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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第128話 灼熱の国の王

 王に取次ぎを。そう奈良さんが叫んだ。巨人たちは何やら二言三言話し合った後、一人がどこかに走っていった。


『我ラでは判断デキヌ。しばし待テ。』


「相分かった。して、少し聞きたいのだが、あなた方はムスペルのの巨人たちで良いのだろうか?」


『ホウ、我ラを知るカ…。ソウダ、我ラは灼熱の国ムスペルの住人。コノ土地を我ラの新タナ国として定メル者ダ。』


 この土地ってどこまでを指しているんだろう。埼玉県?それともこの辺り…川口市なのか。国として定めるとまで言うからには、この辺りには人間の生き残りは…いないんだろうな。


「なるほど…」


「く、詳しく話を聞かないと判断が難しいですね…、ど、どこまで聞いた方が良いのか…」


「王に直接聞いた方が良いだろうな。下手にここで情報法を引き出そうとして王の怒りを買ってもまずい。」


 奈良さんとレンが小さな声で話し合っている。交渉は任せてよさそうだ。俺はムスペルたちがどれくらいの実力なのか知りたいものだが、目に見えて感じるプラーナはダテンを上回っていると思う。ダテンの長ならば戦えそうだが、個体差もあるだろうし、あとは王がどれほどか。


 少しだけ待つと、先ほど王の意向を確認しに行ったムスペルが戻ってきた。


『王ガ会ウそうダ。付イてコイ。』


 ムスペルの後に続いて川口市に入る。歩いて移動ならそこまで遠くないのだろうか。少し進むと何やら炎の道のようなものが見えてくる。


「な!あれはいったい!?」


「道が…炎で包まれているよ…まさかあの中を通るのかな?」


 俺とミコトが驚きの声を上げていると、案内のムスペルはニヤッと笑った気がした。


「あんなものまで…。あれは超速で移動できる道よ。ムスペルたちはこの場所を本格的に自分たちの国に改造し始めているわね。まさかアッシャーで再現するとは思わなかったけど。呆れた奴等だわ。」


『オ前は…妖精女王カ?マサカこんなところニいるトハ…』


「ティターニア様じゃないけどね。まぁムスペルのことも一応は知っているわ。」


 最近レベッカは妖精女王って呼ばれることが度々ある。種族がピクシーラージャだからなのだろう。レンによるとラージャっていうのは王って意味があるらしいし。アクマ達からすると女王様に見えるのかね。態度だけは最初から王様クラスだったけれど。


「こ、ここを通るんですかね…」


 少し考えていたら炎の道の前まで来ていた。レンじゃないけど、確かにここを通るのは少し怖いな。見た目はサーカスでライオンがくぐる炎の輪が遠くまで連なっているような感じだが、実際には炎の熱さは感じない。普通の炎ではないのだろう。熱くないということは火傷したりしないのだろうか。でも、実際は熱くなくても脳が熱いと感じたら火傷するなんて話もあるから、大丈夫だろうか。


『コノ道はオ前たちニンゲンでも大丈夫ダ。…王ノ元まで行ク。道ヲ開け!』


 こちらの心配を見透かしたようにムスペルが言う。望む場所に行けるワープゲートみたいなものなのかな?だとするとすごく便利だ。この技術って誰もが欲しがるんじゃ…物流革命というやつだ。


 そんなことを考えながら炎の道を通る。すると、道を抜けた先には円形の日時計が中央にありその奥には大きな建物がある場所に出た。


「埼玉県庁か…ということは一瞬で浦和まで来たということか…何という技術だ…」


 奈良さんがつぶやく。ここは県庁なのか。荒川を渡ったところは川口市だったはずだから結構な距離を一瞬で移動したわけだ。世界が変わったのだとつくづく思い知らされる。


『アノ建物に王がイル。さぁ付いてコイ。』


 更にムスペルに案内され県庁の中に入っていく。人間サイズの建物って巨人には使いづらそうだなと思っていたが、中に入ると中身は完全に別物になっていた。どうやって作り替えたんだと言わんばかりの変貌ぶりに全員が唖然とする。入ってすぐ、広いスペースになっており、奥の方にムスペルより更に二回りは大きな巨人が座っている。遠目でもあれが王だと分かる。


 王の前に通された俺達は、特に何も言われる前に気がついたら膝をついていた。


『面を上げイ。余がムスペルの王。スルトだ。』


「お初にお目にかかります。私は奈良と申します。お会いいただき光栄です。」


『フム、お主が代表カ?ニンゲンとは不可思議ナものだな。まぁヨイ。要件ヲ聞こう。』


「スルト王はこの国が邪神の眷属から侵略を受けていることはご存じかと思います。」


 スルト王が目線だけで先を促す。まぁ当然知らないわけがない。ムスペルも邪神とは敵対しているはずだが、どういったスタンスなのか。ここで戦いになればかなり不利だし、共闘できるなら最良だが…


 奈良さんが近々、都心にいると思われる邪神の眷属に攻撃を仕掛ける予定であることを話す。特にスルト王は反応していない。


『つまり、お主タチがディープワンを攻撃スル時に共闘セヨということか?』


「最良はその通りです。」


『勝算ハあるのカ?』


「正直申しまして分かりません。しかし、南に居を構えるダテンとは同盟を結びました。また、この国を長く守ってこられて御仏が現在、邪神の眷属らを押さえているという情報を得ています。今こそ、この国を取り戻す時だと考えています。」


 スルト王は、ダテンとの同盟と仏さまが奴等を押さえているというとことには反応していた。少しはこちらの戦力や情報網について関心を持った様子だった。


『お主タチの言い分ハ分かった。ダガ、最大戦力ヲ投入しない者たちとは共闘デキン。』


「最大戦力ですか…我らは日本中から戦士たちを集め、戦いに臨むつもりです。個人の強さでいえば、同席している彼らが最強です。他にも彼らに続く戦力もおります。」


『儂の目ハ欺けヌ。そこのお前とお前。お前タチはより強力な力を得テいながら、ソレを使っていないデハないか。それで全戦力を投入シタと言えるのか?ソノ程度の覚悟カ?』


 スルト王は俺とミコトを指して全力ではないと言っている。つまり進化のことを知っているということか?


「発言をお許しを。強力な力を使っていないというのは、俺達の進化についてご存じと言うことでしょうか?」


 ゆっくりと頷くスルト王。やはり知っている、もしくは何かを感じ取ったのか。本来の力をすべて使える状態ではないようだが、それでも古代神本人だ。そのくらいは分かるのだろう。


 奈良さんがどうする?といった目でこちらを見る。正直覚悟はとうに決まっている。攻撃前には進化するつもりでいたのだ。ダテンのところでは進化すべきでないと思ったが、ここはやるべきなのかもしれない。


 ミコトの方を見るとすでに気持ちが決まっているという目をしていた。


「ホオリくん、わたし達の強さ、見せてあげよう!」


 俺は決意を込めて頷いた。

エンカウント:Lv89 スルト(弱)


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