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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~  作者: よろず屋


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第106話 緋緋色金

後半に世界観の説明が入るため長めです

「おお!よく来た、ホーリー。こんなに早く会えるとは思っていなかったでござる。」


 レンの運転で名古屋に到着。さっそく福島さんが働いている工房に伺う。数日会わなかっただけだが更に職人という雰囲気が強くなっている気がする。髪も短くなっているからかな。


『福島さん、髪を切ったんですね。』


「キズナ殿もいらっしゃいでござる。なんせ鍛冶場は室温が高いでござるからな。髪が長いと暑くてかなわんでござるよ。」


『その方が良いと思いますよ。』


 それぞれが福島さんに挨拶をしている。俺はゴブニュ様や上田さんにも挨拶をする。上田さんに刀の切れ味などを伝えておく。レンは実際に使っていることもあり、上田さんにかなり質問されていてあたふたしていた。


「しかし、ちょうどいいタイミングで棍を用意していてくれたんですね。」


「いやいや、もともと作っていたんでござるよ。カグツチ様から特殊な金属をいただいていてな。いずれホーリーに必要になるかもしれんということで、その金属を使った武器をつくっていた、という訳でござる。」


 カグツチ様が…神様だからと言って未来が見えるわけではないと思うが、ありがたい話だな。さっそく福島さんから新しい棍を受け取る。今までの棍よりしっかりした重さがある。だが見た目は木材のようだが、金属というのはどこに使っているのだろう。軸にでもなっているのだろうか。


「この棍は凄いでござるよ。軸心にカグツチ様からもらったヒヒイロカネを使っていて、外側の木はサクヤ様にいただいた霊木でござる。トウガ殿からもらった棍も霊木を使っていたと思うが、恐らく格が数段上の霊木ではないかと思う。プラーナを通してみるでござるよ。」


「こ、これは…」


「な、なんてこと…ホオリ、アンタこれ…」


 福島さんに言われるがまま棍にプラーナを込めてみる。するとその通りの良さ、保持される力強さ、そしてこれは…。レベッカまでもが驚きの目で見ている。


「どうでござる?プラーナが増幅しているでござろう。」


「は、はい…これはどういう…」


「師匠の受け売りだが、ヒヒイロカネはプラーナの吸収・保持だけでなく、増幅効果まである金属で、アッシャーには存在しないでござる。というのは神の強いプラーナにさらされ続けた鉱石をカグツチ様の炎で溶かして鍛えた金属だからでござるな。実はロカ・プラーナでの修業中に少しだけ作っていたでござるよ。」


 神の力が必要な金属か。それは強力に決まっている。トウガにもらった棍も人間の世界の武器に比べて非常に強力だったが、鬼よりさらに強い神の力が含まれているとすると、どれほどの力が秘められているのか。もしかするとヴォーワンの天断すら防げてしまうかもしれない。


「ヒヒイロカネは量が全然ないからな。刀にはまだ使えるだけの量がない。カグツチ様直々にお前のために使えと言われてな。本当は俺の刀を打ちたかったが…。ちなみに福島はアッシャーに存在しないなんて言っていたが、熱田神宮にあるアメノムラクモもヒヒイロカネという噂がある。神の時代には残っていたのかもしれんな。鉱石を融かす際の炎もカグツチ様のものでなければならない、というより神の炎である必要があるという意味だ。」


「そんな貴重なものを…ありがとうございます!」


「やったね、ホオリくん!スーパーパワーアップだよ!」


 ミコトがキラキラした目で喜んでくれる。このストレートさが眩しすぎるよ。でもこれで武器の心配は無くなった。福岡で何が起きているか分からないが、必ず力になってくれるだろう。


「本当はみんなの分の武具なんかを作りたかったでござるが、今回はホーリーの棍のみでござる。引き続き色々と作っていくでござるから、また出来たら連絡するでござるよ。」


「そ、そう言えば、今日はど、どうしますか?一応、名古屋で一泊してから鹿児島に入る予定でい、いますが…」


「おお、そうだったでござるか!師匠!兄者!今日はホーリーたちと飲みに行くでござるよ!仕事はそうそうに終わりにするでござる!」


『まったく。お主はこういう時だけ元気じゃのう。人間の酒はちと弱くて物足りんが、まあよい。今日だけじゃぞ。』


 意外にゴブニュ様も融通が利くようだ。でもお酒なんて飲める場所があるのかな?まだまだ復興には程遠いと思うが、少しぐらいの娯楽はあるのかな。まぁ俺とミコトは未成年だからお酒は飲まないけどね。姉さんも人間の体になれたら飲みたかっただろうか。


 俺達は福島さん達が今日の仕事を終える4時になったら再度落ち合って交流会をすることにした。それまでは名古屋の様子を色々と見て回ろうと思う。時間もあるので熱田神宮の千秋さんにも挨拶をする。


「クトゥルヒの技術と人間の機械技術の融合ですか…奈良さんから簡単にはリーダー会に共有されていますが、詳しい話を聞かせてもらっても良いでしょうか?」


 大樹の最上階にあった機器が人間の技術を使ったものだということはリーダー会でも共有されたらしい。名古屋ではプラーナを使って技術革新が起こせないか、ということを研究し始めているらしい。技術は全て名古屋に集中させて各地で試す。そのような体制をとっているのだとか。


 直接触ったのはレンなので、レンが千秋さんや呼ばれてきた研究者の人たちと話し始める。とは言え、レンも大学の専攻は経済学であり、卒業後の進路は税理士なので、そこまで詳しいことは分からない。直接行って調べるしかないという話になっていた。


 研究者たちはどの程度の戦力があれば大樹で調査ができるか、俺達に護衛は依頼できるのかなど血走った目で聞かれたので、奈良さんに相談して欲しいと伝えておいた。奈良さんすみません、ちょっと怖かったので押し付けました。


 そんなことをしているうちに4時になる。福島さん達と合流して交流会だ。


「あぁあの気分が悪くなるとか言う場所にはそんなものが生えていたでござるか。」


『レベッカはどう感じた?ロカ・プラーナにもそんな樹は存在せんだろう。』


「3バカクトゥルヒが話していたことから察するに、あの樹自体が邪神と同格かそれ以上の存在の眷属だと思うわ。まぁ大樹自体に明確な意思は感じなかったから、マルガからプラーナを吸い出して邪神に送っていなければ、直接的に害はなさそうだけど。」


『邪神と同格かそれ以上か…脅威どころの話ではないな…』


 ゴブニュ様がかなり深刻そうな顔をしている。そう言えば、邪神の強さって実はよく分かっていないよな。


「そう言えば、邪神の強さってどれくらいなの?古代神の強さを見ているから、その神々が束になって何とか封印したってだけでヤバイのは分かるんだけどさ。ちょっとイメージがわかないというか。」


「そうね、どういったらいいのかしらね。少なくともこの星には単体でアレをどうにかできる神は存在しなかったわよ。大戦前は最強の神と言えばにアシャンケトゥってやつだったのよ。雷の神で、誰もが最強だと認めていたわ。

 邪神がこの星に降り立った時、アシャンケトゥが一人で倒してくるって向かったの。だけど今まで誰も防げなかった雷槍を防がれて、触手で捉えられた一瞬でバラバラにされ消滅させられたって話よ。この星の最強の神があっさり殺されて、慌てた神々は団結して何とか封印したのが邪神。あれは桁が違うのよ。

 アシャンケトゥの名が残っていないのは完全に消滅したからでしょうね。私達のように大戦以前からいるアクマや神しかしらないし、最近の若い神だと名前も聞いたことがないと思うわよ。」


「そう言えば、俺の師匠のフツヌシ様も大切断で邪神は斬れるけど効果があるとは言えないって言ってたな。」


「肉体を斬った程度じゃね。ちなみに雷の神ってすっごい多いんだけど、ゼウスやらトールやら九天応元雷声普化天尊やらインドラやら、私達が戦ったタケミカヅチもそうね。その誰もアシャンケトゥには全然歯が立たなかったわよ。」


『私でも聞いたことがある神様の名前が…』


「まぁとにかく邪神はヤバいのよ。世界の中心から来たんじゃないかって言うのが上位神たちの推測のようね。」


「世界の中心って宇宙の中心のことでござるかな?宇宙に中心は無いというのが現代の主流だったはずでござるが…」


「私も宇宙ってのについて詳しいわけじゃないんだけど、ニンゲンの言う宇宙と私たちの観測している世界って一致していないのよね。その辺を調べているやつがいるんだけど、今どこにいるのかしら。アホな3姉妹の女神と破壊神なんだけど。

 で、私の勝手なイメージだけど人間の言う宇宙は横に広がっていて、私達の観測している世界は縦に広がっているって感じかしら。プラーナは今も昔も世界を縦にも横にも広げ続けていて、その果てがどこかはわかっていないはずよ。で、プラーナが噴き出している中心が世界の中心ってわけ。邪神はそこから来たんじゃないかってことね。」


「すでに付いていけないよ…」


「わたしも無理~~」


『専門家を呼ぼう…』


「面白い話でござるが…」


「ま、もしかしたら暴れん坊の破壊神もこっちに来ているかもしれないから、会うことがあったらどこまでわかっているのか聞いてみましょ。」


「えっ、破壊神ってそんな気さくに話しかけて大丈夫?すっごい怖そうなんだけど。」

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