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ギバル 故郷の悪魔 3

その3


「お帰りロッシュ!」

「ただいまリヤッ、元気たった?」


「お帰りなさいノノ・ナンムさん。元気です……」


 とは、言ったが、なんかうかない顔をしてる。


 このあとしゃべらずに。村まで。

 オレのこと怒ってるのか?


 三人は狭い岩の間の階段を登り岩山の奥に。

 パナ族の村は岩山の奥にある。


 パナ族の家は岩屋で、岩盤をくり抜いたり、もともとある岩を屋根にしてまわりに木材を使ったりで作られてる。


 岩屋に板で作ったドアが付けられた家がほとんどだ。


「あれ、ロッシュ。あそこゴロの家じゃなかったか? 崩れてる」

「だよね、あっちにミロの家なかったか?」


「ねえ、リヤッ。なんか家の数減ってない?」


「ノノ、長老の家が壊れてる」


「長老は亡くなったわ。だけじゃなくゴロやミロも……」


「ナニがあったんだリヤッ!」



 村長の家。


「母ちゃん。ロロッなんで母ちゃんが村長の家に?」


「あのヤローが戻って村に逆恨みで暴れまわったんだよロッシュ兄さん。で、ウチもやられて母ちゃんの様態は悪くなるしで、今は村長さんのトコでお世話に。リヤさんが薬草で……。村はめちゃくちゃなんだよ」


「あのヤローって?」


「ナンムさんがこらしめて村を追放したギバルだよ」


「ええ、あのギバルがぁ」


「ああ、ノノ・ナンム。ヤツはとんでもない力を身に着けて帰ってきたんだよ。我々は戦ったが……」


「村長、ギバルが力をつけてって、どういうことよ? あいつは貧弱な小悪党だったよね」


「ヤツはな、村から追放されて、ドコで知り合ったのか、魔法使いの弟子になりおってな、魔法を身に着けて戻り村を支配すると言いだしてな……」


「ギバルが魔法を? アレから三年程度でどんな魔法を……。ありえないわ、魔法は最低でも素人の修行だと身につけるのに十年はかかるわ。ソレにあんな性悪な小悪党に魔法を授ける魔法使いってどんなヤツかしら?」


「ヤツは魔法使いルーファの弟子と言っていたよ。ノノ・ナンム」


「魔法使いルーファ? 聞いたことない名ね。私は幼い頃に魔法使いのトコで暮らしてたわ。私には素質がなかったから魔法使いには、なれなかったけど。弟子をとる魔法使いって、けっこうな大物よ。有名なのはラン・シシィマールとか、ヤーリン・ルーンとか、マーリン・グリーントとか聞いたことあるでしょ。ルーファなんて名は知らないわ。モグリかしら……」


「ゴロやミロは戦ったのか、二人が亡くなったと」


「ああ……。二人とも気をつけろ、アレをあなどっちゃいかん」


「しかし、頭にくる。村長、オレは……。ゴロや、ミロの、他にもまだいるんだよねヤツに殺された者達が! みんなのために仇を」


「よしロッシュ、みんなの仇を討とう!」


「ロッシュ、やめて危険だわ。あいつは、まともじゃないわ」


「いや、やる。リヤ」


「村長、ヤツの居場所はわかる?」


「ああ……。ホントに行く気か二人とも」


「追放したきっかけを作ったのは私よ。逆恨みをうけるなんて、村の人達に申し訳ないわ」


「ナンムのせいではない。追放したのはわしだ。

ヤツはココより高台の村の廃墟の塔に住んでる」


「あいつ、一通り村人を痛めつけたら、しばらく現れないんだ。ウワサでは付近の町から女を拉致してまわってると」


「そんなウワサ、聞いたわね。アレはギバルの仕業だったのね。あのヤロー女には目がない変態ヤローだったからな。女を拉致して……」


「村の若い娘たちも……」


「リヤはよく助かったな、あいつよくリヤにちょっかい出してたよな」


「わたしは長老の家の地下に隠れていたから。でも長老は……」




 ノノ・ナンムとロッシュは、村の廃墟へと向った。



 廃墟というのは、今のパナ族が住む村よりまえに魔族が住んでいた住居跡だ。


 ココには、なぜだか無キズでしっかり立ってる塔がある。そこにギバルが。


 ココは昔から呪われた地と言われパナ族は、避けている土地だ。

 そんなトコにギバルは居る。


「子どもの頃、ココへ肝試しにきた」

「私ははじめ……。あの塔ね。バカとなんとかは高い所が好きと言うけど」

「ノノ、なんとかってなんだい?」

「忘れたわ」


 塔の入口のドアは壊れてて横に放置されてる。


「直してないな。不用心なのか、バカなのか」


「ココへは入ったコトは?」

「昔はドアにカギが、かかってたよ」


 中に入ると扉のない窓が沢山あるから明るい。


 塔の階段を登ると部屋らしいものがないから、部屋は一番上の一つだろう。 

 外から扉が閉まった窓側が見えた。


「あっ、上に誰か居る!」


 最上階のドアのまえに黒いマントでフードをかぶった誰かが。


「誰、魔法使い? その黒いフードマントは魔法使いが着てる物よ! あんた魔法使いのルーファ?!」


「その声は、聞いた声ね?」


 声の主は女性だ。 

 上の女も言ったが私も聞いた声だ。

 彼女はフードをとった。


「その声はノノ・ナンム」 


「え、リフォーナさん」


「久しぶり、何年ぶりかしら」


「ノノの知り合いかい?」

「ええ、幼い頃に世話になってた魔法使いよ」


「リフォーナ・ルン・マーベルだ。パナの少年」


「オレはロッシュ・マーロです」

「え、ロッシュってマーロっていうの、初めて聞いたわ」

「そうか? 言わなかったっけ?」


「よろしくロッシュくん」


「おねえさんみたいなキレイなヒトに名前を……。くんとか、言われたの初めてだ。オレの嫁にならないか?」


「おねえさんは、見た目ほど若くないのよ」


「見た目が良ければ……」

「バカ言わないのロッシュ。ソレより。この部屋に。なぜ、ココにリフォーナさんが?」


「私はキバルというパナの悪党をね、捕まえようと。ヤツは『魔』が関係しているらしいの」


「ギバルが『魔』と。あいつ言ってたそうよ、ルーファという魔法使いの弟子だと」


「ルーファ? 聞いたことない名ね……。モグリかしら」


「やっぱり」


「ノノ、部屋から引っ張り出して、はかせよう」


「部屋が静かなのよね。留守かしら。魔封じのカギよ、あなたたちには開けられないわ」


「パム・クリアナ!」


 リフォーナさんがドアの取っ手に手をあて呪文を。


「開けるわよ」


  バタッ


「コレは!」


                つづく

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