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プラーナの導く先へ ~崩壊した世界でネコとピクシーを仲間に、俺は英雄として生きていく~ ≪サンサール戦記エカム編第1部≫  作者: よろず屋


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第95話 探索不可地域

「この先が探索不可地域なんだよね。」


「はい、この五日市街道の向こう側がそうだと聞いています。」


『うわぁ…あからさまに…』


「み、皆さんには何が見えているんですか?」


「プラーナなの色が明らかに違うんですよ。レンさんには見えていない?」


「これは…まぁ行ってみましょう。予想通りみたいだけど、確定させた方がいいでしょ。身にまとうプラーナは揺らがないよう強くね。」


 俺達は通りを挟んで明らかにプラーナの色も質が異なっている向こう側に渡る。急激にプラーナを奪おうとする力を感じる。だが、俺達の操鬼闘法の強固さはその力を撥ね退けているようだ。


「う、うぅぅぅ…ゴハッ!」


「レンさん!大丈夫ですか!?わ、わ!凄い汗!」


「体の震えも尋常じゃない!いったん戻ろう!」


 俺達は慌ててレンを連れて通りを戻る。あの強さでプラーナを奪われるとひどい悪寒にさらされるようだ。レンの纏うプラーナは俺達より格段にもろく薄い。決してつたないプラーナな操作ではないと思うが、俺達と比べるのは酷なのだろう。


「す、すみません…足を引っ張ってしまって…。」


「気にしないでください、レンさん!わたし達も自分たちが大丈夫だからって油断してました。」


「でもどうしようか。いったん撤退する?」


「ホオリ、隠さなくていいわよ。進みたいんでしょ。プラーナはゆるぎないけど気持ちが急いているのはわかってるわよ。キズナも同じでしょ。」


『…レベッカ…でも…ホオリちゃん…』


 はぁレベッカにはバレてたか。レベッカの言う通り俺達の住んでいたマンションがどうなっているのか気になっている。そして、父さんや母さんが亡くなった場所に行くのが怖い自分もいる。だが、いい加減向き合わなければ。そう気持ちが急いていた。


「ホオリ、たまには我がまま言いなさい。レンのフォローは私がするわ。だてに女王様直々に修行を付けてもらっていないわよ。一人くらいならプラーナの補強ぐらいやってやるわ。」


「いいのか?レベッカ。」


『レベッカ…ありがとう…』


「ホ、ホオリくん、ボクも頑張るよ。レベッカさん、す、すみませんが手伝ってください…ボクもホオリくんの力になりたい!」


「まるっとこのレベッカ様に任せなさい!さぁ行くわよ!この状況の謎を解いてやりましょう!」


 レベッカの言葉に背中を押され、俺達は改めて五日市街道を渡る。レベッカはレンの肩に乗ってプラーナを増強・操作のサポートをして、身に纏うプラーナを強固なものにしているようだ。確かに何度かプラーナの譲渡なんて離れ業をやっていたけれど、ここまで器用にこなすとは。力の匠っていうのは伊達じゃないか。


「は、ははっ、す、凄いですね!さ、さっきの不快感が噓のようです!」


 よし、レンも大丈夫そうだ。この先にあるものを見極めに行こう。


「この区域はアクマがでないのかな?」


「並のアクマだとプラーナを吸い取られるから、この区域には入ってこないでしょうね。」


『もし居たら相当な実力者ってことになるのかな?』


「それか、こうなっている理由を知っていて対策が出来ているか…ね…」


「この状況を生み出した存在ってこと?」


「この状況自体を起こしているかはともかく、この状況になるように仕向けた、はあるでしょうね。」


 つまりこの状況は人為的に引き起こされているってレベッカは考えている訳か。俺達にはすでに常識外のことばかりが起きているから、何が起こり得て、何が異常なのかを判断するのは難しい。


「方向はこのまま進むのか?」


「私も完全に感知できている訳じゃないわ。反対に聞きたいんだけど、この辺に怪しい場所って無いのかしら?目立つ場所とか、もともと不思議なことが起こりやすかったところとか。」


『私たちの住んでいたマンション…』


「やっぱり怪しいのはあそこだね…実際に地面は揺れていなかったのに倒壊したマンション…俺達の…父さん、母さん。」


『もう、避けては通れないね。ホオリちゃん…』


「姉さんは大丈夫?俺はさ…ロカ・プラーナで二人に会って話が出来たから…」


『そっか…良かった。私は大丈夫だよ。ホオリちゃんもコッチーもいるから。』


「話はついたみたいね。ホオリ、案内して。」


 俺達はマンションの向かって歩を進める。もうこの辺まで来たら、いつも歩いた道だな。でもこのプラーナを吸収する空気と雰囲気で懐かしい景色には見えない。


「あ、あれ…何でしょうか…あんな巨大な木?がこんなところに?」


「あんなのがあったらこの辺りの名物になってるんじゃ…」


「あれは…まさか…世界樹?いえ、そんな事はあり得ないはず…」


「あそこが俺達の住んでいたマンションがあった場所だ…」


『もう少し近づいてみよう。あの大きな木のせいでマンションが…』


 マンションがあった場所に近づくにつれ、遠目に巨大な木のようなものが見えてきた。少なくともあの日の前にはあんなものは無かった。あれが現れたせいで俺達の家が…父さんと母さんが…姉さんとコッチーも…


「ちょっと止まりましょう。何かいるわ。」


 この交差点を曲がれば目的地という所でレベッカが俺達を制止する。もうここまでくれば巨大な木がそびえたっているのが見えている。プラーナを吸い取る力があの木から発せられていることは確実だろう。明らかに吸い込む力が強くなってきている。アレを破壊すればこの状態は解消されるのだろうか。だがあれほど大きなものを破壊するのは容易ではない。500人単位で入居者がいる巨大マンションが完全に大樹になっているとしたら、どれだけの火力が必要になるか…


「私が見てきたいところだけど、ここを離れるとレンが死ぬわね…」


「ひ、ひえぇぇぇ…」


『私が行ってくる。レベッカほどじゃないけどホオリちゃんやミコトちゃんが行くより目立たないから。』


「姉さん気を付けて。こんなところにいるやつだ。絶対に人間じゃないし、アクマだとしたら相当強力なやつかもしれない。」


『分かってるよ。戦闘には絶対にならないようにする。いざという時は助けに来てね。』


「任せてください!キズナさん!気を付けて!」


 コッチーが塀を登り、家の隙間を縫って交差点に消えていった。さすがはネコだな。住宅地みたいな入り組んだ場所ならレベッカより見つからないかも。どうやら空から警戒しているようなものもないようだし。


「レベッカ、あの巨大な木に心当たりはある?」


「正直に言うけど無いわ。あれはこの星のものじゃない。私たちの住んでいる妖精の森に世界樹って言う、この星に樹木が生まれた時からある樹があるんだけど、それに似てはいるわ。でも絶対に別物。邪悪さが尋常じゃないもの。しいて何かに似ていると言えば…」


「似ているものがあるの?」


「邪神よ…」


「ひっ!あ、あ、あれが邪神なんですか?あわわわ…」


「邪神そのものじゃないわよ。邪神はクトゥルヒを超巨大化させたような姿だから。あれは完全に樹木であることは間違いない。でもこの星には存在しない樹木。邪神に雰囲気がにている樹木ってことね。」


 ニャー


 ん、コッチーが戻ってきたみたいだ。さて、どうなっているか…。

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