第27話 操鬼闘法
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エクストラ エンカウント回
二日目の修練を始め、基礎トレーニングを終え昼食をとった後、トウガが夜の修練で使うための棍を作ってくれた。
金属バットで戦ってもいいのだが、やはり隙が大きい武器なので、多数と戦う際には攻撃を受ける可能性が高くなる。
小回りが利いて、攻防ともに使用できる棍で戦うことを勧められたのだ。
いわゆる棒術なんてものは当然やったことがなかったが、基本の型を何個か覚えられればまずは十分と言われた。
上からたたきつける動き、横に払う動き、正面を突く動き、午後からはこの3つをひたすら繰り返した。
プラーナを体と棍に纏い、基本の動きを繰り返す。棍の動きは必ず聞き手で棍の中央辺りをつかむ動作があるが、その際に棍を風車のように回転させて、次の動きにつなげるようにする。
トウガ曰く、常に連続した動きをするようにとのこと。
棍を止まるときはとどめを刺した際の残身だけにするよう言われた。
普通であったら半日だけ棍を振り回した程度では付け焼刃にしかならないと思うが、プラーナを常に纏っているためか、体の動きが何かの流れに乗っているような感覚がある。
これなら夜の実践でも体を動かせそうな気がした。
夕食と休憩をはさみ、昨日と同じようにアクマと実践を行う。
今日は遠距離攻撃は無しで近接戦闘だけを行う。コッチーも回避を重視し、攻撃できそうな時だけ近距離のイカヅチを使う。
必然的に被弾が増えるので、レベッカは回復に専念してもらう。昨日よりは忙しいだろう。
トウガはどうしても危険な時だけ手助けするが、基本的に俺とコッチーの動きを観察し、アドバイスしてくれる。
意識がプラーナの流れから逸れそうになった時に、もっと流れを感じろといったことを言われることがほとんどだった。
まぁ棍の使い方や足さばきを注意されてもすぐに達人のように動けるわけじゃないしね。
今日も昨日と同じくらいの時間を戦った。体を動かす分、息が切れるかと思ったが、同じくらい戦えたということはレベルアップしているのかな。
棍はバットと違い攻防で利用できるので、かなり戦いやすかった。長く持てば距離をとれるし短く持てばかなり接近して戦うこともできる。
バットって武器としてはイマイチだったんだなぁ。モールで福島さんはバールのような工具で戦っていたもんな。取り回しは良さそうだった。
昨日と同じように、トウガがアクマたちを追い払った後、お風呂に入って就寝となった。
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さて、朝起きてトウガの修練も予定では最終日。
朝食を食べながら、修練の進み具合を確認したが、予定通り進んでいるとのこと。
今日の夜に術を放ちながら近接戦闘を行ってもプラーナを維持できれば、ひとまず操鬼闘法の基礎は身についたと言っていいそうだ。
まずは、ランニングと筋トレを行った後、トウガと模擬戦をすることになった。基本的に俺は何でもあり。トウガは捌きを主とするが、隙があれば攻撃してくるとのこと。
最初は、バレットを使おうとすると簡単に接近され腕をとられて転がされること数回。術が棍の攻防の動きの中にとけこんでおらず、完全に隙になっているようだ。
午後の早い時間のうちに、常にバレットの選択肢は持っておきつつ、流れを切らさないようにして使うように気を付けて、何とか転がされないように立ち回ることが出来るようになっていった。
夕食前の最後の組手では、コッチーと連携してトウガと戦った。
コッチーとはもう長く一緒に戦っているから連携には自信がある。トウガを圧倒してやろう!
と、思っていた時期が俺にもありました。結果はあっさりと敗北。全然勝てる気がしない。
1対1で模擬戦をしている時はかなり手加減してくれていたらしい。
それにコッチーのイカヅチに対する対処や耐性が妙に高い気がする。不思議に思って聞いてみると。
「言っておらなんだか。ライキは雷を司る鬼、おぬしらの世界では雷神と呼ばれることもある武闘派の鬼なのだ。儂らは付き合いも長く、よく組手もしたものだ。」
雷神って…雷のプロフェッショナルじゃないか!?そりゃあイカヅチの対処も得意なわけだよ…。
そんなガッカリ事実も判明したが、数段格上と実践形式で訓練できるのはかなり意味があったと思う。
俺たちは確かな手応えを感じ、最後の夜の修練に臨むことになった。
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夜になり、準備を整えた俺たちはアクマ達との戦いに向かう。
3日目は遠近両方の攻撃を交えて戦いだ。集大成と言える修練になり、これを終えれば操鬼闘法の基礎を修めたと言える。
気合も十分にアクマ達と戦い始める。トウガとの模擬戦の方がよっぽどきついと感じる。
修練を始めたころに比べ、明らかに強くなっている実感がある。気持ちも高揚してきた。
そんな、絶好調モードで戦っている時、突然シナツヒコ様の社の方から巨大なプラーナの気配を感じた。
アクマ達もその気配を感じたのか、俺が目の前にいるにもかかわらず、大慌てて逃げていく。
コッチーやレベッカも一瞬固まって社の方を見ていた。
「まぁ修練の成果を見るにはいいのやも知れぬなぁ。」
トウガは諦めたような、少し楽しそうな、不思議な表情を浮かべている。
何が起きたのか分からず、戦闘態勢を崩さずに身構えていると、地面が揺れるような足音が聞こえてきた。
目の前に現れたそれは、4mほどの筋骨隆々の大男だった。
『やあやあ!面白いことをやっておるのぅ!!我もまぜてくれんかあ!!』
くっそ!声も大きい!まぜるって、戦おうってことか?
「オオヤマツミ様とお見受けする。何故、このような場所におわせられたか。」
『そなたは榊鬼だな。シナツヒコ殿から面白いことをやっていると聞いてな。我のつながりのある山で遊んでおるというので、おっとり刀でやってきたわい。さぁ儂と試合おうぞ!』
「ということらしいが、ホオリよどうする?」
「えぇ、いやコレ無理じゃないですか?体もプラーナもでかすぎません?」
ちょっと日和ったことを言うと、足元でコッチーが激しくネコパンチをしてくる。
「いたた!痛っ!情けないこと言うなって?ちょちょ、わかったって!
レベッカも手伝ってくれよ?」
「さすがにアレとやるのに見てるだけってわけにはいかないわね。私も今回は全力を出すわ。ホオリもビビってないで全力出しなさいよ!」
レベッカにも叱咤される。俺も男だ、やらないわけにはいかないな!
「わかりました!胸を借りさせていただきます!」
倒してしまってもいいのだろう?
エンカウント:Lv?? 山神 オオヤマツミ(分霊)
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