序章[エピローグ]
ごく普通の一般家庭に住む高校生、薄菜洋介
ある日突然彼の手に謎の模様が現れた。
その次の日、薄菜家に得体の知れない化け物”妖”が現れ、襲われてしまう。洋介は逃げ切ることができたが洋介の両親は逃げ遅れてしまった。少しして、警察と家の様子を見に行くと血まみれのリビングが広がっていた。手の模様はなにか、なんで自分の家に化け物が現れたのか絶望する最中、洋介に一本の電話が入ってくるが...
「はぁ〜、部活おわったー。だいぶ遅くなっちゃった」
いつもの部活の帰り道、
「早ぐ帰れよー」
方言っぽい喋り方で昭和みがある交番の萩おんちゃん
実は少し仲がいい
「はいは〜い」
たったったっ
僕は小走りで家に帰る
ガチャッ
「ただいま〜」
ドアの開く音と、洋介の声が玄関に響く、
「おかえりー、ご飯できてるから早く手洗ってね」
いつも母がいうセリフだ
「あいあい」
僕はだるそうに返事をする
部活で疲れた足で洗面所に向かい手を洗う。しかし、なぜか落ちない汚れがあった
「なんだこれ油性ペンみたいな...模様?、どっかでついたんかな?これ汚れとれないんだよねー」
よくあることだし特に気にせずリビングに行った。
そこには、山盛りに積まれた唐揚げがテーブルの真ん中で鎮座していた
「おいしそー。これ全部食べて良いの?」
そんなわけないが期待まじりの声で言う
「だーめ。お父さんと私のぶんもその中にあるんだから。それより、はやくご飯とお箸用意しなさい。」
「チェッ はーい」
ご飯を食べ終わった後はお風呂入ってダラダラ過ごして12時に寝た。
次の日、
「きゃーーー!!!」
母の叫び声で飛び起きた僕はリビングに向かって驚いた。
そこには、”なにか黒い生き物”がいた。
家の天井くらいの背丈だったと思う
「ギゃプ〜る?ンへぱ、」
糞を出す時の音ににたその声らしきものはおおよそ生き物ではない”なにか”だということを物語っていた
父らしきものは頭からへそあたりまで抉り取られていた
洋介は口を開けて立ち尽くすしかなかった
「洋介逃げなさい!!」
反射的に僕は母の怒号を聞いた瞬間にリビングの窓を開け飛び出した
「はぁっ、はぁっ死ん、殺さっれる、おぎゅっ、いっへぇ」
そこから家が見えなくなるまで走り、一歩も動けなくなった、
洋介は舌を噛んだ痛みの後に自分だけ逃げた後悔が襲ってきた
「あ”あ”ぁああ、お”ぇあ”ああぁっ」
齢16にして吐瀉物を掃除したあとのアルコールが混じった雑巾を飲み込むような苦しみが腹に溜まる
ふと前を見るとそこに交番があった
何も考えず、交番に駆け込んだ
「萩おんちゃん!助けっ、、、はぁはぁ。」
疲れすぎて声が出なかった
「どうした坊主!なにかあった!」
おんちゃんの声と顔で安心したのかここで意識が途絶えた。
「....い、...お...ぼう...、おい!坊主!」
はっと目が覚めると交番の少し硬めのソファーに横たわっていた
「お前が寝でる間、右腕ずっと燃えてだぞ」
ふと見ると右腕の手のひらから肘にかけて黒焦げになってたがなにか模様が広がっていたようにも見えた
「水かけしたけんども収まらんかっだし、燃え広がりもしながっだしで、暑そうだがら氷水に浸しといだ」
洋介はふと思い出すように、
「おんちゃん!、死ぬ、親が、化け物!」
「いいがらゆっくり話せ」
おんちゃんの声にまた安堵して少し冷静になった
「今朝、親父とお母さんがなにか黒い化け物に襲われて死んだ。多分」
「本当が!」
「でも多分だからまだ確信してるわけじゃないんだ。だから家を見に行きたい」
一縷の望みをかけて言葉を出す。
その後にことの顛末を全ておんちゃんに話した
「分がっだ。でも、疲れてるだろやすんどけ。俺が行ぐ。」
「行くなおんちゃん!」
「大丈夫だ。化けもんなんでいねっで。」
「それでも行くな!」
たしかに洋介の足はまだ動ける状態じゃなかったでも僕自身の目で見ないわけには行かないという想いがあった。
「分がっだ。だけんど、少ししたら行くぞ」
「分かった」
少しして僕はおんちゃんと一緒に家に向かった。
意外にも外装は綺麗なままであったがなにかおどろおどろしい雰囲気が洋介の肌を生温かく刺す
「急いでて家の鍵持ってきてないけど多分窓は空いたままだよ」
「お、おう」
さすがのおんちゃんもこの異様な雰囲気に怯んでいた
「俺が先にいくぞ」
「分かった」
おっちゃんに続いて覚悟を決め、洋介も窓から入る
「どうだ、スッキリしだが?」
家の確認を終え、2人で近くの公園のベンチに座った
「もうちょっと休ませてくれ」
家のリビングを見た時には吐き気と涙が止まらなくなった。こんな簡単にいつもの生活が崩れるなんて思いもしなかっただろう
幸か不幸か他の家には全くと言って良いほど何もなかった。だが、化け物が襲ってきた跡は薄菜家に深く刻まれていた
「おらも味わったごどのねぇ最悪な気分だ、だけんどよかったなや。化けもんはどっか行っちまったみてぇだ」
「そうだな...」
家族を殺された怒りと一人になった寂しさが毛の先まで混ざって伝わってくる
ヴ ヴ ヴー ヴ ヴ ヴー
洋介の携帯が鳴る
「誰だこの番号?」
ピッ
「はい?どうしましたか」
他所行きの声で対応する
普段は知らない番号からの着信は出ないのだがなぜかこの時電話に出てしまった
思えばこの電話に出たせいで僕は生きることができたし、面倒くさい世界に巻き込まれた
[おい!そっちに向かって言ってるぞ!逃げろ!]
知らん声だった
「何がですか?迷惑電話なら切りますよ」
[見たでしょ?黒いデカキモい生き物!今追いかけてるが、!?まずい、飛ばれた!すぐにそっちに向かう。
できるだけ追いつかれないでくれ]プツッ
ツーツーツー...切れた
「なんだったんだ?今の」
「おい坊主なにがあったが?」
「分かんな、あ、」
ふとおんちゃんの方を見ると、思い出したくもない記憶が込み上げる、
「よゴウ、☆ッしゅケ〜、てっテッあラッ¥たのぉ?^?」
洋介の体を怒りが支配した次の瞬間、手のひらから火が燃え盛った
それと同時になにか声のような音が聞こえた
“怒レモットダ、バケモノドモヲ、滅スマデ”
怒りでほとんど聞こえなかったがこんなことを言っていたと思う
「やっと追いついた。」
さっき電話越しに聞いた声だ
「デャめーぁ、ヤめッメッろひ?」
「あーあ人間の言葉もう学習してる。めんどくさ〜」
その人は指鉄砲の形を作り、打つ動作をする
パンッ
「ヤんやんダ!?じニだクナっ...」
化け物はだんだんと塵のようになっていく
まだ右腕は燃えている
「あーごめんごめん、遅くなった」
「誰だ。」
洋介は語気を強めて言った
「メール見なかったの?まあいいや、初めまして洋介くん。僕は天波万、今日から君の担任になるからよろしく。」
「は?、、、、」