第35話 それは893だよ
クローン893というネタのためだけのキャラ登場
『客だってー!聞いてねえぞコラー!スッゾオラー!』
何だか妙な声が聞こえてくる。どうやらバサン様がやってきたようだ。
「えーっと、え?あの?バサン様はどちらに…?」
『ダッテメッコラー!ザッケンナコラー!スッゾオラー!俺がバサン様だーコラー!』
少しだけ大きい鶏がよく分からないことを叫びながら目の前で羽をバサバサしている。
案内してくれた男性をチラっと見るがにこやかに頷くだけ。
俺とミコトがどうしたものかと、迷っているとレベッカが対応を代わってくれた。
レベッカは胸を張ってバサンを見下したかと思うと、バサンに衝撃波を叩きつけ、バサンはぐえっとうめいて潰れた。
『ザッケンナコラー!ドグサレッガー!』
レベッカは再度無言で衝撃波を叩きつける。バサンが顔を上げる、叩き潰す、の繰り返しを幾度か。
さすがにバサンも心が折れたのか、羽を縮こませてシュンとしている。
「あんたね、マハースターマプラープタの眷属とか言ってもアンタ自身は仏でも何でもないでしょ。あまり調子に乗って威嚇してくるとマハースターマプラープタにチクるわよ。」
『スミマセン…』
「まぁまぁそれくらいに。バサンはこの通りお調子者ですが、勢至菩薩様の力を上手く使ってここを守ってくれていますし、鶏たちがたくさん卵を産んでくれるように働きかけてくれてもいるんです。」
「あ、はい、いや、こちらこそ仲間が失礼なことを。すみません。
バサンもごめんな。ちょっと驚いてしまってさ。」
『分かればいいんだコラー…』
最初の勢いはどこへやら、言葉遣いは戻ってきているがしょんぼりしている感じはぬぐえなかった。
「卵もお肉も筋肉にはとっても必要なものだから守ってくれていてありがとう!わたしからもお礼を言わせて!」
ミコトが元気にお礼を言うと、バサンもまんざらではなくなったのか、バサバサと羽を広げ、口から火を噴きながら喜ぶ。
「あー、あいつって幻の炎を吐くやつだったわね。昔はもっとザコだったけど、仏の眷属になって調子に乗ったのねー。」
なんてレベッカがぼやいていた。
バサンと案内してくれた男性によると、卵も鶏肉も現時点で道が繋がっている避難所の人たちに配っても十分に余裕があるだけの生産量があるので、タンパク源に困ることはなさそうだ。
バサンと別れた後、一通り生産地域を見学させてもらい、岡山博士のところに戻る。
奈良さんたちとの話し合いは終わったらしく、ここにある食料備蓄を計画的に輸送することになったとのこと。
反対に、モールにある衣服や消耗品などをこちらに運んでくるそうだ。
それぞれで必要な物資を分け合うことが出来そうで安心した。
とは言え、まだまだ課題は多いので、順番に解決していく必要がある。
トイレットペーパーなどの紙類は静岡、塩・醤油・味噌といった調味料は兵庫が生産地として多くを占めているので、次はそこと道をつないでいこうという話になったと言う。
塩は兵庫の赤穂市と大三島につなぎたいと言われ、そういえばオオヤマツミ様が大三島に来たら会いに来いって言っていたことを思い出した。
そのことを伝えると、岡山博士は大喜び。
大三島までは距離があるが、確実に神がいるとわかっていれば方々探さずに済むから大変ありがたい情報だと感謝された。
まずは、ここから南へ下っていき、東名高速沿いに進んで静岡の富士市に向かうことになる。
富士市にはたくさんの製紙工場がありティシューやトイレットペーパーなどの消耗品が多数生産されている。
どのくらいの人が生き延びているかは直接連絡を取れる人がおらず、詳細は不明らしいが、一つでも工場と人が残っていれば生産自体はできるのではないかと考えているそうだ。
富士市は富士山のふもとの町で、富士山は霊験あらたかな日本最大の山であり、最強クラスの神域でもある。
富士山の祭神はオオヤマツミ様の娘のコノハナサクヤビメらしく、オオヤマツミ様の存在が確認できていることから、コノハナサクヤビメもどこかに顕現している可能性が高い。
富士市にある神社もオオヤマツミ様やコノハナサクヤビメを祭神とするものがいくつもあるそうだ。
だが、徒歩だと丸1日はかかる距離であるため、どうにかして車での移動ができないかという話になっている。
そういえば、ヒュギエイア様のお守りの力でアクマ達が寄ってこなくなったことを考えると、神様の力で何とかならないだろうか?
俺たちは、秋田さんが来るまでに、勢至菩薩様に相談してみることにし、再度、金南寺に戻ることにした。
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金南寺に戻り勢至菩薩様に車で移動したいが何か方法がないか相談する。
岡山博士に聞いたのだが、勢至菩薩様は智慧の化身とも言われる仏様らしい。何かいい知恵を貸してくれるだろう。
『そうですか、アクマを寄せ付けないで移動できる方法を探していると。そうなるとやはり道をつなぐことが最善の方法となりますね。』
「そうですか…やはり今までのやり方を続けるしか…」
『ですが、移動中にふいに襲われたり、待ち伏せを防ぐ方法ならばやりようはあるでしょう。車で移動する場合、移動速度が速いのでアクマに襲われた時の危険が大きいということが問題なのでしょう?』
「あ、そっか。アクマを寄せ付けないことばかり考えていたけど、あらかじめアクマがどこにいるのか分かっていれば対処できるってお話ですね!」
なるほど、方法を一つに限定していたが、本質的にどうなっていればよいのかを考えれば方法は複数見いだせると。発想の転換は必要ってことか。
『事態を打開するためには発想の転換が必要。こういった考え方も私の教えにはあるのですよ。』
「さすが智慧の化身と呼ばれるほどですね…。俺たちの浅知恵なんかじゃ思いもつかなかった。」
『あなた方はまだ若い。これから多くを学び、考え、行動し知恵を付けていけば良いのですよ。私からこれを授けましょう。力の匠たるあなたなら使いこなせるでしょう。』
勢至菩薩様から鮮やかな青色の光がスマホに吸い込まれる。
ピコン!
【探査宝珠を手に入れました】と表示されている。
俺はスマホから宝珠を取り出し、レベッカに渡す。
「どう?使い方分かりそう?」
「はー、なるほどねぇ。これはさすがに私も感心するわ。智慧の名に違わぬ効果よ。感謝するわ。」
レベッカは宝珠に両手を当て、目をつぶり何かを感じたのか、そう答えた。
「アクマの場所が数キロ単位で把握できるから、移動中にアクマに遭遇しそうなら事前に準備ができるわ。これからは車で移動できるわよ。」
とは言っても俺たちは運転できないんだけどね。
エンカウント:Lv?? 波山
主人公を18歳未満にすると車が運転できないという難題にぶち当たっております。ご都合ワープポータル的なものが( ゜д゜)ホスィ
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