捌き、躱し、反対に攻撃を加えながら、骸骨はバイクが壊れていく様を見ていた。
『ああああああい ぼおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』
骸骨を中心に強力な衝撃波が発せられ、コッチーとミコトが吹き飛ばされる。少し離れていた俺とレベッカも地面に伏せて必死に耐える。
何だあの攻撃は!
エンカウント:Lv36+?? 魔人 ヘルズバイカー
気合でパワーアップする系(0m0)
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