第112話 勝利の先に
「行くわよ!」
プラーナで発生させた風も使って超スピードでトランペット天使に向かって飛ぶレベッカ。それを阻害しようと動き出す四騎士たち。俺達は四騎士を止めるべく動き出す。
まずはコッチーが四騎士全員をターゲットにしたイカヅチの乱れ撃ちを放つ。黒騎士と蒼騎士がそれを防ごうと障壁を張る。激しい光と共にイカヅチと障壁が相殺される。光の中を駆けていた俺とミコトが白騎士に同時攻撃をかける。その横から赤騎士が大剣を横なぎに払う。俺は棍にプラーナを込めてそれを受け止める。ミコトは足を止めずに白騎士に殴りかかるが、白騎士は上空に飛び上がることでそれを避ける。
レンが遅れて俺と拮抗している赤騎士に斬りかかる。だが、黒騎士から氷のつぶてが放たれ、慌ててバックラーと障壁を使って何とか防ぐ。攻撃中の黒騎士に対してコッチーが駆け寄り雷爪で引き裂こうとする。蒼騎士が鎌を振り回しコッチーはやむなく距離を取る。
俺達が四対四の乱戦に入ったと同時にレベッカがトランペット天使に肉薄。トランペットを吹かれる前に相手のプラーナを乱そうと両腕を前に出して構える。
「勝負よ!」
レベッカからプラーナが放たれる前にトランペットが吹き鳴らされる。レベッカは苦しい顔を見せるも何とか荒れ狂うプラーナを制御し、トランペットの音を押し返そうとする。
「ぐぐっこ、このぉっ!」
その時、達はトランペットの音によってプラーナを乱され、四騎士の動きをけん制することが出来ずにいる。赤騎士の振るう横なぎの大剣を棍でかろうじて受けるも踏ん張りがきかずに吹き飛ばされる俺。コッチーとミコトは白騎士から放たれる矢と黒騎士が飛ばす氷のつぶてを躱すので精一杯。レンは膝をつき立ち上がることすらできない。
レベッカは何とか紡いだプラーナでトランペットの効果を打ち消そうとした時、蒼騎士の鎌がレベッカに向けて振り下ろされようとしていた。
「と、止めきれ…レベッカ…」
『崩魔』
急に力が戻る。何が起きたのか考える前に速度を最重視したバレットを蒼騎士に飛ばす。さらに足から地面にプラーナを通して蒼騎士以外の四騎士を土槍で攻撃。なぜか異常に動きが鈍い乗馬達が一斉に串刺しになる。
「まだまだ!」
追加で土槍から木の根を伸ばし、三体の騎士を拘束。同時に蒼騎士に向かって全力で走る。木縛により動けない騎士たちの横を駆け抜ける時には、コッチーが極太のイカヅチを赤騎士に直撃させており、鎧の中から煙が立ち上る。レンがプラーナを刀に込め、黒騎士の頭を斬り飛ばす。ミコトが白騎士を空中二段蹴りで破砕。え、何あれ、飛燕連脚?こわっ。
そして蒼騎士にたどり着いた俺は大切断で蒼騎士を縦に両断する。
プラーナを練り直したレベッカは両手を地面ついて動けずにいるトランペット天使にストームプリズンを放った。風と雷の牢から解放された天使はボロ雑巾のようになって倒れる。
『『さ迷えし魂よ。そなたはもう家に帰る時だ。我、大地の姉妹姫より授かりし、光の道をそなたに示さん。さぁお帰り、また来世で相まみえよう。シャウチャ ジャーヌ…』』
ん?レベッカが突然、女神の浄化術を唱える。レベッカだけでなくもう一人誰かも同じ術を発動している?なにが起きたのか分からずに呆然としていると、浄化の術を受けたトランペット天使と四騎士が人の姿に変わる。トランペットと白騎士、蒼騎士が女性に、黒騎士と赤騎士が男性だ。見たことがない人たちだった。
その人たちもすぐに光になって消えていった。
「レベッカ…どういう…」
ピコン!
レベッカに問いただそうとしたところで、久しぶりにアクマデバイスから通知が届く。
【Extra Encounter:ホワイトライダー 人魔結晶を手に入れました】
【Extra Encounter:レッドライダー 人魔結晶を手に入れました】
【Extra Encounter:ブラックライダー 人魔結晶を手に入れました】
【Extra Encounter:ぺイルライダー 人魔結晶を手に入れました】
【Extra Encounter:トランぺッター 人魔結晶を手に入れました】
わわっ!多い!あの天使たちは全員魔人だったのか!?
「アンタたち、出てきなさいよ。」
レベッカが誰もいない方向に向かって声を掛ける。誰かいるのか?プラーナは感じないが…
『さすがに気付くか…あまり人前に出る気はなかったが、やむ得んな。』
『あそこで助けなかったら、この方たちは危険でしたから仕方がないですよ。最後の浄化はいらなかったかもしれませんが。』
「いえ、対象が多かったから助かったわ。まぁ駄女神に手助けされたなんて女王様に知られたら大笑いされるでしょうけどね。」
誰もいないと思っていた建物の陰から二人の人物が姿を現す。一人は大柄の男性。長めの白い髪を後ろに流していて、肌が青い?青い肌ってなんだ?腰には日本刀のような反りのある剣を差している。服装はファンタジー世界の旅人のような恰好かな?ローブのようなものを羽織っている。全身をローブで覆われているはずなのに、肉体には力が高密度で詰まっている感じを受ける。
もう一人は女性。背は170㎝くらいあるのか、男性が大きいので小さく見えるがミコトと同じくらいはありそう。こちらもローブを羽織っているので体形は分からないが、明るめの茶色、というか輝く銅色というのが良いかもしれない髪を後ろでまとめており、少したれ目だが絶世の美女と言った容姿。少し人間離れしている美しさで、サクヤ様やヒュギエイア様のような雰囲気があるから神なのかもしれない。
『だ、駄女神って…レベッカさんひどすぎますぅ…』
ん?女性の方がなんだろう、見た目と喋ったときのギャップが…何と言うか少しおっとり目?いや、たれ目とおっとり口調ならおかしくはないが、神としての威厳みたいな、荘厳な感じが全然ない気がする。
「はぁ…アンタら戻ってきていたのね。次の世界に行くとか言ってたじゃない。それに駄女神の駄目な姉妹はどうしたのよ。脳筋とトラブルメーカーがいたでしょう?」
『まぁいい機会だし、情報を交換するか。うるさい妖精が相手では疲れそうだが。』
「かー!あのやんちゃな破壊神に言われたくないわね!アンタの面白話を話してあげましょうか?沢山あるわよ!」
『姉さんやスクルディまで…まぁあの子はそう言われても仕方ないところもありますけど…』
レベッカの知り合いなのか。だが全然話が見えない!
「レ、レベッカ!完全に置いてきぼりなんだけど。とりあえず簡単にでいいから説明してからにしてくれよ。」
「あ、あの、カイトさん達の状況も確認しないと。か、彼らの救援に向かわないといけませんし。と、とりあえずメッセージは送ってあるので…あ、返信が来た。」
「ごめん皆…ホオリくん…これ…」
少し震えながらミコトがスマホの画面を見せてくる。そこにはこう書かれていた。
【玉乃井 美琴の進化条件を満たしました。玉乃井 美琴は神魔人に進化しますか?】
俺は慌てて自分にスマホの画面も見る。
【高屋 穂織の進化条件を満たしました。高屋 穂織は神魔人に進化しますか?】
エンカウント:Lv?? 破壊神 XX / Lv?? 時の女神 XX
今回の新キャラは世界設定を説明するのに重要な役割を持っています
※主人公とヒロインの進化先の種族名はあまりしっくり来ていないので、アイデアがあればぜひお知らせください!
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