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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第139話 深き亜神と斬り結ぶ

~~Side ムスペル


『見えたカ。全軍進めィ!邪神ノ手先を滅ぼすのダ!』


 埼玉側から都心に入ったムスペルの軍勢は、都庁攻略隊に襲い掛かっていたクトゥルヒらに攻撃を開始。完全に背後をついた形となり、敵の軍勢は次々に倒され数を減らしていく。たった50体しかいないムスペルだったが、一体一体の力はクトゥルヒよりも上であり、インボカやディープレギオンは紙切れのように打ち破られる。


 奥に見える人間の軍勢からもわぁっと歓声が上がった。


『コノまま一気に押し込ム。人間ノ軍勢を救うのダ!』


 攻撃隊隊長は炎の剣を天に掲げ大声を上げる。士気をさらに高めたムスペルの巨人たちは破竹の勢いをもって敵の集団を打ち破る。しかし、敵がざっと中央を開けたかと思うと巨大な体とプラーナを持つタコの怪物が現れ、巨人たちに襲い掛かる。その長いタコ足が振るわれると複数の巨人たちが薙ぎ払われる。巨人たちは懸命に剣をタコ足に打ち立てるが、炎の力で表面こそ焦がすことができるものの両断するには至らない。


『ガアァァァッ』


 巨人の一体がタコ足に絡みつかれ捕らわれる。じたばたと抜け出そうとするが、タコ足の力の強さには敵わない。誰もが彼の死を予感したが、後方から巨大な炎が打ち立てられ、タコの怪物、デミ=ダゴンに振り下ろされた。


 それを検知したデミ=ダゴンは慌てて捕まえていた巨人を放り投げ、炎を回避する。


『前を開けイ!コノ怪物は俺ガ撃ち滅ボス!!』


 全身とそして手に持つ剣から炎を噴き上げた隊長がデミ=ダゴンの前に出る。他の巨人たちは、デミ=ダゴンを隊長に任せ、クトゥルヒや他のアクマ達への攻撃を再開する。デミ=ダゴンは巨人たちを攻撃しようとするが、隊長は炎の剣を振り回しデミ=ダゴンを牽制。デミ=ダゴンも隊長の剣には警戒しており、思うように巨人たちを攻撃できずにいる。


『オ前の相手は俺ダト言ってイル。逃ガしはセンぞ!』


 隊長はデミ=ダゴンを逃がさぬようにサークル上の炎を出現させて逃げ場を封じる。炎の勢いは強く、無理に抜けようとするとデミ=ダゴンでもただでは済まないであろう火力があった。


 デミ=ダゴンは目の前の敵こそ優先で倒すべきものと認識したのか、その目を鋭く隊長を睨んだ。そして、体を持ち上げると腹の下にあった口から闇のブレスを吐き出し隊長を攻撃する。隊長は炎の剣を盾にしてブレスを防ぐが、その勢いは強く、剣で防ぎきれずにブレスを受けた体の一部が汚染されたように黒紫に変色する。変色した個所から鋭い痛みが感じられた。


『ぐぅぅぅ…ナントいう力…だが負ケン!』


 隊長は剣に纏わせている炎の威力を高めてブレスを吹き飛ばす。痛む体を無視し、ブレスを発した後の硬直で動きを止めたデミ=ダゴンへ剣を振り下ろす。かろうじて動き出したデミ=ダゴンは2本の足を交差させて防ぐ。隊長の剣は足を焦がしながら切り裂くことに成功。8本のうち2本を無力化することが出来た。


 痛みにのたうつデミ=ダゴンは残りの足を滅多に振り回し隊長を近づけさせないように暴れる。隊長もこれは敵わんと一度大きく距離を取った。


 炎の輪の中で一進一退の攻防が繰り広げられている。


◆━━━━━━━━━━━━━━━━━◆


~~Side 千家 八千穂


 黒い石を破壊し国会議事堂から外に出たヤチホたちは空が晴れていることに気が付いた。そして通信が可能になっていることに気付き、自分たちの行動が結界の破壊に繋がったのだろうと思い、別行動した意味があったと胸をなでおろす。


 だが、都庁を通り抜け、ホオリが守る入口に向かう途中で今まで感じたことがないほど大きなプラーナを感じる。ヤチホのチームメンバーはそのプラーナを感じ恐れ足がすくんでしまった。ヤチホは苦々しく思いながらも、ここに留まる方が危険であることをメンバーに説明し背中を押す。


 都庁入口に戻ると、人質を救助したカイト達が上階から降りてくるところだった。彼らも異変を感じて外の様子をうかがうようだ。レンが入口に向かい確認している。


「どげな状況です?」


 カイトに話しかける。


「おお、ヤチホ。上手くやったごたっじゃな。オレたちもたった今来たとこじゃ。いったいなんがあったっかいな。空から降ってきたデカい二つは敵のもんじゃろうが…」


 そう、問題はその後に膨れ上がったプラーナだ。あの感じは恐らくだが…。


 レンが外の様子を確認し、こちらに戻ってくる。


「ホ、ホオリ君が…ぼ、暴走しているようで…そのためか攻略隊も苦戦しているようです…。」


「突破は無理そうだが?」


「き、厳しいですね…。せ、せめて大隊が敵の猛攻を押し返せれば…」


 ヤチホは考えた。問題は人質だ。彼らを連れている限り、敵の包囲は突破できない。だが籠城なら?ヤチホとカイトのチームメンバーだけでも何とかなるかもしれない。このままだと攻略隊の本隊が持たないように見える。時間を稼げば本部からの増援が期待できる。今この時間を持たせることが重要に思えた。


「僕とカイト君、レベッカさん、レンさんの4人で本体に加勢しましょう。人質は僕とカイト君のチームに任せられるはず。このままだと本隊がすり潰される。」


「俺もヤチホに賛成じゃ。クトゥルヒとまともにやり合える奴だけで行く方が良い。」


 レンは自分もその中に入っているのかと目を見開いているが、自分の実力を正確に把握できていないのだろう。伊達にホオリ達と共に戦ってきてはいない。ヤチホやカイトほどではないにせよ、この日本で上位の実力者であることに違いはない。


「仕方ないわねぇ。ホオリがあの状態じゃニンゲン達がまずいし、ヤチホの案で行きましょう。ミコトとコッチーも早く来て欲しいわね、全く。」


 ヤチホたちはチームメンバーに本隊と合流できるまで籠城するように伝え、都庁から飛び出した。攻略隊本隊を攻撃しているクトゥルヒ達の横腹から攻撃を開始する。レベッカが風弾を使い、ヤチホとカイト、レンがクトゥルヒを1対1で戦えるように場を調整しながら敵を削っていく。すると、北側から強いプラーナを持つ集団が敵に攻撃を仕掛け、戦況が動いた。


 それを好機と見たヤチホたちが攻勢を強めようとした時、都庁の7階から窓を突き破って何か大きなものが飛び出してきた。とっさに上空を見上げる面々。そして、落ちてくる怪物を追ってミコトとコッチーも空に飛び出していた!


「アイキャンフラーーーイ!だとぅ!!」


 カイトが素っ頓狂な叫びをあげた。

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