Extra Story1 筋肉は裏切らない
初の別視点回
時系列的にはオオヤマツミ戦の日と同じになります
~~Side M
ナイン&Jモールでの生活にも慣れ、東西南北それぞれで探索も進んできている。
西側は「高屋 穂織くん」という男子高校生が八王子の方まで進んで、2つの避難所を発見しているそうだ。
同じ高校生なのに凄い子もいるんだなと感心する。
世界崩壊の時は私と同じくナイン&Jモールに避難していたらしいんだけど、私はパパの看病などで忙しく、話したことはなかった。
猫を連れている男の子がいるな、くらいにしか思っていなかった。
パパは避難の時、餓鬼に襲われて私をかばって怪我をした。幸い酷い怪我ではなかったから今はもう治っている。
でも、ママには多分もう会えなくて、そのことで心が折れてしまっているんだと思う。
モールのGMで避難所のリーダーの奈良さんが人間の生活圏を取り戻そうと、衣食住を整備したり、モール周辺のアクマを減らしたり、いろいろと活動してくれていて、避難している人たちはそれぞれ協力しているけど、パパはそこまで積極的に活動していない。
最低限、協力してはいるけど、心ここにあらずって感じ。
私はパパがそんなだから、ママのことを悲しみ続けるより、未来に向かって進もうと思えている。
最近は、秋田さんが指揮する探索部隊に入って、他の避難所を探したり、アクマを退治して鍛えたりしてる。
そんな私たちの今の目標は、モールから八幡小学校までの間を安全に移動できるようにすること。
西に向かっている高屋くんが神様の力を借りて、高尾にある植物工場まで安全に移動できる道を作っているらしいから、それが完成したら食料問題もとりあえず何とかなるって奈良さんは言っていた。
でも、モールには神様がいないから八幡小学校まではアクマがいる中を移動しなくちゃいけない。
だから、どこかに降臨しているかもしれない神様に力を貸してもらえないか、私たち探索チームが探している。
今のところ私たちが行けるところで可能性があるのは東側。
北側は炎の巨人たちが遠目で見ても何体もいることが分かっていて、人間の力ではどうにもできないだろうと言われている。
宮城さんが言うには、ムスプルヘイムの巨人だとかなんだとか。
南側は西荻窪駅を過ぎて五日市街道までは進めたけれど、その先に進もうとすると、誰もが気分が悪くなって歩くこともできなくなった。
遠目で、なにか巨大な塔なのか樹木なのかが立っていて、そこから強い力が発せられているんじゃないかって予想している。
あれも人間が対処できるものとは思えない。
ということで、私たち秋田チームは東側に進んでいて、阿佐ヶ谷の方まで来ている。
この辺は神社が結構あるし、アマテラスっていう偉い神様を祀っている神宮もある。結構期待できるんじゃないかってことで、頑張っているところ。
私たち秋田チームはモールの探索者の中でも最強のチームだし、私もこの筋肉にかけて絶対成し遂げたいんだ。
「みんな、もうすぐ神宮に着きます。気を抜かないよう慎重に行きましょう。」
秋田さんがチームメンバーに声をかける。
ここまで来る途中に寄った学校には避難民はいなかった。神宮にだいぶ近いところまできたけど、ニャミニャミ様のところみたいな澄んだ空気も感じられない。
アクマが極端に少なくなっている感じもしないから、ここもハズレかもしれない。期待が大きかったから少し落胆が大きい気がする。
「玉乃井さん、まだ分かりませんよ。神様がいなくても土地を守る力が強ければ避難している人がいるかもしれないですから。」
秋田さんに心を見透かされたような言葉をかけられる。
あー、この人は本当に良く人のことを見ている。年だって40過ぎてオジサンって言っていい年齢なのに、若い人たちよりプラーナの使い方もうまいし、リーダーとして頼りにもなる。
かなわないなぁ。
「すみません、成果があまりないので少し気が弱っていました。筋トレと同じく継続が力になりますよね!」
「あ、あぁそうだね?筋肉と同じかもしれない…ね…。」
秋田さんにしては歯切れが悪いけど筋肉は全てに通じるし、パワーでもある。
そんなことを考えながら、神宮に足を踏み入れる。やはり清浄の気配はない。
ただ、本殿の方から奇妙な感覚と気配を感じた。
「秋田さん、本殿の方に何かいそうですね。」
「そうですね、邪悪な感じはしませんが、慎重に行きましょう。」
本殿の扉を開けたとき、中からプラーナの波が衝撃波のように襲ってきた。
とっさに左手のバックラーで受ける。
秋田さんも盾で防いでいたが、他のメンバー2名は本殿の外にはじき出されていた。
「土足で踏み入って申し訳ありません。私たちは人間ですが、あなた様はどなたでしょうか?」
え?敵じゃないの?秋田さんが丁寧に本殿の奥にいる何かに声をかけた。
『そなたらこそ何者じゃ。我の子らを害すものか?』
「私は秋田と申します。ここから西にあるショッピングモールから来ました。こちらに避難されている方がいないか、周辺を調べています。
もし、お子さんがいるのであれば、私たちに手助けできることがあるかもしれません。何かお困りでないしょうか?」
『そなたは…、そうか正しき人の子か。我はハリティー。我の子らを助けてやって欲しい。』
本殿にいたのは日本でいう鬼子母神様だった。
ハリティー様は毘沙門天様などの四天王と共に日本に進行してきたアクマと戦ったらしい。
だが、その悪魔の大将があまりに強く、四天王は敗退。四天王軍は散り散りに退却し、ハリティー様も戦いで怪我を癒すため、神域である神宮まで避難してきたらしい。
そこで、アクマに襲われていた人間の子供3人を保護しここで守っていたそうだ。
ただ、神宮に宿る神力が急速に失われていて、毎夜アクマ達が集まってくるらしい。
残る力で防いでいたが、限界が近づいているところに私たちがやってきた。間に合ってよかった。
ハリティー様に子供たちを保護することを約束し、奥の殿に隠れている子供たちを紹介してもらう。
子供たちはやってくるなりハリティー様と私たちの間に立ちはだかり、私たちを睨みつける。
「お母さんは俺たちが守る!大人なんかに負けないぞ!」
そう小さな体を震わせて叫んだ。
『お前たち…そうではないのだ…』
ハリティー様が声をかけようとするが、ここは私の出番ではないだろうか?
「少年たち!その心意気は立派よ!でも私たちは助けにきたの!この筋肉を見なさい!!」
私はビキニの大会に向けて鍛え、世界崩壊後はアクマと戦うためにさらに鍛えた筋肉を見せる。
特にこの美しい腹筋を見なさい!そして上腕二頭筋!大腿四頭筋!
「筋肉は正義よ!パワーよ!この美しさが悪なわけがない!!」
大会に向けて先生と一緒に考えていたポーズの数々を披露する。
子供たちは私の磨き上げられた筋肉に見とれているようだ。
「姉ちゃん、すっげーーー!マッチョだ、マッチョだ!!」
マッチョじゃないわ、マッスルよマッスル!マッチョだと男でしょ!
まぁ子供たちは私の筋肉に魅了されたみたいだし良いか。筋肉スゲーとペチペチ触ってくるが、今は安心させないとね。
「さぁお姉さんたちと一緒に行きましょう。食べ物もベッドもお風呂もあるわよ。」
私が子供たちにかまっている間、秋田さんが何やらハリティー様に相談していた。
「ハリティー様、私たちはプラーナを少しばかり貯蓄しています。その傷を癒すのに使えませんか?そして、その代わりに私たちの拠点を守る神になっていただけませんか?」
こうして私たちはナイン&Jモールに神様を招き入れ、八幡小学校へのルートを安全に移動できる道を作ることが出来たのだった。
エンカウント:Lv?? 鬼子母神ハリティー
投稿主は筋肉崇拝者です。パワー!やー
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エンカウント:Lv?? 鬼子母神ハリティー
投稿主は筋肉崇拝者です。パワー!ヤー!(なお本人はガリガリマン(´・ω・`)
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