第107話 天神攻略戦 前編
「じゃ、福島さん、行ってきます!」
「ヒヒイロカネの棍、ありがとうございます。これで福岡で起きていることを解決してきますよ。」
「うん、みんな気を付けていくでござる。命大事にでござるよ。天使が福岡からでてこないんだったら放っておくのも一つの選択肢でござるからな。」
「分かってるわよ。大阪の悪魔と言い、変な奴らも発生しているから油断はしないわ。」
翌日、福島さん達に見送られ、俺達は鹿児島に向けて出発。途中、大三島で一泊してから愛媛・大分間をフェリーで渡るルートだ。物資運搬に動かしている船に乗せてもらう予定。
オオヤマツミ様には挨拶だけして、前に泊まった旅館に今回もお世話になる。そして翌日には鹿児島に入ることが出来た。
「東京から来た高屋です。カイトさんは無事なんですか?」
「あっ!ホーリーさんだっど。お久しぶりです。海斗くんは、というかみんな無事だど。あの天使たち、あまり熱心に追ってはこんかったから撤退自体は無理なくできたんです。」
中村さんだったかな?海斗さんのチームの回復役だったと思う。少し小柄であか抜けない感じなので多分年下だろう。下手すると中学生かも。彼女に案内してもらい、詳しい話を聞きに行く。どうやら重傷者もいないようで、全員回復しているそうだ。まずは一安心という所だろう。
「おう、ホーリーか。ちっ、また強かなって…どんだけ強かなる気だっど。これじゃあいつまでも追いつけん。」
カイトさんもいる。というかあって早々舌打ちしないでくださいよ。それじゃなくても、金髪で強面なんだから、ちょっと怖いんだよなぁ。
「カイトさん、お久しぶりです。皆さん無事のようで良かったです。でもカイトさんの剣で斬れないなんて、天使はよほど強力なんですか?」
「いや、オレの剣はプラーナを通さんと、ただの木剣と同じだど。あいつら妙な歌ば歌いよって、プラーナがうまく込められんようになる。」
奈良さんの言っていた通り歌でこちらを戦いづらくするのだろう。プラーナの制御を阻害する力があるのだろうか。基本的にアクマと戦うにはプラーナが必須であることを考えるとかなり厄介な能力だと言える。
「歌だったら耳をふさげば防げるんじゃないんですか?」
ミコトの考えももっともだな。単純な音であれば耳栓なり、風の術で音の波を崩したりできるかもしれない。
「あれは耳に聞こえてくる音とはどげんか違う。こう、プラーナの動きを邪魔するちうかな。」
「レベッカがたまに使う阻害系の術みたいな感じかな?相手のプラーナを乱したりするやつ。」
『タケミカヅチ様を眠らせたり。』
「近いものがあるかもしれないわね。でも正直、今回は私の知識は役に立たないわよ。その天使って言うのが分からないもの。」
「そう言えば、数は多いんですか?」
「わっぜ多い。それに種類もいろいろいるようだっど。」
わっぜって何だろう。すごくみたいな意味かな。数も多いし何種もいると。
『種類って言うのは得意なものが違ったりするってことですか?』
「歌ば歌うのはもっぱら普通の?天使が担当なんです。それを守るように鎧を着た天使が前にいて、さらには弓や杖を持った天使もおってですね。こう軍隊みたいに規律ば守って戦う感じですね。」
「莉子、お前、よく見てたな。」
中村さんはリコって言うのか。この二人、妙なコンビだな。何と言うか兄妹みたいな。リコちゃんはカイトさんに褒められてちょっと嬉しそうだ。
「鎧の天使の武器は剣ですか?」
「槍だっど。」
「槍かぁ、弓も術使いもいて前衛が槍だとわたしはちょっと辛いかな。」
「接近するのも一苦労だろうね。というか、そもそも戦う必要があるんですか?言葉は通じるんでしたっけ?お互いの領域を冒さないなら放置も選択肢になるかもって言われてましたけど。」
「無理じゃな」「無理だと思います」
カイトさんとリコちゃんが声を合わせて言う。どうやら天使たちは少しずつ自分たちの領域を広げているらしい。そして天使たちの数も少しずつ増えてきているのではないかという推測が立てられている。どうやって増えているのか、どこから生まれているのかなどは全く分かっていないが、最初に天使を発見してから、直近の監視状況を比較すると明らかに数が多いとのことだ。
「となると、歌への対策が必須になるってことですね。レベッカ、何か対策はある?」
「うーん、どの程度の威力があるかに寄るわねぇ。相手には絶対的な数の優位があるわけでしょう。仮に1体1体の歌の威力が弱くても集まればそれなりの威力になると想定すると、例えば私一人が歌を相殺するプラーナを発しても押し負ける可能性が高いわ。」
『正面からぶつかるのは武が悪いってことなのね。』
「歌ってことは沢山で歌うと合唱みたいに強くなりそうだもん。レベッカ一人でどうにかするのは難しそうだね。」
なるほど、正面からプラーナで対抗するのは難しそうだな。対策になりそうな作戦は何だろう。相手の数も不明だしなぁ。
「はいはい!超長距離からコッチーにイカヅチで狙撃してもらうのは?」
ミコトが歌の射程外からの攻撃を提案する。
「悪くないど。だがな…」
「数が不明なのと、どうやって増えているか、どのくらいの速度で増えているか分からないと倒しきるまでどのくらいかかるか分からないかな?」
「そもそも射程外から攻撃したとして、大群でエリア外まで襲ってくる可能性があるわね。」
『藪蛇だねぇ…』
「鹿児島の神様に相談するのはどうなんです?」
「ニニギノミコト様にはすでに話を聞いたど。だが対策が思い当たらないそうだ。」
「まぁ戦力が分かっていなければそうなるわね。一度偵察して相手の戦力をもう少し把握初ましょう。今の情報量じゃどうにもならないわ。」
「できれば一当てしたいな。どのくらいの強さなのか、歌の効果がどれくらいなのか実際に確認しておきたい。」
ということで、一度天神付近まで進行し天使の強さを確認することになった。だが、万一のことがあるため、俺達が戦闘し、カイトさんたちには撤退支援を行ってもらう。大部隊は必要ない。2チームでの作成となった。
鹿児島メンバーのセリフはCopilot君に変換してもらっていないためかなり怪しいです。鹿児島の方がいたらゴメンナサイ。
リコちゃんは中学3年生。カイトさんは大学3年生です。それ以上は言うまい…
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