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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第137話 炎来る

~~Side 月見里ヤマナシ レン


「ミ、ミコトさん達大丈夫でしょうか?」


「大丈夫よ。と言うより信じるしかないわ。あのクラスがわんさか出てくるとは思えないから誰かが引き付けておかないと戦力で劣るこちらは各個撃破されるでしょう?」


「そ、それはそうなんですが…」


「あの姉ちゃんやったら、大丈夫だろうよ。くやしかど、オレより強かけん。」


 カイトはそれほど悔しそうでもなく、場を和ませるように言った。そうしているうちに人質がいるはずの会議室になだれ込む。そこには消えたはずの4柱の菩薩と、人質を守るように展開されている結界の中心で真言を唱える1柱の菩薩がいた。


『来てくださいましたか。ありがとう強き者たちよ。ここに居る人々を救ってください。』


「おう!任されたっど!」


 アルカイックスマイルを浮かべた菩薩たちは安心したように消えていき、人質を守っていた結界も消える。そして中心で真言を唱えていた金剛波(こんごうは)()(みつ)菩薩は消えると同時にそこには一人の男性が倒れていた。


「ヴァジュラパーラのやつ、人を依り代にしていたのね…だからディープワンを長時間防ぐほどの結界を…」


「み、皆さん!助けに来ました!ぼ、僕たちと一緒に脱出しましょう!」


 ヴァジュラパーラと一緒に真言を唱えていた人質たちも結界が消えると正気に戻ったようで、レンの言葉を聞き、喜び、泣き出す者もいた。


「レン!お前が先導しろ!オレが殿を受け持つけん!」


「わ、わかりました!皆さんこちらです!!」


 レンの先導で動き出す人質たち。ヴァジュラパーラの依り代となっていた男性はカイトのチームの男性が背負う。プラーナで強化された肉体であれば成人男性を背負っても身軽に動けるようだ。


 レンは破壊された会議室の壁から外の様子を伺い、敵がいないことを確認してから外に飛び出す。ミコトとコッチーはヒュドラを上手く引き付けているらしく、会談までのルートには誰もいない。レンは慎重ながらも迅速に会談に向かう。


 階段を下りている最中もクトゥルヒはおろかディープレギオンすらいない。都庁内の敵はホオリの方におびき寄せられているのかもしれない。1階に到着し、まもなく正面入り口という所で、激しい戦闘音が聞こえてくる。ホオリと都庁攻略部隊が戦闘を繰り広げているのだろう。


「こ、ここでいったん止まってください。そ、外の様子をうかがってきます。カイトさん、す、少しの間お願いします!」


「おう、任されたっど!」


 レンは慎重に正面入り口に向かう。そこで見た外の光景はレンの想像をはるかに超える状況だった。


◆━━━━━━━━━━━━━━━━━◆


~~Side 都庁攻略部隊


「す、すさまじい強さだ…これが英雄ホーリーの実力か…」


 ホオリ達に遅れて都庁に到着した攻略大隊はホオリの無双っぷりに驚きを隠せなかった。名古屋や大阪での戦いのことを知っている者も多いが、実際にその戦いを見たものは少ない。そのため、複数人で戦っても苦戦するクトゥルヒを一撃で葬り、バレットや地面から突き出す円錐状のトゲでその他のアクマをせん滅していく姿はまさに英雄そのものだった。


 厄介はクトゥルヒはホオリがほとんど引き受けてくれるため、インボカやディープレギオンを相手にすればいい大隊はかなり余裕をもって戦闘が出来ていた。皇居方面から来たと思われるクトゥルヒとアクマ達の集団こそあれ、都庁から出てきたり各方面から集まってくるアクマは大隊の戦力で十分に対応が出来ていた。


 しばらく戦うと空を覆っていた通信妨害の結界が消え、通信機から情報が入り始める。結界を破ったのは先行していたヤチホのようだ。人質救出に向かったホオリのチームメンバーや鹿児島のカイトも無事に人質と接触したらしい。皇居に向かった大隊が苦戦しているという情報には、自分たちのところから戦力を回そうか?くらいには余裕があったのだ。


 だが、皇居の最上階から降ってきた2体のアクマを見たとき、そんな余裕は吹き飛んだ。


「な、なんだアレは…」


「か、か、怪物…」


 クトゥルヒを同じような姿だが二回りは巨大なもの、そして巨大なタコ…。その二つが放つプラーナに隊員のほとんどが気押されていた。少し聞こえた声によるとディープワンという敵の親玉のようだ。そして、ホオリと何かを話したかと思うと、ホオリから怪物たち以上に大きなプラーナが発せられ、ホオリがタコを吹き飛ばした。そしてディープワンに対して猛攻を仕掛けるホオリ。その様子は先ほどまで無双していた頼れる英雄ではなく、赤い目を光らせたアクマのように見えた。


 唖然とホオリ達を見守る大隊に対し、再度攻撃を仕掛けてくるアクマ達。特にホオリが対処してくれていたクトゥルヒが全てこちらに攻撃してくるようになり、一気に押され始める。負傷するものも多く、後衛の回復も追いつかなくなってくる。


「隊列を組みなおせ!前衛は防御中心に立ち回るんだ!中衛は射撃をクトゥルヒに集中!一体ずつ確実に仕留めろ!後衛は前衛の回復を怠るな!!」


 大隊長は大声を張り上げ何とか士気を崩さぬよう指示を送る。だが、敵の方が数が多く、そして個体としても強力なクトゥルヒがいる以上、このままでは押し切られることが明白だった。


「本部!敵のボスが出現!大ダコの怪物も現れた!増援を求む!!」


 本部に増援要請を行うも、間に合うとは思えなかった。ここが死地かと覚悟を決めたとき、北の方からクトゥルヒ以上のプラーナを持つ集団が敵に攻撃をし始めた。


「な、何が起こった!」


「え、援軍です!埼玉方面からのムスペルの軍が援軍として到着したようです!」


「お…おお…、本当に来てくれたのか…これも英雄が紡いだ絆が…」


 一体一体がクトゥルヒ以上の強さを持つ巨人が50体も現れたことで戦況が覆る。そして奇しくも挟み撃ちの状態になったため、敵は確実にすりつぶされていく。都庁攻略隊がわぁっ!と盛り上がったところで、大ダコの化け物が炎の巨人たちに向かって突っ込んでいった。数体の巨人が吹き飛ばされて宙を舞う。何とか押さえようと巨人たちが奮戦する様子が見える中、天にも届かんばかりの炎の柱が立ち上り、そのまま大ダコに向かって振り下ろされた。

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