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ギバル 故郷の悪魔 5

その5


「グワァアア」


 ギバルが青い炎につつまれて立った。


「ナニッ、リフォーナさん!」


 キバルの体が薄れていき青い炎がギバルから離れて空に。


 青い炎は縮まると灰色雲のようになり、まるでギバルのような顔が浮き上がった。


「やはり、体というものはヤワだな。が、無いと何も出来ん!」


「とうとう姿を現したわね」


「不便だな魂の体は。ちょとばかし出来のワルいのを使ってしまったよ。次はもっとイイのを探さんとな」


「あんたら『魔』は、ナニをたくらんでる」


「ヒト族の魔道士の女よ、いいことをおしえよう。また暗黒の世がやって来る。闇の魔王が蘇るのだ」


「闇の魔王……。そんな者は遠い昔に光の王が消滅させたわ、蘇ったりしない。魔道士会がある限りね!」


「貴様ら魔道士会なんぞに我らはとめられん……。だが、まだだ。闇はきっとおとずれる。またあおう小娘よ!」


   グハハハハ


 そう言うと雲はチリとなった。


「リフォーナさん、アレがギバルに取り憑いてた『魔』ね」


「ノノ、その『魔』と魔族はどう違うんだい」


「ソレはね、悪い事する魔族を『魔』と……」


「ノノ・ナンム。簡単でわかりやすいけどね、ちょと違うわ。ロッシュくん、『魔』は、魔族でもかなり特殊な力があるの。わたしたちヒト族の魔法使いの魔族版とでもいう連中かしら。そんな連中で良からぬ事をたくらんでる連中が『魔』という連中なの。元々は私たち魔道士会の会員だった。そいつらが暗黒の世を蘇らせようとしてるの」


「で、伝説の魔王を……。魔王って死んだんじゃないの?」


「肉体は滅んだと言われてるから。奴らは魂を捜し出し、より強力な体を……造ってるとか、探してるとか……」


「じゃギバルみたいなのがまた……」


「そう、で私たち魔道士会が動いてるの」

「今回はパナの小悪党だったけど、私らが殺った四凶将みたいな魔族に取り憑いてたら……」



 村長の家。


「魔道士リフォーナ様、なんとお礼を……」


「村長、お礼なんて。アレを倒したのはロッシュくんとノノ・ナンムよ」


「オレたちだけでは……。リフォーナさんが居たから」


 翌日私はリフォーナさんを手伝うためパナ族の村を出ることにした。


「やっぱり、行ってしまうのね……」


 出発の準備をしてると村長の娘のリヤがロッシュに。


 ロッシュはカバンを整理してて。


「あ、ゴメン。おみやげの首飾りあげるの忘れてた。はい、リヤ」


「ありがとうロッシュ……。あの、なんでロッシュも。ロッシュも行くの」

「そりゃオレもノノやリフォーナさんと一緒に『魔』と、戦うためだ」

「なんで、ロッシュが……。この村だって、ひどいコトに。わずかな数になり……。ココも守ってよロッシュ。行かないで欲しいの」


「オレは決めたんだノノたちと『魔』を倒すと」

「そんなぁロッシュにナニかあったら、ココはどうなるの……」


 ああ。リヤッ、ココは、じゃなくあなたが。


 リフォーナさんが。


「ロッシュくん。私はあなたが来てくれるのは、ありがたいわ。でもね今の、この村は、あなたを必要としてるの……」


「リフォーナさん……オレは邪魔?」


「邪魔なわけない。けど、私よりこの村はあなたを必要としている」


「そうよ、リフォーナさんの言う通りよ。ロッシュ! だから、行かないで」

「リヤッ、決めたんだ。オレはノノたちと戦うんだ!」


「どうして戦うの?!」

「男だからさ!」


「なんで?!」


「うるさい! 男は、男は戦うもんなんだ!」

「ロッシュくん。生きるコトは戦いよ。この村をまえのようにたてなおすのも戦いよ。この村は少なくなった男手が必要なのよ。わかるでしょ……」


 リフォーナさんがロッシュの耳元でナニかささやいた。


「ロッシュくん、リヤちゃんのコトは嫌いじゃないんでしょ。彼女のコトも。彼女の気持ちも、わからなくないよね……」


 って言ったとリフォーナなさんが後で教えてくれた。


 私たちはもう村から出て山道を下ると湖のほとりまで来た。


 私の隣にはリフォーナさんだけ。


「さびしくなったかな。相棒が居なくなって」

「いえ、ロッシュはいずれ村に帰ると思ってたから……。その日が来ただけ」


「お~いノノ〜。リフォーナさーん」


 あっ、岩山の上にロッシュが。


「ノノ〜。また来いよぉ〜!」


「ああ、行くよ〜。ローシュ・マーロ!」


 また行くからサヨナラは言わなかった。



「ギバルの話はこれでおしまい」


「おねえさん、ノノ・ナンムとリフォーナさんは、コレからドコへ行くの? 魔王はよみがえるの?」


「ドコへ行くのかな? 魔王の話は意外とよく知られてるから……。ソコのご老人とかに話してもらえるのでは?」


「おい、俺はあんたの口から聞きたいぞ!」


「贅沢言うもんじゃない。ローラ・レイの公演はな、町じゃけっこうなカネ払わなきゃ聞けんのじゃ。祭りだから、こうしてタダで聞けてるんだ!」


「ああ、お酒や食べ物をいただいてるわよ、べつにタダだからと手は抜いてないわ。ごめんなさい。ノノ・ナンムの冒険談は、けっこう聞けると思うわ他の語りべの人の方がくわしいんじゃないかしら。私はあまり知られてない話を中心に語ってるから、よく言われるのノノ・ナンムが活躍してないだろって……」


「そうだな、ワシはノノ・ナンムの長剣の入手先を初めて知ったぞ、今度その話もじっくり聞きたいぞ」


「ありがとう。機会があったらね」


「次の祭りも来てくれ」


「ええ。じゃ皆さんおやすみなさい」



 ローラ・レイ。村を出る。


 ローラさんは、翌朝帰ると村から出て行く人が沢山いるから道が混み合うからと、もう一拍した。


「ローラさん、お墓参りはすましたの?」


「実はこれからなの。ホントはね墓は村じゃないのよ」


「え、そうなんですか。じゃドコに?」


「あなたの家の裏よ」


「あたしのウチの裏ですか……。裏には墓なんてありませんよ」


「お墓みたいのは?」


「言われてみれば……。塚みたいなのが。岩がでーんと置いてあるだけの。でも、アレはジイちゃんが、塚だと。お墓とかは……」


「もう大分昔の物だから墓石が壊れてその後に置き石を……。だと思うわ、私が聞いたのはそこよ」


 お墓なのか、家につくとローラさんは鎧ネズミから降りて、あたしの家の中を通り裏口から出て

置き石の前で手を合わせた。


 ああいうお参りの仕方は初めて見た。


「ローラさん、麓までお送りします」


 あたしは山の麓の道まで一緒した。


「ありがとうミロン。コレは案内料よ」


「え、多くないですか? 予約料とかは……」


「村の滞在料よ。ありがとう」


「ソレは叔母さんに……。ソレにあの納屋の宿泊代も払ったじゃないですか」


「あなたが滞在した分よ。あ、そうミロンのフルネームは?」


「ミロン・マーロウです」


「そう、また三年後に会いましょ。さよならミロン・マーロ!」


 違います。あたしはミロン・マーロウです。


『ギバル 故郷の悪魔』おわり


               つづく

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