「復讐編2」
「復讐編2」
「オレは……。警備兵のおまえらに聞きたい。ゴーランの四将を殺した奴のことだ。本当にデカいバーサーカーだったのか?」
「奴は狂人だった。砦の兵士たちも数十人を殺った重罪人よ。処刑されて当然だ」
「狂人? おまえたちの将兵は狂人に殺されるほど弱かったのか、ところでレイ・ハリーオを知ってるか?」
「知るか! 貴様、何をさぐっている? まさか、最近の連続殺人は貴様の仕業じゃないだろうな。ちょっと城に来てもらおうか」
「オレが? 行くかよ」
「こいつを捕えろっ!」
ヒィヒヒーン
青年の馬が前足を上げ 近づく兵士を払った。
「行くぞサン。ハアッ」
馬にまたがった青年は城下町から去った。
城内 王殿。
「また、殺られたらしいなロードン公」
「そなたは何をしている」
「私とて、いたずらに時をすごしては、おりません。今全力で犯人めを……」
「私の耳にもはいっているぞ。こんどの事は、あのゴーラン砦の四将の怨靈の仕業ではないかと」
「陛下、誰がそのような偽りを。死霊が、呪う事など……。魔道士ギガも今、手をつくして犯人を。もう少しお待ちを」
「魔道士でも犯人がわからぬのか?」
「はっ。魔道とて、万能ではございませんので……」
「ロードン殿、早く犯人を捕らえもらねば、安心して酒も飲みに行けぬ」
「ロードン公、そなたも、いい歳じゃいつ隠居してもかまわぬ頃だのハハハハ」
「歳をとっても貴公らよりは、そのような心配は……。このロードンが責任をもって犯人を」
「十日以内に捕えるのじゃ」
「はっ」
ふん、ナニが十日だ。
「報告であります。レイ・ハリーオの事をかぎまわっている男が居たと」
「ナニッ。その男は」
「取り逃がしたと、現在捜索中です」
「その男は何者だ。そいつを早く捕らえて連れてこい!」
「はっ!」
レイ・ハリーオか……。ヤツが。
その夜。
「たまにはヒト族の女も良いものよのぉ」
「はっ、あの女ならきっとお気にめすと。このあたりは暗く物騒です。早く帰りましょう」
「ん!」
「何者だ」
「ヒッ! ギャー」
「カペラ! ウグッ、ナニ!貴様は……」
ヒトだ怨霊なんかじゃない。
「待て」
バシッ
何か、投げつけた。これは、首。
「こ、これはカッガーの。おい待てっ……逃げられた」
城の魔道部屋。
「カッガー将軍が……」
「どうしたギガ?」
「今、カッガー将軍の星が流れました」
「ナニ、ソレはカッガーが……殺られたか」
魔道士ギガがテーブルの前に歩き。
「やはり、バレミアの……」
「なんだギガ。バレミアがどうした?」
「あの四凶将の星が落ちた時、時が動き始めました。恐ろしい……」
「時が動き始めただと。何か起きるのか?」
「南の獣が、動き初めております。バレミアの平和も……」
「なんだ、ソレは南の獣……戦がはじまるのか?」
「お・そ・ら・く。しかし、ロードン殿。国の心配より自分の御命を心配なされ……」
「わしの事などかまわぬ。南の獣とは、何処だロガンか、それともサパダリアか。いつ戦になる?」
「おそらくはひと月とかからず。ソレはロードン殿の……」
「なんだ、ソレはギガ」
「貴方様の生死で変わりましょう……」
「ギガ、今すぐに南の動きを調べられるか」
「ハイ、すぐに」
魔道士は窓を開け数匹の黒い生き物を放った。
「行け、わしの息子たち! 南の獣をさぐるのだ」
「南のロガンやサパダリアは同盟国だ。まさか……」
「ロードン殿は、聞いたことはございませんか。南の野獣ガロ族の話を」
「ガロ族、古代の闇王デロの配下の蛮族だろう」
「ソレは神話の話。ごく最近の情報ではロガンより遥か先の国マーロがガロ族と名のる蛮族を配下にしたマルルとかいう謎の国が支配したと。ガロは別称南の野獣。今度は他の国につき……おお奴らが来たら」
つづく