第121話 ダブル進化!
「さぁ!私たちは進化するわよ!」
ニャー!
レベッカとコッチーが元気に叫ぶ。そうだった、二人は進化が可能になっていたんだった。色々ありすぎて後回しになっていたんだよな。でもアクマ合成って他のアクマの力必要なんだけど、何かを手に入れた記憶はないんだよな。とりあえずアクマデバイスを見てみるか。
「え?いつの間にこんな…」
「ホオリくん、どうしたの?何か変なものがあった?」
「あ、あぁこれを見てよ。これって…なんでこんな方たちが…」
アクマデバイスに表示されていたのは…
・軍神 ネコショウグン(分霊)
・軍神 フツヌシ(分霊)
・妖精女王 ティターニア(分霊)
・妖精王 オーベロン(分霊)
「レベッカ…これは…」
「あー、うん、そうだと思っていたんだけど考えないようにしていたわ。ロカ・プラーナで修行をしたときに、一応合格ってことにしておくって言われてて、それが合格の証みたいなものなんだと思うわ。」
「ネコショウグンも同じかなぁ。というかフツヌシ様までこんなことになっていたとは…」
『まぁ良いじゃない。多分これからの戦いがより厳しくなることを知っていて神様たちが私たちに力を貸してくれているだと思うよ。』
「ホオリくん、せっかく神様がくれたものだし、強くなれるんだから良いじゃない!進化しちゃおー!」
ははっ、いつものポジティブなミコトだなぁ。まぁレベッカもコッチーというか姉さんも良いと言っているし、炎の巨人たちと交渉する前にパワーアップしておいた方が良さそうだ。
「よし!じゃあ二人の進化をやっちゃおう!」
「「『おー!』」」
俺達はモールの外に出て、開けた場所があるところまで移動する。さて、まずはレベッカからかな。スマホでアクアデバイスのアプリを起動。白髭のおじいさんも久しぶりだ。老人がおもむろに喋り始める。
『マハーピクシーは特殊な進化が可能になった。アクマ合成でより強力なアクマを使役できるようになる。だが十分に注意するがいい。自らを超える力は制御できない。アクマはいつもお前の背中を狙っている。』
テンプレ乙。表示されているレベッカとティターニア様、オーベロン様を選択する。すると魔法陣が3つ地面に出現し、少しぼやけたような、半透明なアクマが現れる。一人は豪奢なドレスに身を纏った美しい女性と、もう一人は緑色を基調とした騎士服のような姿の優しそうな男性が魔法陣の上に現れる。少しだけ緊張した面持ちで、レベッカも魔法陣の上に移動する。
「レベッカ、じゃあ始めるよ。準備は良いかな?」
「ええ、本人じゃないとは言え、女王様たちと並ぶのは緊張するわね。さっさとやっちゃってちょうだい。」
俺は、合成開始をタップした。
魔法陣から光が立ち上り、レベッカたちを包み込む。完全に光の中に包まれ、こちらからは見えなくなった後、魔法陣は徐々に近付くように移動をし始めた。3つの魔法陣が完全に重なり、さらに強い光を放つ。
カッ!と目が明けられないほど強い光を放ち、はじけた。
『我が名はピクシーラージャ。妖精王の名を持つもの。汝は我が力にふさわしき存在か?示して見せよ!』
光の中から現れた妖精は言葉を発したかと思うと、突然強いプラーナを放ち威圧してくる。
「なに!?レベッカ!レベッカじゃないのか!?」
「まぁレベッカさんなんだけどね。久しぶりだからお約束かなーって。どう?驚いた?ねね?驚いた?ホオリ!」
クソうぜぇ!でも何も変わっていないのはある意味安心か。合成しまくって強くなりすぎたアクマに殺されるなんて事件もあるくらいだし。
「ねーねー、レベッカ。妖精王の名を持つとか言ってたけど、レベッカは妖精の王様になったの?」
「いやー、名前だけね。ラージャって追うって意味なのよ。そんな種族になっちゃったからねぇ。でも妖精女王ティターニア様とはレベルが違いすぎるから、そこんとこは勘違いしないで。多分、女王様とオーベロン様の力を使って進化したから、そんな種族になっちゃったんでしょうね。今度ティターニア様に会ったら何を言われるか…」
『レベッカがそんなにしょげるなんて珍しいね。ちょっとだけ興味あるかも?』
「いやいや!あの女王様はマジで関わんない方が良いわ。歩く天災みたいなものだから。」
レベッカも女王様のことになると余裕がなくなるのがちょっと面白いよな。いつか会える日が来るのだろうか。レベッカがあそこまで会わない方が良いって言うぐらいだから、積極的に会おうとはしない方が良さそうだけどね。
『さあ!次は私たちが進化する番よ。ホオリちゃんやっちゃって!』
なんだなんだ、姉さんも気合十分だな。さて、姉さんとコッチーはどんな進化なのだろうか。実はちょっと進化で姿が変わって強くなるって憧れるものがあるんだよな。ゲームっぽいからあまりいい趣味じゃないのかもしれないけど。
俺はアクマデバイスを操作。
『センリは特殊な進化が可能になった。アクマ合成でより強力なアクマを使役できるようになる。だが十分に注意するがいい。自らを超える力は制御できない。アクマはいつもお前の背中を狙っている。』
これって毎回言うんだな。表示されているコッチーとフツヌシ様、ネコショウグン様を選択する。レベッカの時と同じように魔法陣が3つ地面に出現し、少しぼやけたような、半透明な姿で師匠であるフツヌシ様と以前に出会ったネコショウグン様が現れる。コッチーは嬉しそうな足取りで魔法陣の上に移動。
俺は、合成開始をタップした。
魔法陣から光が立ち上り、コッチーたちを包み込む。完全に光の中に包まれ、こちらからは見えなくなった後、魔法陣は徐々に近付くように移動をし始めた。3つの魔法陣が完全に重なり、さらに強い光を放つ。
カッ!と目が明けられないほど強い光を放ち、はじけた。
そこにはコッチーではなく、半透明の状態の姉さん、高屋絆がいた。お気に入りだと言っていたワンピースを着て、変わらぬ黒く艶のある髪。姉さんはそっと目を開けると、俺達に向かって柔らかく微笑んだ。
「きれい…」
「こ、これがキズナさん…ホオリ君に似ている…ような…」
「姉さん…まさか…」
完全に人間の姿に戻るのだろうか。そんな疑問を持ったとき、すっと姉さんの姿が消え、足元にはコッチーが四本足で立っていた。前と同じか。急に人間の姿にはならないよな。少し残念なような、安心したような複雑な感情が心の中を巡っていた。
「あら、なんだか恰好良くなっているじゃない。」
レベッカの言葉でコッチーの姿をよく見て見る。確かに足首辺りが赤い毛になっていて腕輪をはめているよう。首回りも同様だ。体全体は白い毛で変わらないが、ところどころ赤い毛が装飾のように見える。ちょっと、白い鎧をまとった騎士のような、もしくは鎧武者のような雰囲気があるかも。尻尾は二股で変わらないが、こちらは赤ではなく金の毛が輪っか状に3つ生えている。強そうだ。
「なんか凛々しい感じだね!カッコイイ!!」
『えっ!本当!?ちょっと鏡を見てくるっ!』
あ、凄い速さでモールに戻ってしまった。何と言うか、中身は姉さんだから外見も気になるのかな?いや、コッチーの時から毛並みは気にしていたか。ブラッシングしないとシャーシャー怒られたことを思い出した。
エンカウント:Lv?? ピクシーラージャ レベッカ / Lv?? 猫将 コッチー・タカヤキズナ
ロカ・プラーナでの修業後に進化素材は揃っていましたが、レベルが不足していました。福岡の天使戦で必要レベルに達したため進化可能になったという裏設定があります。
ぜひともブックマーク・★評価・いいね・感想をお願いします!励みになりますm(_ _)m




