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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第124話 吒天

 理性があるダーキニー達の結界まで来た俺達。レベッカが仲間の合図を送ったところ、手に武器を持ったダーカとダーキニーが5人やってきた。


『何者だ?』


「見ての通りニンゲンと仲間のアクマよ。ここより北に生活圏を作っているわ。アンタらってパールヴァティの眷属じゃなかった?なぜこの島にいるのよ?」


「あ!その前に、俺は高屋 穂織です。争いに来たんじゃなくて、何が起きているのか調べに来たんです。あなた方と争うつもりはありません。」


 レベッカが質問しているところ遮って争う気がないことを最初に伝える。ついでに全員名乗っておいた。


『この国の人間か…我らは吒天(だてん)。そこの妖精王の言う通り、パールヴァティ様…正確には怒の相であるカーリー様より生まれし種だ。我らはシヴァ様にこの国へと避難させていただき、この国を守る御仏に保護いただいたのだ。よってここは古来より我らの生きる国でもあるのだ。』


「て、天と言うことは、仏教でいう天界に住む天部という神様というか仏様のことですね。だ、荼枳尼天だきにてんは多くのお寺で祀られています。た、確かインドの鬼神たちを指していたかと…。」


『あ、それで日本はダテンさん達も生きている国ってことなんだ。仏さまなら日本にいるのは当然だよね。』


「ま、まぁ仏教自体がインド・ネパールからきた宗教なので、日本固有の神様ではないでしょうけれど…。」


「まぁそれはわかったわ。で、何で同族で争っているのよ。ニンゲンじゃあるまいし。」


 呆れたようにレベッカが再度ダテン達に問う。


『そなたらに争う気がなさそうなのは分かった。ここにいると奴等に見つかるかもしれん。結界の中で話そう。』


 こちらに戦闘の意思や悪意が無いのはわかってくれたようだ。結界が一部だけ開き、中に招いてくれる。さっき見たときも感じたが、神様って程の強さではないけれど、アクマとしてはかなり強力な部類だと思う。福岡で戦った鎧天使よりは確実に強いな。


 少し歩いて公民館のような場所に通された。特に絶対的な王様のような存在はおらず、結界の中に通してくれた男性型の吒天・ダーカが何となくまとめ役のようなことをしているらしい。彼から話を聞くことになった。


「アンタら普通にニンゲンの建物を使っているけど、もともとここにいたニンゲンはどうしたの?」


『我らが顕現した時にはすでにニンゲンは一人もいなかった。かなりの数のアクマ達がいたので、恐らくは…。我らがようやくこの地に集まり生活圏としようとしているところに、奴等…食人鬼が現れ闘争になった。』


「失礼ですが食人鬼というのは、ダテンの皆さんとは別の種族なんですか?」


『正確には異なる、と言いたいが人間の目には同じに見えるだろう。奴等は我らと同じダーカとダーキニーだが、この国に渡ってこなかった部族のものたちで、人を喰らう。我らはもともとカーリー様より生まれ出でて、その狂気にさらされた存在であった。だが、いつの日かその狂気に疑問を持ち、人を喰らうことをやめた部族のものたちだ。だが、それは異端とされ他の部族から攻撃を受けるようになった。それを見かねたシヴァ様がこの国に避難させてくださったのだ。』


「と、と言うことは、食人鬼がこの国に現れたのはロカ・プラーナをアッシャーが繋がってしまい、食料…に、人間が多く残るこの島に集まってきた…そしてあなた方と出会ってしまった…と言うことでしょうか?」


『理解が早いな。その通りだ。』


 なるほどね。色んな偶然が重なってしまったということか。でもダテンって仏さまなら人間の味方なのかな?直接的に戦力を、とは言わないけれど、この先共存していくことはできそうな気がする。いや、仏さまに人間と同列なんて感じのことを聞いたら怒られるかな?


「率直にお聞きしますが、皆さんは人間と敵対することは考えらえますか?」


『いや、もともと我らは人間を守ることはあれど、害することは無い。ヤマ様の配下故、人間に恐れられることはあるようだがな。』


「ヤマ様…確かトウガもヤマ様の配下だって言っていたような…」


『トウガというのは榊鬼のトウガ殿か?』


「あ、はい。そうです。榊鬼のトウガですね。一時期修行を付けてもらい、クトゥルヒと一緒に戦ったことがあるんです。トウガに習った操鬼闘法が無ければ俺達はかなり前に死んでいたと思います。」


『そうか…トウガ殿の弟子だったか…ならば尚のこと君たちと敵対することは無い。』


 まさかこんなところで共通の知り合いがいるとは。トウガには感謝しかない。また会えるだろうか。


「ホオリくんの旅がこんなところにつながるなんて!良かったね、ホオリくん!」


 ミコトの素直な喜びが嬉しい。


「アンタたちは現状をどこまで把握しているの?邪神のことは?他の仏たちは?」


『正直、完全に把握しているとはいいがたい。その言い方だと、ロカ・プラーナとアッシャーが繋がったのは邪神もしくはその手のものによると言うことだな?』


「その通りよ。この島も邪神の配下に攻められている。今は動きがないようだけどね。」


『そうか…。そして他の御仏のことだが、全く連絡が取れない。我らはもともと神としての力はあまり強くない一族だ。ヤマ様とも切り離されてこの地に出て戻れぬ。何か知っていることがあるのか?』


「せ、正確な情報ではありません。あくまで憶測なのですが、よ、よろしいでしょうか?」


『もちろんだ。今は少しでも情報が欲しい。』


「お、恐らく、仏様たちはこの国の中心、ボ、ボクたちは東京都心と言っていますが、そこにいると思われる邪神の眷属を押さえてくれていると、か、考えています。」


 ダテン達も仏さまがこの国を守ろうとしているという予測に対し肯定的だった。御仏ならばそうすると確信めいた物言いだ。そして、俺達が都心決戦に臨むときに一緒に戦ってくれるという。


「だったらまずは、今の戦いを終わらせないとね!みんな!わたし達も手伝おう!」


 みんな力強く頷いている。いや、レンだけは慌てて奈良さん達に連絡しているようだ。明日は埼玉へ向かい、ムスペルヘイムの巨人たちと交渉する予定だったからね。こっちの戦いがどのくらいかかるかで、遅延が生じる可能性がある。申し訳ないがレンには調整をお願いしよう!

エンカウント:Lv46~60 吒天(ダテン/ダーカ、ダーキニーの総称)


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