死闘
5話 死闘
空飛ぶ魔族が相手だ。奴の武器は短剣だが、足にカギ爪が。
急降下で斬りつけてきて、次に両足のカギ爪で襲ってきた。
やっかいな敵だ。まるでドラゴンと戦っているようだ。
火を吹かないだけましか。
「なかなか、やるではないか女。まだ、名のる気はないか」
「冥界への土産に教えてやるよ、私はレイ・ハリーオだ」
「なるほど聞いたことがあるぞ、凄腕のアサシンだと」
その横では。
「ちょこまかと、逃げるだけではオレに勝てんぞガキども!」
ノノとロッシュは大剣がとどく距離を見切り、ギリギリのトコでかわしている。
大剣が振り下ろされた時にノノがジャンプした。 ノノの跳躍力は大男の頭上をこえた。
反転し大剣使いの肩へ双短剣を逆手に持ち落下した。
グサッ
「なんの!」
剣は深々と大男の肩に入った。
が、大男は腰を上げノノを背後に落とした。
ノノは、男の背後へ落とされた。
「痛っ」
大男が振り返り、大剣を振り下ろそうとした時に、ロッシュが肩に飛び乗ってロープを首に掛けて絞めつけた。
おかげで、振り下ろされた大剣はノノの体のわずか横にズレた。
「死ねっバケモノ!」
∇
「ロッシュは小さいけど、腕力が凄いのよね」
「雪男も絞め殺した」
「みんな、よく憶えてるわ。ホント」
∇
一瞬男の動きが止まったかと思うと。
「ウガァア!」
大男の肩から血が吹き上がった。
ロッシュの尻が鮮血に染まった。
そこへ懐に入ったノノは大の腹に短剣を刺した。
「ゲホッ ガキどもが……」
剣の攻撃を避けたが、足のカギ爪が、手当したばかりの腕の包帯を切り裂いた。
「クソッ!」
奴は反転してまた急降下してきた。
薄笑いをうかべてた。
「なめるな!」
痛む腕を上げ剣を両手でかまえたレイ。
ツカーン ガシュ
「ナニ!」
レイの剣が折れたが、奴の短剣を持った腕が斬り落とされた。
「ひいっ」
剣を持つたままの腕がノノの足元に落ちた。
「やりおったな!」
単眼は、すぐさま急降下して、レイの傷がない方の腕を襲いレイは折れた剣を落とされた。
「オレ様の片腕を……。コレで互角だと思ったか小娘。もう武器は無い」
単眼が急降下しレイの前に着地し、レイの傷のある腕をカギ爪のある足で。
「逆にその首もらおうか」
と、短剣を振り上げた。
ところに、ノノが倒した大男の大剣を奪い投げて単眼の二枚の翼をつらぬいた。
「ガキ!」
「これで飛べないね!」
「ガキ、この剣は……」
背後の翼を見た単眼が仲間の大剣と知った。
「ああ、あいつのさ。ホラ、向こうで立ったまま死んでるよ」
「奴はそう簡単に……。血で上半身が。ガキ、ヤツの特異な心臓の位置を知ってたのか?」
「え、そんなトコ……まぐれよ」
「ガキ、貴様から先に始末してやる」
単眼が片足を上げて、カギ爪の足の指を動かし武器を持たぬノノへ。
その時に、ロッシュの放った投げ縄が首に巻き付いた。
「うがっきー、ガキが!」
単眼が首を回した。
「ナニッ、ウワッー」
つづく