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「復讐編3」

「復讐編3」


 王都の葬儀屋。


「一年前の……。大男のバーサーカーの葬儀なら記録を見なくても憶えてる……はずだが。実はな。ちょっと、奥に。そんな処刑など行われてない……。もしホントに処刑が、あったのなら城内で埋葬したのかもな。だから、ウチには、その記録はないんだ」

「そうか、話してくれてありがとう。あ、もう一つ。レイ・ハリーオという名は知ってるか?」

「レイ・ハリーオだって」

「知ってるか」

「いや、誰のコトだか知らないが。あんたが来る前に。その名を。墓はあるかと」

「そいつはどんな?」

「ヒト族風の若い黒髪の女とパナ族の少年だった。レイ・ハリーオ、そんな名の葬儀もしてないからね、墓なんてないと言ったら。帰ったよ……」

「ふたり……」

「あのふたり、四凶将に殺された婦人の埋葬を依頼したんだよ。あの四凶殺しの事件の前に。だからよく憶えてる。ここから先は、ホントかどうかの話だが、あんた。ゴーラン砦の四凶殺しに興味があるんだな。実は奴らは一人に殺られたんじゃねぇ。少なくても三人を相手にしてたという。あの連中を一人で倒したのならそうとうの使い手だ」


 葬儀屋のオヤジ、話したくてうずうずしてたのが分かった。

 噂話だが、ペラペラとよくしゃべった。

 やはり大男のバーサーカーの話はデマだ。

 おそらく城の流したものだろう。


 噂通り王家が傭ったアサシンが四凶殺しを。

 しかし、娘と少年は何者だ。

 レイは組んでの仕事はしないたちだ。

 城が多人数を傭ったのか?


 城兵に搜されているので、はじめの宿は出た。

 あまり目立たぬスラム街の宿にかえよう行ったら城兵が捜しまわってた。

 かえって隠れやすいトコがあぶない。

 だからといって大通りの宿も。


「おや、あんたリックじゃないか?」


 路地で物乞いをしている男に声をかけられた。


「そんな名じゃない」


「俺だよ、マルルの……」


 何処かで見た顔だと思ったが、この男はマルル国の間者。


「あんたか、潜入捜査か?」


「まあな。ゴーランの四将が殺られたという話は聞いたか?」


「ああ、もう一年もたってるのに平民のイイ話のタネになってる」


「だな、平和ボケした民にはイイネタだ」


「悪いが、人を捜してもらえないか」


「誰だ?」


「ヒト族の少女とパナ族の少年の二人組だ。オレは城兵とトラブって動きずらい」


「兵士共が捜しまわってるのはあんたか。わかった。明日の朝、またこの場所に来な」


 翌朝、奴は。居ない?


「おい、こっちだ」


 同じ場所かと思えば反対側の路地に。


「この辺のヌシとちょっとあってな。騒ぎを起こすと面倒なんで場所がえした」


「で、見つけたか?」


「ああ、目立つ奴らでな。第三通りのコロスケ亭という宿に泊まってる。今頃は朝飯でも食ってんじゃないか」


「コロスケ……」


「亭だ、5フラゼッタ」


「金取るのか、5は高い。1フラゼッタにまけろ」


「他でもないあんただ。1フラゼッタでいいよ」


 と物乞いの男は碗を出した。



 コロスケ亭。


 下は食堂で、奴の言うとおり、店内は朝飯でにぎわってる。

 目当ての二人は居ないかと、見回すが。


「お客さん、ちょっと待ってて。今、満席だから……相席でもいいなら、あそこが」


「あ、わるいな。人を搜してるんだ。この宿に居ると」

「泊まり客かい?」

「ああ二人組なんだが」

「そうなの。約束は?」

「とくには」

「知り合い?」

「いや」

「あんた正直だね。わるいけど教えるわけには」

「さすが王都だな」

「まあね。ソレもあるけど、去年客と兵隊の騒ぎがあってね、部屋は壊されるで損害が出たんで、安易に泊まり客の事は」

「去年、兵隊との騒ぎ……」

「あ、口がスベっちまったよ」

「あの、その客はレイ・ハリーオとかいう」


「言っただろ、面倒はゴメンだよ。食事しないなら帰っておくれ」


 ホントにここの連中は、一年前の四凶殺しネタは、まだまだ。

 去年の騒ぎとはやはり。

 ん、尻のあたりを叩かれた。


「なんだ?」


 ふり向くと背の低い銀髪の少年が。


「あんた、今レイ・ハリーオと」


               つづく

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