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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第138話 無敵のヒュドラ

~~Side 玉乃井 美琴


 ミコトが気合をいれると、巨大なプラーナが発せられる。ミコトの頬に伸びる線が緑に発光し、その目は金色に輝いている。


『さあ、やろう!』


 ミコトは床を強く蹴り一気に距離を詰める。デミ=ヒュドラは複数方向から噛みつこうと頭をミコトに伸ばす。それをミコトはステップを踏みながら回避し、体の中心から伸びる一番大きな頭を殴り飛ばした。一瞬動きが止まったところをコッチーのイカヅチが襲い掛かる。


 ミコトはイカヅチが着弾する前に大きく飛びのいて距離を取った。ミコトはどの程度のダメージが入ったか、デミ=ヒュドラの様子を見るが、コッチーの放ったイカヅチはデミ=ヒュドラの体の表面ではじけダメージを与えられていないようだった。さらにはミコトが殴った頭も衝撃自体は通っているようだったが、損傷が全く見られない。


『コッチー、どういうことだろう。攻撃が効いていないみたい。』


 グニャッとコッチーも訝し気な声を上げる。


『もう少し攻撃してみようか。』


 ミコトはそう言うと、腕を薙ぎ払うように振り数十発のバレットを生み出す。それを体の周りに漂わせ維持。牽制に数発撃ちこみながら再度接近する。今度はコッチーの小型白熱火球が先に着弾。だがやはりデミ=ヒュドラの表面で弾かれているようだ。先ほどのミコトのバレットも同様に弾かれていたのだろう。何の痛痒も受けていないデミ=ヒュドラは3つの頭から炎を吐き出した。ミコトは足を止め、炎を拳の風圧で吹き飛ばす。


 炎が消え去った後ろからコッチーが雷身で一気に距離を詰め、雷爪でデミ=ヒュドラを斬り裂く。しかしこれも体皮の表面を滑るばかりだった。


『うーん、やっかいだね。体の表面はプラーナも打撃も受け付けないみたい。』


 ミコトもコッチーも共にデミ=ヒュドラの攻撃はかわすことが出来るし、口から吐き出される炎も捌くことが可能だ。しかし、こちらの攻撃も通らないとなると、ずっとここを離れられないことになる。恐らくボスがまだいるであろうことを考えるとあまり消耗するのも危険だと二人は考えていた。


『凍らせてみようか?』


 ニャッ!


 コッチーの声を聴いたミコトはプラーナを使って水を生み出し、デミ=ヒュドラの周囲を駆けながら水をかけていく。そしてコッチーは空気塊を膨張させ温度を下げるとともに、デミ=ヒュドラの周囲の風を竜巻のように回転させる。


『これでどうかな!』


 竜巻が消えると、そこには氷に閉じ込められたデミ=ヒュドラの姿が。


『蛇みたいだから寒さには弱いかな?』


 ピクリとも動かないデミ=ヒュドラを見て、ミコトは満足げな顔をのぞかせる。少し離れた階段へつ続く通路をレンを先頭にした人質と思われる人たちが駆けていくのを感じる。向こうも無事に救助できたのだろうと、ほっと息を吐くのだった。


『よし、わたし達もホオリくんと合流しよう。』


 ミコトがプラーナを落ち着かせ、踵を返し、階段に向かおうとした時、コッチーが何かを感知したのかキョロキョロと頭を振り、感じ取ろうとする姿が見えた。


「コッチー?どうしたの?」


 ミコトがコッチーに話しかけた時、上階に感じていた強大なプラーナが二つ、物凄い速さで落下していくのを感じる。大きな音と共に地上に着地したであろう強いプラーナ。その後には荒々しい、怒りに満ちた地上に落ちていったよりも更に強大なプラーナが外で爆発した。


 コッチー慌てて階段に向かおうとする。ミコトもそれに続こうと動き出した。


 だが、彼女たちの後ろでデミ=ヒュドラが氷から抜け出し二人に向かって首を伸ばした。


「!?コッチー避けて!!」


 ミコトは辛うじて床を転がりながら背後からの噛みつきを回避。コッチーもとっさに雷身で攻撃方向から逃げる。だが、とっさのことでもあり、階段から遠ざかる方向に移動してしまった。


「どうしても倒さないと駄目みたい…」


 ミコトは苦々しい顔をしながらも再度プラーナを解放する。コッチーも向こう側で戦闘態勢を取っている。


 外で感じた大きなプラーナが誰のものか二人には分かっていた。それだけに心配する気持ちが大きく、早く向かいたいと気持ちが逸る。だが、目の前の敵は攻撃が通じない強敵。集中しなければこちらが危ない。それにここで倒さないと、他の人には対処できないレベルの敵である。ミコトはふーっと息を大きく吐き、覚悟を決める。


 コッチーと目が合い、お互いの覚悟を確認し合う。攻撃が通用しないなら、やることは一つ。


 ミコトは両手にプラーナを溜め始める。そしておもむろにデミ=ヒュドラへと近づいていく。コッチーもまた、プラーナを集中している様子こそあれ、デミ=ヒュドラの周囲を回るように歩き始める。すでにそこはデミ=ヒュドラの攻撃の範囲内だ。その無防備な姿を見て、一瞬怪訝な様子をうかがわせたデミ=ヒュドラだったが、攻撃の好機を逃す必要もなく、ミコトとコッチーに噛みつこうと首を伸ばし、迫る。


 ミコトは自分に向かってきた3つの首のうちの一つを、飛び回し蹴りで弾く。その隙を狙って二つの首がミコトを挟むように襲う。ミコトは空中で恐れもせず、挟み込むように迫るデミ=ヒュドラの口にそれぞれの腕を差し込んだ。


 ミコトの体をかみ砕こうと閉じられる口。だが、口が閉じる前にその頭は内部から水のレーザーが飛び出し頭部を吹き飛ばす。ミコトはそれぞれの手から水穿破を放つことで、口内から後頭部にかけて突き破ったのだった。


 コッチーに迫った3つの頭。そのうちのまさにコッチーを飲み込まんと口を広げた頭に向かってコッチーは雷身で突撃する。いつもは横を通り過ぎる際に雷を帯びた爪で斬り裂くが、今回は体にらせん状のプラーナを纏わせて、口の中に飛び込んだ。その勢いのまま、デミ=ヒュドラの頭を内部からつきやぶり、爆散させる。更に空中で白熱火球を三つ生み出し、今突き破った頭に一つ。ミコトが吹き飛ばした頭二つにそれぞれ一つずつの火球を放つ。


 頭を吹き飛ばされたでデミ=ヒュドラの首が火球に焼かれ焦げる。デミ=ヒュドラは残った首を振り回し、叫び声を上げながら苦しむ。どうやら再生はできないようだ。


 痛みにのたうち回りながら、更に迫る二人におびえた様子で下がっていくデミ=ヒュドラ。そして、窓に向かって移動を始め、壁を突き破り外に飛び出した。


『逃げるつもり!?待てーー!!』


 デミ=ヒュドラを追いかけるミコトとコッチー。


『コッチー、私の背中に乗って!』


 ミコトはデミ=ヒュドラが突き破った壁から外に向かって躊躇なく飛び出した。

プラーナ開放中の神魔人はアドレナリンがドバドバ出ている可能性あり。


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