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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第37話 浅間神社

時間的にはExtra Story2の少し後になります

 バイク乗りの骸骨に追い抜かれてから、俺たちは焦る気持ちがぬぐえなかったが、それでも福島さんはあくまで安全運転で東名高速を進んだ。


 目的の富士ICに到着し、奈良さんに聞いている製紙工場に向かう。


 高速の出口で東側に向かう道を進んだのだが、レベッカが別の方向を気にしていた。とは言え、特にルートについて何も言わなかったので、そのまま進む。


 東名高速を降りて数分、アクマがいないなぁなどと思いながら窓から景色を見ていると、福島さんがもうすぐで製紙工場が見えてくると教えてくれた。


 住宅街の真ん中にぽかっと大きな空間、そこには学校くらいの敷地がある工場らしきものが見えてくる。


「あれ?なんだか煙が…火の手が上がっている?のかな?」


 ミコトが何かに気付いたようにつぶやく。


 頭をよぎるのは、バイクに乗った骸骨。まさかアイツが工場を襲撃したなんてことが?


 福島さんは少し焦りながら工場の入口に向かう。


 ミコトが気付いたとおり、工場の入口付近で火災が発生していた。


「この炎は…」


 レベッカが何かに気付いたようにつぶやく。


「ホオリ、プラーナで水を作りなさい。私が風でその水を雨のように降らせてこの炎を消すわ!」


「お、おう!分かった。俺は水は作れても真っすぐしか飛ばせないから頼んだ!」


 水は普段使わないから、火弾のようにすぐ作れはしないけど、早く炎を消して無事を確認したい思いで、必死にプラーナを水に変換する。


 レベッカは普段の偉そうな態度はなりを潜め、踊るように風を操り、水を炎に振りかけていく。


 コッチーたちが固唾をのんで見守る中、30分ほどかかって何とか入口の炎を消すことが出来た。


「レベッカさんもホオリくんも凄い!プラーナってこんなことまで出来るんだね!」


 ミコトが感激したように俺たちに賞賛を送ってくれる。


「あー、そういえば言ってなかったけど、私のことはレベッカでいいわ。私もミコトのことは気に入ってるしね。」


 なぜかツンデレ風に若干照れながらレベッカが言う。


「わー!やったぁ!うん、ありがとう、レベッカ!」


 ミコトがレベッカを両手で包み込んでほおずりする。


「キマシタワー!」ぼそっと福島さんがつぶやいた。


 さて、入口の炎も消えたことだし、工場に人が残っていないか、建物に被害はないかなどを調べることに。


 幸い、炎自体は入口だけで燃え盛っていたようで、工場自体に延焼は無し。


 建物も入口のプレハブ小屋こそ倒壊しているが、他に崩れているところもなかった。


「あの炎はプラーナの力で発生したものね。だから燃えるものがないのに燃え続けていたんだわ。粗削りな感じがしたから、狙ってやったものじゃないかもしれないけどね。」


「プラーナでそんなことが出来るんだ。ってことは、俺が使っている火弾やフレイムバレットも着弾した先で燃やし続けるなんてこともできるってこと?」


「そうね、できるはずだけど、そのイメージと燃やし続ける燃料を作り出す必要があるわね。」


「ナパーム弾のような理屈になるのか?いや、だとするとさっきの炎が水で消えたのはおかしいし…」


 福島さんは相変わらずブツブツ言っているな。でも凄いアイデアが飛び出ることもあるし、便利な道具を作ってくれることもあるから、ちょっと変なところは気にしないでおこう。


 そんなことを話しながら、工場を調べていく。


 人は誰もいなかったが、つい1時間くらい前まで人々が活動していたと思われる痕跡が多数。


 飲みかけのコーヒー、ハンガーにかけられたコートなどの衣服、テーブルの上に広げられた地図や書類。


 世界崩壊時から放置されたものではなく、ほんの少し前まで人々がここにいたことを感じさせるものばかりだった。


「この感じだと、入口に炎を残したアクマに襲撃を受けてどこかに避難しているのかな?」


「多分そうね。ここから西側に神のような妙な気配を感じていたから、そっちに行ってみた方が良いかもしれないわ。」


「高速を降りたときに南側を気にしてたのって、それ?」


「なに、アンタ気付いてたの。ひとの顔じろじろ見てて気持ち悪いわね。」


 ぐっ、その気持ち悪いって言うの、地味に傷つくんだぞ…。


 俺がしょんぼりしていると、コッチーが俺の体に登ってきて腕におさまった。はぁあったかい…。


「ちょっと、レベッカ…、男の子って意外に繊細なんだよ。あんまりいじめるとホオリくんがしょげちゃうって…」


 あーうん、そういわれる方が余計傷ついたり…陽キャって親切な行動が人を傷つけたりするよね。


 福島さんが、肩をポンと叩き、「わかる、わかるぞ。陰キャにはつらい環境だな。」なんて一人頷いている。


 いや、俺って別に陰キャじゃないつもりなんだけど…。まぁ女性慣れはしていないけどさ。


「じゃ、じゃあ、西側に向かってみよう。レベッカ、妙な気配って嫌な感じではないの?」


 俺が気にしない風を装って次の行動の提案をする。


「そうね、嫌な感じじゃないわ。だからアクマじゃないはずだけど、なんて言うのかしら。弱っているというか、揺らいでいるって感じね。だから急いだほうが良いかもしれないわ。」


「神様にも何かあったのかもしれないね!福島さん、また運転お願いします!」


「まかセロリ!ぐふっ」


 ミコトの掛け声に、福島さんの妙な返事。よし、いつも通りだな。さあ行こう。


 俺たちは車に乗り込み、西に向かう。


 商店街やスーパー、ホームセンターなどの商業施設が集まった場所を通り抜けると右手に鳥居が見えてくる。


「そう言えば、宮城氏によると富士山の近くの県には浅間神社が多いらしいぞ。山のふもとにあるからあれもそうかもしれないな。」


 福島さんのプチ情報。


「と言うことは、コノハナサクヤビメっていう神様が祀られているかもしれないってことですよね。」


「うん、良い感じじゃだね!もしそうならホオリくんはお父さんの神さまと知り合いだし、上手くいきそう!」


「ミコト、あんたちょっと楽観的過ぎじゃない。神があそこにいるならこの辺の空気はもっと安定しているはずよ。どう考えても力が弱っているとし思えないような雰囲気じゃない。」


「レベッカの言う通りだね。他の神様がいたところと比べて空気が違う気がする。」


 福島さんが神社前の駐車場に車を止めてくれる。


 俺たちは車を降り、慎重に神社の鳥居をくぐって本殿の方に進むと、人の気配がすることに気付いた。


「すみませーん!誰がいますかーー!」


 俺は本殿に向けて声を張り上げる。


「わっ、びっくりしたぁ。急に大きな声出すんだもん、ホオリくんってば…」


「あ、ごめん、避難している人たちって不安な気持ちでいっぱいだから、遠くから声をかけた方が良いと思って。いつもやっているからつい…」


「さすが英雄ホーリーだな、グフフ、手慣れている。」


「ちょっと、それやめてください。本気で!恥ずかしいんですよ。」


「さすが英雄ホーリーくん!カッコいい!」


「え、そうかな、はは、ありがと…」


「解せぬ…」


 いや、おっさんと美人の女子高生とだったら態度が違うのは男なら当たり前でしょ。

 自分でも現金だと思うけどさ。

エンカウント:なし

ファンタジー世界の魔法に現実の理屈を持ち込んではいけないと思う

ご都合主義\(^o^)/


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