第109話 死をもたらす天使たち
戦闘回。2視点なので少し長めです
「カイトさん達大丈夫かな?」
「俺も心配だけど、カイトさん達を少しでも楽にするために俺達が急いで教会を攻略しないと。」
カイトさん達の陽動が効いているのか、通りを巡回している天使がほとんどいない。2回程度の遭遇で教会の近くまで来ることが出来た。だが、さすがに教会自体にも警備の天使が配置されており、あそこを突破しないと中には入れそうにない。
「レベッカ、つかまった人たちはどの辺にいた?」
「裏手の2階の東側の窓から見えたわ。まずは裏手にまわりましょう。」
ちょうど2階にはベランダのようになっている。今の俺達ならジャンプした届きそうな気がするな。まずはつかまった人たちを優先的に助けたい。レベッカとコッチーは確実に侵入できるから、俺達だけか。ミコトに目配せをして2階のベランダを指さす。頷いているところを見ると届く自信がありそうだ。
「俺が地上にいる見張りをやる。みんなはあそこのベランダから侵入して捕まっている人を助けてくれ。レンはここで待機だ。救出してきた人を誘導してくれ。」
「オッケー!ホオリくんも気を付けて。」
俺は通りに飛び出して警備の天使に襲い掛かる。鎧の上からでも棍で叩きつければ内部にまでダメージが通るようで、4~5発程度打ち付ければ鎧の天使は動かなくなり、光になって消えていく。俺は可能な限り多くの警備兵を呼び寄せるように、声を出しながら鎧天使を叩きのめしていく。みんなは無事入れたようだな。
10体ほど倒したところで、増援が来なくなった。恐らく中でみんなが暴れ始めたので、そちらに戦力を傾けているのだろう。俺は1階の入口から内部侵入する。かなり慌ただしい音が聞こえてくる。2階への階段を見つけ駆け上がる。そこではコッチーがイカヅチを方々に放ち、天使を攻撃している姿が見えた。
「こっちだ!ここから1階に降りて外に出られる!」
「いいところに来たわね!ミコト先導しなさい!」
ミコトを先頭にして人々が階段を下りて外に出ていく。コッチーとレベッカがイカヅチや風弾で天使を薙ぎ払いながら人々を守る。50人くらいは出てきたか。ミコトがレンと合流して、安全圏まで移動を始める。
「コッチー!レベッカ!殿は俺が務める!先に行って皆を守ってくれ!」
ニャーー!
コッチー、レベッカの順で外に飛び出していく。無事に避難させてくれよ。俺も天使を押さえながら後退を開始。歌の天使はコッチーが優先的に倒してくれたようで、全然見当たらないし歌も飛んでこない。鎧天使を盾にして矢や光の玉が飛んでくるが、そこまでの密度ではないし、室内なら一度に相手をする数も限られているからかなり粘れそうだ。だが、ここに留まっていては外に出て追いかける天使を迎撃できないな。コッチー達と十分な距離が出来たことを確認し俺も外に飛び出した。
少し遠くにコッチー達が見える。追撃の天使はほとんどいないし、迎撃は間に合っているようだ。俺も追いかけるかと思った時に、今までにない強力なプラーナを感じる。教会を見ると、馬に乗り鎧を着た4体の天使たちがゆっくりとこちらに向かってきていた。
『『『『唯一絶対の神に仇なす邪教徒よ。我らが救いの手を差し伸べし者を地獄に誘わんとする悪魔よ。我ら黙示録の四騎士がお前を滅す!』』』』
4体が一気に襲い掛かってくる。白い騎士が弓を、赤い騎士が大剣を、黒い騎士が天秤が先に付いた杖を、蒼い騎士が鎌を持っている。白い騎士から矢が放たれる。光を帯びた矢で強いプラーナが込められているようだ。
俺は棍に強いプラーナを込めて矢を叩き落す。その隙を狙って赤い騎士から大剣が振り下ろされる。俺は棍を回転させて大剣の腹に添え力を逃がす。背後から蒼い騎士の鎌が迫る。俺は大きく後ろに飛び下がり回避と同時に距離を取る。着地を狙って黒い騎士から氷のつぶてが雨のように放たれる。
「大!岩山壁!!」
岩の壁で氷のつぶてを防ぐ。騎士たちのプラーナを感知し、バレットを弓なりに発射し反撃。騎士たちは簡単に回避する。あの馬は空も飛べるのか。黒い騎士は空中に留まり、杖の先から火炎放射器のように炎を噴き出して攻撃してくる。
「甘く見るなよぉぉぉ!」
俺はあえて炎に向かってジャンプし、棍で突きを放ち炎を撥ね退けながら黒騎士を攻撃する。だが、棍が黒騎士に届く前に横から赤騎士が大剣で攻撃してくる。俺はとっさに棍を持ち替え大剣の攻撃を棍で受ける。剣撃の勢いを受けてそのまま地上に向かって飛び距離を取る。
着地を狙って白騎士から矢が飛んできた。俺は体を反転させて、先に棍を地面に突き、着地タイミングをずらす。くっそー、さすがに四対一だと攻めきれないし、防御・回避で手いっぱいだな。
だが、こちらにも仲間はいるぞ!
『!!』
蒼騎士と乗馬を光る鎖が拘束する。上空からは大きな白熱火球が襲い掛かる。だが、白騎士の先ほどよりも太くて強い輝きを放つ矢と黒騎士のバレットを巨大化させたようなプラーナ弾が空中で白熱火球に向かい強い衝撃波を放ちながら相殺される。2体がかりとは言えコッチーの火球を相殺するか。やるな。
俺も蒼騎士に向かって突撃し、棍で突きを放つが赤騎士が大剣を盾のように使いそれを防ぐ。その間に蒼騎士と乗馬は力任せにプラーナの鎖を引きちぎる。
「こっちの方が一手多いぞ!」
だが、その間にミコトが蒼騎士のそばまで接近しており、乗馬の腹を思いきり突き上げた。いわゆるアッパーカットというやつだ。その力は蒼騎士と乗馬を空中にカチあげるほどの威力。なんて言う力だ。冗談でも殴られたら死人が出るんじゃないか?ミコトは怒らせないようにしよう。
「はぁぁぁっ!」
空中に跳ね上げられた蒼騎士をレンが気合を込めた大上段斬りで攻撃。だが、蒼騎士は辛うじて鎌の柄でレンの斬撃を防ぐ。レンはそれ以上の攻撃はせずに後ろに飛び退いた。蒼騎士も地面に叩きつけられることなく、乗馬が衝撃を吸収し着地する。
「ちっ!一体も落とせないなんて、あいつらやるわね!それに…」
ニャニャッ!
「三貴衆といい、連携が上手な敵と戦うことが増えてきたね!負けられない!」
「ボ、ボクの力だと決め切れないっ!」
いや、四対一だったから助かった。防戦一方だったからな。
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~~Side 日照 海斗
「おらぁぁぁっ!」
雪丸のバフを受けて加速したオレは、鎧天使の脇を抜け歌天使を2体同時に斬り裂く。返す刀でもう一体も斬り飛ばした。レンが言っていた通り歌の天使はかなりもろい。攻撃さえできればオレなら一撃で倒せる。
「ちっ、数が…!」
だが、歌天使は倒せても鎧はかなり強敵だ。弓もうまく連携して攻撃してくる。オレはそれ以上攻撃せずに後退。うまいこと天使たちがついてくる。だが、他の天使部隊が合流し、歌天使が歌を歌おうとしている。
「間に合った!」
チームメンバーが待ち伏せしているポイントまで誘導できた。歌が届く前にバレットが天使を襲う。奴らの足が止まる。チャンスだ!俺は踵を返し再度最大加速で後衛の歌天使を斬り裂く。そしてまた後退。レンの作戦が結構はまっている。
・・・・・
「天使の歌は放たれたプラーナ、つまりバレットなどを、か、かき消したりはしません。な、なので、カイトさんが敵を引き付けて、ま、待ち伏せした仲間が歌の範囲外からバレットで攻撃すれば逃げながら、せ、先手が取れます。上手く歌天使を、へ、減らせるかもしれません。」
・・・・・
同じ大学生だが、あいつの方が明らかに地頭が良さそうだな。悔しくもないが…。
「カイト君!どんどん増えてくるど!早く後退して!」
リコが叫んでいる。言われなくてもわかっているさ!この数を相手にするのはさすがにオレだって無謀だって分かっている。早くしろよホーリー、長くは持たんぞ!
エンカウント:Lv18 エンジェル(歌) / Lv25 アークエンジェル(弓) / Lv28 プリンシパティ(杖) / Lv35 パワー(鎧) / Lv50 ホワイトライダー レッドライダー ブラックライダー ペイルライダー
カイトのセリフ部分以外が標準語なのはご愛敬
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