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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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最終話 プラーナの導く先へ

最終話です。ここまでお読みいただきありがとうございます。

「ついに明日でござるか。」


「はい、日本周辺でのテスト航海も完了し最終調整も終わりましたので、ついに、ですね。」


「まぁ台湾はディープワンの襲撃もなく、デミ=ニグラスの出現もなかったらしいでござるから、ロカ・プラーナからあふれたアクマの対処だけすんだだろうし、そこまでの危険はなさそうでござるな。」


「それでも人口2,200万人いたのが、5万人しかいませんから。どこの国も大きな被害がありましたよ。」


「さもありなん。」


「それはそうと、姉さんのことお願いします。」


「本当に連れて行かないのでござるか?」


「はい、姉さんは福島さんとの生活があるじゃないですか。俺としてはそっちを優先して欲しいですよ。」


「うーむ。」


「ってか福島さんが行けって言っても行かないでしょう?」


「ま、まぁそうでござるな。拙者に決定権は無いでござる。」


「それだけ福島さんのことを大切に思っているんですよ。」


「む、むぅ、すまないでござるな。世界を救おうという時に。」


「いやいや、福島さん達の研究のおかげでここまでこられたんじゃないですか。それに伝承によると邪神が封印されているのって南太平洋の真ん中くらいなんですよね?そこまで到達できる船なり航空機なりが必要になるんですから、まだまだ福島さん達の研究開発の重要性は高いままですよ。」


「そうでござるな。なんとかオーストラリアまで到達せねばでござる。」


 都庁での決戦から3年が経っていた。ヴォルディアを消滅させることに成功した俺達は、日本の復興に力を注いでいた。救出した天皇陛下や高宮総理、意識を取り戻した丸石都知事、柴田大阪府知事が中心になり日本全ての力を結集しての復興だった。リーダー会の面々も各地の代表として活躍する人もあれば、後任に仕事を譲って復興の現場に入っている方もいる。奈良さんは国営の復興組織の代表として高宮総理直下で働いている。日本を動かしている一人といっても過言ではないらしい。


 とにかく外国からの輸入に頼っていたものは全く手に入らなくなったわけなので、日本で自給できるものを最大活用するしかなった。高宮総理が10年かけて食料やエネルギーの自給率を高める国政運営をしてくれたおかげだと、日本人全員が感謝したものだ。


 60歳以上の大人たちは2024年から始まったとされる政治改革の潮流がなければ日本は世界崩壊の際に完全に滅んでいたかもしれないと話している。


 エネルギー自給と言えば、発電所の謎は都庁決戦の後、ほどなくして調査が完了し解明された。なんと、核融合発電炉だったものが、プラーナ発電炉に置き換わっていたのだ。発電所内部にはディープワンに操られていたと思われる人間が働いていた。いつ、どうやって発電炉を置き換えたのかは分かっていない。がどうやら世界崩壊前からプラーナを活用する技術がどこからか流れてきていて、人間の中に潜み活動していたクトゥルヒ達がそれを使って秘密裏に置き換えていたのではないかと推測されている。


 そして、他のインフラ、上下水道も同様にプラーナ活用技術に置き換わっていた。邪神の眷属は相当前から準備しており、プラーナがアッシャーに流れてきてもよいようにしていたのだろう。


 宮城さん達の推測によると、プラーナ活用技術の流入元はアクマデバイスを提供している【AIAN】という人物なのか組織なのではないかという。だが、どれだけ探しても全く痕跡すら見つけられず、日本なのか世界のどこかなのかも全てが不明とのこと。いつか分かる日がくるだろうか。


 そのプラーナ活用技術を調べ、プラーナを動力を動かすためのエネルギーにする技術をゴブニュ様率いる名古屋の技術集団が開発した。福島さんもメンバーの一員で、ゴブニュ様の片腕として今や日本で指折りの技術者となっている。


 世界中でまだまだ混乱が続いているが、日本としては友好国である台湾やベトナム、オーストラリアなどと国交を回復させようとしてきた。オーストラリアだけは全く連絡がつかず、Xitterへの情報発信もないため状況不明。アジアは比較的生存者が多いので、まずは台湾からということで、明日、ついに訪台するための船舶が東京湾から出航する。


 俺とミコト、レベッカとレンはそこに参加させてもらうことになっている。他にも外交官や護衛部隊、技術交流のために名古屋開発部のメンバーも一部参加する。


 福島さんは日本の技術の要なので簡単には国外に出ることはできない。姉さん、高屋絆は決戦の後、いくつかの修練の後、人間の姿に戻ることが出来るようになった。戦闘する場合はコッチーの姿になる必要があるが、いまや日本では人間の生存圏がほぼ確立できており、人口も大幅に減少したため、無理にアクマを掃討して土地を確保する必要がない。アクマ達も人間の領域には基本的に入ってこなくなっている。そのため、戦闘はほとんど発生せず、人間の姿でいることが多くなった。


 そして、1年前、福島さんのところに押しかけて、結婚することになったのだ。まぁ決戦後から頻繁に通っていたし、お互い思い合っていたようなので驚くことは無かった。


 義兄(にい)さんと呼ぶのはちょっとためらわれるので、未だに福島さん呼びだが。


 ということで、台湾へは姉さんはいかないのだ。多分、近いうちに子供も生まれそうな気がするし、もともと好戦的ではない性格なので、これを機に戦いからは遠ざかってもらいたいものだ。


 各地に顕現してくださった神様たちも人間の生存圏を守ってくれいているが、今までほど当たり前には人前に現れなくなった。オオヤマツミ様が言うには、すでに地球は人間の世界だから人間が自分たちで生きていけるなら神は手出し・口出しはしないそうだ。


 オオヤマツミ様だけは、未だに希望者が現れれば修行を付けたりしてくれているけどね。さすがにロカ・プラーナに連れていかれる人はまだいないらしい。


 カイトさんは九州全域をあらかた探索し終わり、生存者を全員発見した後、沖縄に向かった。かなり強力なアクマが残っており、生存者を本土に移動させるか、何とかして生存圏を確立するか協議中の中、現地の人たちを守っているらしい。日向の剣聖の名は南の剣聖として更に高く・広くとどろいている。リコちゃんは変わらずカイトさんの後を追いかけているらしい。カイトさんもいい加減リコちゃんのことを受け入れてあげればいいのに、どうしても中学生だったころの感覚が抜けないらしく、踏ん切りがついていないそうだ。


 ヤチホさんは都庁決戦の後、行方が分からない。日本国内にいるはずだが、どうやら連れていたマカミのオッキーと合体、というか吸収したようで人間ではなくなっているのではないかと言われている。そのため、もしかしたら海を渡って他国にいるのかもしれないという噂もある。出雲の守護者と呼ばれ、文武共に秀でた存在だったが、何かあったのか、誰にも何も話さぬまま消えてしまった。お父さんや許嫁だった女性などはとても落ち込んでいて、つらい思いをしたと思う。いつか見つかると良いのだが。


「あ、ホオリくん見つけたー!」


 ミコトが呼んでいる。レベッカとレンも一緒のようだ。今日は台湾へ向かうチームの壮行会がある。この3年で日本の産業はかなり復興した。職人たちが生き延びた産業も多かった。壮行会では日本酒も振る舞われるという。世界崩壊後、初めて正式に製造された日本酒らしく、大人たちはかなり楽しみにしている。俺達も成人したこともあり、少し緊張するが楽しみでもある。


 さぁ世界にはまだまだ俺達の力を必要としている人がいるに違いない。ヴォルディアのようなディープワンが支配する地域もあるはずだ。デミ=ニグラスがプラーナを邪神に送っているところもあると聞く。万一、邪神が復活するようなことがあれば、今度こそ地球は終わりを迎えるかもしれない。それを防ぐためにも世界が協力できる絆を作りたい。


 俺達はプラーナの導く、まだ見ぬ明日へ進んでいく。

本作はこれにて完結です。

2024年11月2日に投稿を開始し、一日一話必ず投稿することを決めて走り切ることが出来ました。

詳細は活動記録に書こうかと思いますが、本作はシリーズものとして構想している作品の一部分という位置づけで考えています。

もし、次作を投稿できるようであれば、ぜひ続けてお読みいただけると嬉しいです。


ここまで読んでいただいた皆様(多くがスコッパーの方だと思います)に深い感謝を申し上げます。ありがとうございました。


そして、最後にぜひともブックマーク・★評価・いいね・感想をお願いします!

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