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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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Extra Story2 ヘルズチャージ

別視点回

~~Side H


『ヒャッハー!』


 俺は最高の気分でバイクを走らせる。世界崩壊とやらの影響で、道路を走る車も単車もいない。


 俺だけのロードがどこまでも続いている。


『最っ高の気分だぜぇぇぇぇ!』


 どれだけスピードを出しても取り締まるサツはいねぇ。うるさく言う親もいねぇ。


 ビビり散らかして興を削いでくるダチもいねぇ…。誰もいなくなっちまった…。


 走っていれば余計なことを考えずにすむ。俺は風と一体になって走り続けるんだ。


 気が付いたら、俺は飯も食わず、水も飲まず、クソもせず、寝ることもなくなっていた。


 何かがあった気がする。だが全く思い出せない。思い出す必要もない。俺は走り続けるのみ。


 沢山走った。俺のバイクはガソリンもいらない。ひたすらに走り続けることが出来る。


 最高の相棒だ。コイツさえいれば他には何もいらない。


 いけすかねぇ野郎にであった。そいつは人間とは全く違っていた。


 いや、頭もあるし腕もある足もある。形は人の姿だ。いや、頭はタコだから人とは言えねぇな。タコ野郎だ。


 そいつは、とんでもねぇ野郎だった。そいつに睨まれたら俺の相棒はエンジンを止め動きやしねぇ。


 俺も蛇に睨まられたカエルのように流れもしねぇ汗をかくばかりだった。


 そいつは言いやがった。霊山に住む桜の神を始末しろと。そこに集まる人々を蹴散らせと。


 難しいことを言いやがる。霊山ってなんだって聞き返してやった。


 ギロリと音がするような目つきで睨まれた。死んだなと思ったぜ。


 だがそいつはこの島国の言葉で富士山だと言った。桜の神はいけばわかるとか言いやがった。


 お前には神を不快に感じる力があるから、近づけはどこにいるのか、どんな奴なのかわかるってよ。


 あぁそうかい。お前は俺に、この俺様に一方的に命令するってのかい。


 だが逆らえば俺は消え失せるだろう。もう何もかもないはずなのに、それでも俺は自分が消えるのが恐ろしくて仕方がなかった。


 まぁいい、ただひたすらに首都高を走り続けるもの飽きたところだ。富士山だろうがどこだろうが行ってやるぜ。なぁ相棒。


 ひたすら西に向かって走る。途中の東名高速で車が走っているのが見えた。


 あぁ?車を走らせることが出来るような奴がまだいるのか?


 だが、チンタラ走ってやがる。俺は一気に車を抜き去ってやった。


『さあぁくらの木のお姫様をぶっったおしてやらぁぁぁ!ヒャーッハッハッハー!』


 富士IC(インターチェンジ)が見えてくる。あぁここだ。ここに神様とやらがいやがる。俺にはわかる。


 あのタコ人間が言っていたのはこういうことか。わかったぜぇ、やってやろうじゃねぇか!


 東名高速を降りて南下、あぁありがやるな、あの神社だ。あそこが一番気配が強い。


 だがなんだ、力が入らなくなる。相棒もエンジンの回りが悪くなっている。


 これが神の力ってやつか?これじゃぁかっ飛ばせねぇ。これじゃあ駄目だ。そんな気持ちでイライラしていると、神社から東の方に人間の気配を感じる。


 あっちに集まってやがるのか。人間も蹴散らして来いって話だ。先にあっちからやってやるよ。


 俺はアクセルを回し、相棒に気合を入れる。神様とやらは後回しだ。


 俺たちのスピードで人間たちをぶっ飛ばしてやろうぜ!


 どうやら人間は製紙工場に集まっているようだ。工場の入口にはバリケードが作られている。


 人間がいなくなって、変な奴らがうろついているから、そいつらから工場を守っているのか。


 だが、俺様にはそんなものは関係ねぇ。そんなものはぶっ飛ばしてやる!


 俺はアクセルと力いっぱい握り、バリケードに向かって突撃していった。


 体が熱い、俺と相棒は炎に包まれているようだ。このまま突っ込めば全部吹き飛ばせる。そんな全能感を感じた。


『ヒャッハーーーー!ヘェェルズ!チャーーーージ!!!』


 バリケードは何の抵抗もなく吹き飛んでいった。そのままの勢いで、近くの小屋に突っ込んだ。


 小屋も積み木を崩すように破れ、折れ、崩れていった。


 それを見ていた人間たちが、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。


 手には鉄パイプなんかを持っている男共もいたから、戦える奴もいたんだろう。だが俺様に恐れをなして戦う気力も失ったらしい。


 さてあいつらはどうするか。タコ人間は蹴散らして来いとだけ言っていた。遅い奴らを後ろから轢いて殺して…なんてかっこ悪いな。ならもう良いだろう。


 雑魚を狩ったって何も面白くねぇ。そんなのはクソ下らねぇ族どものやり方だ。


 そうだ。俺がやるのは神だ。あの、気分が悪くなる場所にいて、俺の力をなくしてくる、あのいけすかねぇ奴だ。


 俺はUターンし神社に戻る。


 やっぱり気分が悪いし、相棒のエンジンも回転数が落ちる。


『おう相棒!それでいいのかよ!ナメられたままでいいのかよ!あの工場を吹っ飛ばしてやったように、ここにいる神とやらも吹っ飛ばしてやろうぜ!』


 俺の気合に相棒も応えようとしてくれる。ああ、そうだ、俺たちは二つで一つだ。やってやろうぜ。


 エンジンをガンガン回す。気分は最高潮だ。俺たちは神社に向かって突撃した。


『ヒャッハーーーー!ヘェェルズ!チャーーーージ!!!』


 バジィッと鈍く大きな音が鳴り、ギギギギィィ!と音が鳴り続ける。


 うがががぁぁ!俺は!俺たちは負けねぇ!


 バリイィィン!と激しい音とともに神社を守っていた結界が割れていった。


 へっやってやったぜ。俺たちは神にだって届くんだ…


 桜の木の姫さんとやらを拝みに行こうと、体を起こそうとするが、全然体が言うことをきかねぇ。


 相棒もいたるところに傷やヒビが入っている。


 あぁ俺様の腕もボロボロになってやがる。このままだとヤバイってことが本能的にわかった。


 俺はこれ以上進むのを諦め、相棒を押しながら神社を後にした。

エンカウント:Lv?? 幻亰 纜媒九尅洱(文字化けして読めない)

次回から主人公視点に戻ります。別視点はこれからもちょいちょい挟みます。


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