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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第131話 結界を超えて

 武蔵野のナイン&Jモールから東、丸ノ内線中野坂上駅がある地上、山手通りには黒く中が見通せない結界が張り巡らされている。ここに都心攻略部隊の結界外側の簡易基地が設営され、攻略部隊員は突入の合図を待っている。今回の総指揮は奈良さんがとることになっている。リーダー会のメンバーは柴田大阪府知事だけが現地入り、他のリーダーは現地でオンライン接続しリアルタイムで戦況を把握する。簡易基地は結界内部にも設営し、常時内部の状況を外側の基地と共有する。情報のとりまとめは宮城さんを部長とする情報部が取り仕切る。


「改めて部隊編成を伝えます。…」


 奈良さんが攻略部隊の前で話始める。部隊は大きく三つに分かれる。一つは都庁に向かい、敵の首領、ディープワンのヴォルディアを討つ。一つは皇居に向かい天皇陛下など生存者を救出。最後の一つは奈良さん達がいる本部を防衛する。


 都庁へ向かう部隊の大隊長は、鹿児島の大隊長。皇居へ向かう部隊の大隊長は秋田さん。防衛部隊は大阪の大隊長。俺やカイトさん、ヤチホさんのチームは都庁攻略部隊の先陣として道を切り開く。


 奈良さんが総司令として攻略部隊を鼓舞。それぞれ気合に満ちた顔を見せている。そしてついに攻略が開始された。


「結界内拠点設営を急げ!設営次第、司令を向かい入れる!」


 大阪の大隊長が指示を出す。


「私たちは皇居に向かいます!クトゥルヒや他のアクマがいる可能性があります!可能な限り戦闘は避けていきますよ!」


 秋田さんも大隊を率いて皇居に向かう。


「カイト!ホーリー!ヤチホ君!先陣を頼む!他の部隊は彼らから少しだけ離れて進むぞ!」


 鹿児島の大隊長も指示を出す。俺は大隊全員に対して、雪丸と協力して三種バフをかける。大隊の面々から歓喜の声が聞こえる。そして俺達はチームのみんなと目配せをし、頷きあって走り出す。


「さあ!わたし達が一番槍だよ!一気に進もう!!」


 ミコトが元気な声を上げ、かなりのスピードで走り始める。


「ちょっ!ミコト!バフが掛かっていても他の人たちはその速度についてこれないって!」


「いや!そのまま行けぃ!お前たちならそこいらの敵など相手にならんはずだ!都庁に封じ込められていない敵をあぶりだしてくれ!」


 おっと、大隊長からGOが出てしまった。それならやってやろう。もし待ち伏せしているような奴らがいても俺達なら対処できるはずだ。都庁自体はまだ見えないが、ビルの間から都庁の方向に光るバリア?結界?のようなものが見える。あれが仏さま達による敵の封じ込めだろう。あれが消える前に何とか都庁まで到達したい。


「敵が来るわよ!」


『私が蹴散らすよ!』


 前方から全身に毛が無く少し濡れたようにテラテラしたみどりの皮膚を持つ大型犬のようなアクマが多数走ってくる。明らかに敵意をむき出しにしているため敵であることは確定だ。アクマデバイスによるとインボカと表示されている。ロカ・プラーナから来たアクマとはプラーナの感じが異なっているので、邪神の眷属かもしれない。


 ニ“ャーーーーー!とコッチーから力強い鳴き声が聞こえる。そして、幾条にも分かれたイカヅチがコッチーから発せられ、インボカに向かう。インボカは攻撃に気付き回避しようとするが、イカヅチの速度が速く、ほとんどが直撃を受け、黒焦げになる。かろうじて躱した個体も俺やミコトのバレットやレベッカの風弾によって光になって消えていく。


 数十頭はいたかに見えたインボカもあっという間に俺達に蹴散らされ、一部の個体は尻尾を巻いて逃げていくものもある。深い追いはせず、都庁へ向かう。カイトさんとヤチホさんの部隊はそこまで離れずに付いて来ているようだ。本隊はかなり後ろだが、誰も襲われていないようなので伏兵は無しだろう。さすがにレベッカのプラーナ検知を逃れられるほどの隠蔽性を持った敵はいないらしい。


「見えてきたわよ!あれは!!五大菩薩!?いえ、4柱しかいない?」


 レベッカが宙に浮き封じ込め結界を張っている仏さまを見て声を上げる。五大菩薩と言いながら確かに4柱しかいない。別のところにいるのか、そもそも4柱しかいないのか。向こう側でもこちらを認識したのか、俺達に視線を向けたような気がした。


『よく来てくれた。待っておったぞ。』


 頭の中で声が聞こえる。


「ホオリくん!今の!」


 みんなにも聞こえたらしい。


『これ以上は依り代として身をささげてくれた者が持たぬ。急ぎ、7階に閉じ込められている人々のもとに向かって欲しい。』


「分かりました!」


 恐らく本隊や大隊長にも聞こえていただろう。後ろを振り返るとカイトさんが大きく頷いている。通信を妨害する結界のせいで、通信機なども使えないため、直接のやり取りはできないが、向かうべきところは分かったはず。


 都庁の入り口前では結界を破壊しようと攻撃を加えているクトゥルヒ。10体はいる。結界を解くと一気に襲ってきそうだ。だが、五大菩薩様の結界も長くは持たないということなので、こちらも覚悟を決めて一気に攻めよう。


『これより結界を解く!頼むぞ英雄よ!』


 頭に声が響いたと思うと、結界が消え、4柱の菩薩たちがスッと消えていった。結界が解けたことを好機にこちらに向かってくるクトゥルヒ達。


「みんな、ここは俺が引き受ける。7階にいる人たちをカイトさん達と助けに行ってくれ。こいつらを倒したら俺も向かう!」


「分かったよ、ホオリくん!みんな行こう!」


「ホオリ君、む、無理はしないで!」


 俺がクトゥルヒに突っ込み棍をなぎ、道を作る。みんなはミコトを先頭にして都庁に入っていく。すぐにカイトさんとヤチホさんのチームも追いついてきた。


「ここは任せてください!捕まっている人の救出を!」


「任せちょけ!」


「高屋君、先にいっとーけん。」


 カイトさんとヤチホさんが声を掛けながら通り過ぎていく。


「うぉぉぉっ!大切断!!」


 2体同時にクトゥルヒの首を飛ばす。背後から迫るクトゥルヒには土槍でけん制。左右から伸びてくる触手を棍で捌く。振り回した棍をピタッと止め、距離が離れたクトゥルヒに突きを放つ。突いた棍の先から槍のようなバレットが飛び出しクトゥルヒを貫いた。土槍に足を止められたやつに接近し、棍を叩きつける。


 一気に数を減らされたクトゥルヒ達は一瞬ひるんだが、都庁の中、そして他の場所で結界を攻撃してたと思われる個体などが次々に現れ、数的有利を確信したやつらはさらに向かってくる。もうすぐ大隊が来ることをプラーナで感知した俺は棍を振り回し、倒せる敵だけを倒す多戦い方にシフトする。さあ正念場だ!

エンカウント:Lv35 インボカ / Lv35~45 クトゥルヒ


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