第36話 地獄の走り屋
移動回
宝珠をもらった後、工場に戻り秋田さんと合流。
レベッカ+宝珠の組み合わせで、アクマ探知が可能になったため、富士市には車で向かいたいことを秋田さんに相談。
秋田さん自身は輸送部隊の指揮をとることになっているので同行は難しいと言う。
奈良さんにDMを送り相談。すると、第2陣の輸送部隊に福島さんを乗せてきてくれるので、彼を同行させようと回答があった。
何やら福島さんはプラーナを使った道具や機器を作るようになったらしい。
Xitter上では世界各地の生存者たちがプラーナの利用方法を模索しているらしく、様々な実験を行っているらしい。
自称技術者たちはXitter上のコミュニティで情報網を形成し連携することで技術の向上が想像以上に早く進んでいるようだ。
福島さんの到着は明日になるので、今日のところは工場に泊めてもらい、明日、出発することになった。
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翌日、福島さんが到着。
「高屋君久しぶり。いや、英雄ホーリーと呼んだ方が良いかな?」
福島さんはニヤリと笑いながら妙なことを言ってくる。
「何ですか、英雄ホーリーって。聖属性の魔法か何かですか?」
「おや、知らないのかい?君は今やXitterでは英雄ホーリーとして大人気なんだよ。」
「は?俺ですか?まさかホオリだからホーリー…?」
「ブフッ、あーはっはっはっ!イヒヒッ…ええ、アンタそんな風に呼ばれてるの?英雄?ぷぷぅ」
クソッ絶対からかってくると思ったよ。俺が自分で名乗ったわけじゃないぞ!
「あはは、言って無かったよね。ホオリくんって猫と妖精を連れて、たった一人で避難所を救ってるって宮城さんが触れ回ったこともあって、Xitter上だと英雄扱いなの。
わたしもそれもあって、最初は突っかかっちゃった。」
てへっと可愛らしく笑うミコト。なんだよ早く教えてくれよ。
「って言うか、宮城さんがそんなこと触れ回ってるんですか?アクマのデータを融通してるのにひどい仕打ちだなぁ。」
「宮城氏はむしろデータのお礼にホーリーの名を広めてると言っているぞ。まぁ有名になれば女の子にモテるかもしれないし、良いじゃないか。チッ、リア充は爆発しろし。」
福島さんが変なこと言ってるな。もういいや、気にしない方が精神衛生上良さそうだ。
「福島さん、とりあえずその件はもう良いです。気にしないことにします。
それより、運転手を引き受けてくれてありがとうございます。今日から早速移動を開始して良いですか?」
「そのために来たからな。だが、そのアクマを探知できる道具をよく調べさせてくれ。誰にでも使えるような形で複製できれば君たち以外の行動範囲も劇的に広がるからな。」
「そういえば、プラーナを使ったものを作っているんでしたっけ?」
「ああ、今、世界の生き残りはアジアを中心にしか確認できていないが、それでも様々な国に生き残りがいて、Xitterでのコミュニケーションが活発になってきている。
ジェネレーティブAIが自動翻訳してくれるから、言語圏が違っても会話が簡単だしな。」
「へぇそんなことが。最近はXitterを見る習慣もめっきりなくなってまして。」
「皮肉な話だな。だが、この件は少し妙なことになっていてな。宮城氏とも意見が一致しているんだが、プラーナ利用技術は少し前に確立していたんじゃないかと言われている。
日本政府が秘密裏に研究を進めていたなんて陰謀論的な話まで出ているんだぞ。」
そんな想像もしていなかった話を福島さんに聞きながら、移動を開始することにする。
高尾山ICから高速道路に乗り東名高速を走り富士ICで降りれば、すぐ富士市の製紙工場に着くことが出来る。
だが、どの程度アクマを遭遇するのか、道路が壊れていたり、事故などで道がふさがっていないかによってどこまで行けるのか分からない。
高速道路にのってしばらくはアクマもおらず、車が横転して道をふさいでいることもなく、快適に進むことが出来た。
レベッカの探知では、市街地の方向や山がある方向には多少の反応があるが、道路上にはアクマはいないとのこと。人もいないので襲う対象もいないからアクマもいないのかもしれない。
神奈川と静岡の県境の山間部ではスダマが十数体群れて山から下りてきたので、車を止めて迎撃した。
スダマはトウガとの修練の際に夜の山で戦ったので、火が弱点であることもわかっていたし、あの頃より俺も強くなりミコトも加入した。
複数体同時に衝撃波を放ってきたときはダメージを覚悟したが、レベッカが相殺してくれて事なきを得た。
それ以外で、単体で路上にいるアクマは、コッチーが窓から頭を出してイカヅチを放ち倒してしまうので、車を止めて戦闘になることはなかった。
レベッカがコッチーに触れて、どのくらい先のどの位置にアクマがいるかを伝達することで、超長距離からの狙撃が可能になっていた。
コッチーとレベッカがどんどんチート化していく気がする。
それには福島さんも軽く引いていた。
「レベッカ殿とコッチー殿には逆らわないようにしよう。」とかつぶやいていたのを俺は聞いてしまったぞ。
途中の高速出口で車がたくさん停まったままになっていたところが一か所だけあり、念のため調べたが、車の中には誰もいなかった。
世界崩壊が起きたときは、人間には大きな揺れを感じたから、慌てて高速から降りようとした人たちで渋滞したのかもしれない。
それ以外は特に何事もなく順調に進んでいたが、御殿場のICを過ぎたあたりでレベッカが焦った声を出した。
「な、なにこれ!?後ろからすごいスピードで接近してくるアクマがいるわ!私の感じたことがないタイプよ!」
「そ、それはいつ追いつくでござる!?」
福島さんも焦りにつられて変な言葉遣いになる。
「きゃっ!もうくるっ!!」
全員が後ろを向いたところで、バイクに乗った骸骨が俺たちを猛スピードで追い抜いて行った。
何かを叫んでいたようだが、俺にはほとんど聞き取れなかった。
「ね、ねぇ、いまの骨の人、桜がなんとか、お姫さまが何とか叫んでなかった?」
ニャアニャアと同意するように鳴くコッチー
「とてつもなく嫌な予感がするわね。これは急いだほうが良いかもしれないわ。」
珍しくレベッカが神妙な声を出した。
エンカウント:Lv17 スダマ / Lv?? 幻亰 纜媒九尅洱(文字化けして読めない)
福島さんという便利キャラ
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